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秋はやっぱり焼き芋

「石や~きいも」最近はサツマイモの種類もいっぱい

べにはるか、べニアズマ、鳴門金時、シルクスイーツ、安納 etc。

昔はリヤカーに鉄製の箱型ガマをのせて石焼き芋を売りに来ていました。

最近はライトバン。販売範囲も広がって、スーパーのコーナーでは石焼き芋の良い匂いでついつい立ち止まる始末です。

昭和の街、冬は炬燵でみかんが定番。その前は炭を起こした大きな火鉢。

そこでじっくりお餅を焼く祖父の姿がありました。

ワサビと違って気の長い人が焼くとおいしいそうです。

ミカンは毎年箱で送られてきました。時々下のミカンが腐らないように位置交代は私の役目です。口に入ることもしばしばで、黄色くなった手を見つけられてよく食べ過ぎを注意されました。。宿題も炬燵で、本を読むのも、みんなでダイアモンドゲームに興じるのも。

ちょっと休憩!うとうとしているともう夢の中。誰かの真似して「お風呂と一緒で、極楽極楽」外に出るのがもったいない。またまた「そんなことしてたら風邪引くよ」

すると遠くで小さく「石焼き芋~」いつものおじさんの声。

母といっしょに「きっと○○さんのおうち当たりよ!」と小走りで買いに行きます。さっきまでのぐうたらぶりは吹っ飛んで機敏な行動はできるものです。

辻で見つけたうす鼠色の細い煙にかすれたピーという府笛のような音。おじさんの声を遮って「おいもくださーい」

黒く煤のついた軍手でアツアツのおいもは窯の中から取り出されます。はかりに乗せて新聞紙。無造作にくるまれて我が家に到着します。帰りも小走り。

祖母は手際よくお湯を沸かして熱いほうじ茶。

すぐに炬燵は満員になり賑やかな女子会です。

アツアツのお芋を両手で右、左に転がして少しさましながら皮をむくと、

蜜をたっぷり含んだ濃い黄色がざっくりと割れます。

「バターを付けたらおいしいよ!」と教えてくれたのは従妹。

高級なバターは遠慮気味に小皿にとってナイフで丁寧に湯気の立つお芋に塗ると、途端に黄金の液体になって滑らかに滴ります。

絶妙のマッチング。祖母はやっぱり塩を少々。

「あんまり食べ過ぎると晩御飯が食べられないよ」と諭す母をしり目にもう一つを従妹と半分こ。

少しおいもがへばりついた皮は秋田犬のフジへのご褒美⁈急なプレゼントに鼻をクンクンさせて、ペロッと舐めるとすぐにパク。すぐにお手しておねだりします。

芋、蛸、ナンキンは女性の大好物と言われていますが蛸は今夜のおでん鍋で赤くなっています。

廊下の雨戸を順番に閉めているうち美味しそうな匂いが台所からただよってきます。

庭の木も色づき始めると、たくさん落ち葉を集めて今度は庭でやきいも。

近所の子供たちも一緒。もくもくと煙をのろしに見立てて、小さな子供たちは笑いながらぐるりと回って喜びの舞いを踊ります。芋に細長い枝でトドメのひと裂き、狩りの仕上げ。それもまた楽しい!

今ほどお菓子が豊富ではなかった時代、それでもワクワクの多い子供時代でした。

今より季節は身近にあって、生活も自然と一緒に様変わりしていきました。

家族に囲まれて育ったあの頃は何でもない日常の連続でしたが今や小さな宝石のように時にぴかーっと光を放ちます。

今、孫娘は毎日の公園通いで、飽きもせずドングリをかごに入れて一つずつ並べたり、丁寧に皮をむいたり、その作業に忙しいそうです。娘と同じことをしている。それもずいぶん遠いひとコマなのに昨日のことのようです。

今日もいい日にしましょう!






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