ミニストーリー集
【言葉とは裏腹に】
「電話対応の時の私の言葉遣いが、なってないんだって〜」
上司とのやり取りが終わり席に戻ったキミは、少し怒ったようにそう言った。
「そんな変な言葉はしてなかったと思うんだけど。些細な言い回しも、あの上司は気になるんだってさ」
不満を口にしながら、机の中からメモを取り出すキミ。
「でもまぁ、あの上司もめんどくさいジジイ世代だからしかたないか〜」
そう毒づきながらも上司に言われた事をメモに取り、前向きに笑う。
そんなキミが、とても眩しかった。
【優しさの形】
「私の優しさは、偽物だよ」
キミは自身の優しさについて、そう語った。
「何をするにも、いちいち考えてから動いてるもの。相手にとって迷惑じゃないかなとか、今このタイミングで大丈夫かなとか」
それは優しさからくる配慮じゃないの?
「本物の優しさって、もっと自然なものじゃない?」
それは本物とか偽物じゃなくて、優しさの形の違いじゃないかな?
他者への親切は時には拒否されたり、感謝されないこともある。
今回のキミみたいに・・・。
でもそれに対してキミは、落胆も怒りもない。
「私が勝手にしたことだもの」
それがキミの優しさの形だよ。
【言葉の変化は気持ちの変化】
人に何かをしてもらった時、ポロッと出てくる言葉は「すいません」だった。
口癖のようにそう言っては、うつむく私。
でもいつからだろうか。
「ありがとう」
気づいたら相手の目を見て、素直な気持ちが言えるようになっていた。
何気ない変化。
だけど・・・。
「すいません」のあの頃より、きっと私は幸せな気がする。