乾いた、冷たい風。千葉市美術館の帰りに千葉中央で街スナップ撮ってたら自殺をほのめかしてくる、幽霊(43歳男)と出会った。(前回の続き)
前回の記事の続き。まだ前回の千葉美術館編読んでない方はまずそちらから読んで頂けると嬉しいんだ😃
https://note.com/nijinomichi/n/nb9f3ba6511d5
千葉市美術館出た後カメラモードに切り替えて本格的に撮り始めた。千葉の街で気になったのは初冬の渇いた冷たい空気のように街全体の空気が冷たい、渇いている。言葉悪いが死んでいる… 陽と陰だったら完全に陰より。普段東京にいるからその空気の圧倒的な違いに気付く…これは美術館へ向かうまでの段階で既に感じていた。
具体的にいうとまず高齢者が東京に比べてかなり目立つ。最新のデータだと総人口比の28.7%が高齢者。2013年から4人に1人以上が高齢者の時代に突入しているが、東京にいると正直そこまで高齢者を意識することは無かった。
東京に高齢者がいたとしても金持ってそうなジジババの方が多い気がする。でも千葉は違う。千葉で目にするジジババは皆んな金が無さそう…1人でヨボヨボ歩いてる…しかもそっちがマジョリティー。建物も廃墟になっているものが目立つ。千葉にも都市は様々あるから勿論栄えてるところもあるだろうが、千葉駅がある程の千葉の中央の地がここまで死んだ空気とは とその違いに驚きその死んだ空気感捉えるために被写体探してパシャパシャ撮ってたんだんだ
そしたらどこからともなくふら〜と男の人が僕の背後に現れて、瞬時にこの人ヤバい!という危険信号を脳が察知し僕は硬直…
「何かいいのありますか?…」
間…
僕は基本コミュニケーションが苦手。それは初対面だろうが、職場であろうが、友達であろうが、親であろうが 何を言語化して伝えていいのかよく分からない。返事の正解なんてないのに勝手に探そうとしてしまって、ダメになる。単純に頭がワルイんだと思う。頭の回転が速い、遅いでいうところの遅い。でも茂木健一郎が頭の良い悪いは頭の回転の速さは関係ないってYouTubeで言ってたから大丈夫。でも茂木さん自身は頭の回転速いタイプの人間って自分でそう言ってた。
で謎の危険そうな男に
「何かいいのありますか?」
って聞かれて最初は、オクスリ探してる人なのかな?って思ったけど、流石にカメラ持って写真撮ってる人にソレ求めに来ないだろって思って、あーそうか、俺はカメラを持って写真撮ってたんだ。あーなるほどこの人もカメラやる人なのか、もしかしてアーティスト活動している人なのかも!
って脳内で処理して
「いや〜なにか面白いモノないか探しているところです。カメラやられるんですか??」って返事した。
そしたら幽霊「嫌、カメラはやらない。…」この辺りでこの謎の男=以後幽霊の日本語のイントネーションがカタコトぽいのに気づいて外国人なのかな〜とか留学してきて友達居ない寂しい人なのかなー?とかいろいろ頭をよぎったが要はそれほど幽霊は辿々しいしゃべりであるということ。
話を聞くとどうやら久々に出身地である千葉に帰ってきたそうだ。今日は特別な日。何処から来たのか?何処に住んでるのか?何の特別な日なのか?僕が聞いても幽霊は明言しない。恐らく定住地がない人なのだ。ただ言葉の節々に今日が最後の日になる…お出迎えが… 的な自殺をほのめかすワードを入れてくる。これまでの人生で死にたいって言ってる人は本気度MAXも含めて会ってきたが、その時は内心はどうせ死なない。ただのアピール。かまちょ。としか捉えられなかったし、実際そうだった。
でもこの幽霊は動機は同じかまちょなのかもしれないが、明らかにこれまでの人とは違う、死ぬことに直面してる人のそれだった。というか既に死んでる人。生と死が同期している人間だった。だからその人が言う今日が最後って言葉に対する返答は何が正解なのか分からず、どうしていいかも分からず、ただただ別の話題にすり替えそのまま一緒に歩き出した…
因みにこの人はぱっと見は普通の人の雰囲気では確かにないが、いわゆるthe ホームレスのような恰好はしていない。少なくともついこの間までは日払い収入くらいはあったんでねーか?と思う。
幽霊が近くの神社に行くと言うから
「じゃあ自分は別のところで写真撮らなきゃいけないんで、これ仕事なんで、じゃ。頑張ってください🤞」なんてことは言えず…
今起きてる状況に困惑しながらも神社に一緒に着いて行った。
神社付近にはまだ夕方だというのにビジネスマン位の年代の人は全くおらず、付近の空き地のベンチでネコに餌あげてる婆さんとか、ゴミを集めてトボトボ歩いてる爺さんとかここも乾いた空気だ。幽霊は神社の歴史とか、千葉中央の商業施設が潰れた話とかを悟ったように棒読みで教えてくれる。
幽霊は神社でお賽銭投げ入れてお参りしてたから全く一文無しということではないらしい、因みに僕はお参りしなかった。神頼みは深い理由はないけどいつからかしなくなった。でも神社の雰囲気は好きだよ。😘
そのあと幽霊にソープ街とか面白い写真撮れるんじゃない?って案内されてソープ街うろついて、その間にそろそろこの幽霊とおさらばしないとな…と俺に出来ることないし、必死に自殺をしないように説得するのもなんか無責任なような気がして違うし、幽霊がトイレ行ってる間に逃げてしまうのも、どこかかわいそうな気もするし…かといってこのままずっと一緒にいることも出来ないと考えてた。
途中寄ったコンビニできれてたタバコとコーヒー買って、注文後追加で幽霊にあげる用の肉まんを買った。肉まんを幽霊にあげたら一瞬喜んだような気もしたけど、根本的な解決にはなってないから、またすぐ幽霊に戻った。
結局そろそろ帰ること伝えて、駅に向かって一緒に歩いたが、どうもこのまま帰ってしまうのはモヤモヤが残る。
そこで閃いた。今日行ってきた千葉市美術館のチケットを幽霊に渡して宮島達男の作品を観てくるように伝えた。
そしてもし困ってるなら柿の木プロジェクトっていうのをやってるから美術館の人に相談すれば何か援助受けられるかもしれないと伝えた。
因みに柿の木プロジェクトは貧困支援と全く関係ない。恐らく美術館の人も困ることになる。でも俺にはこれ以上何も出来ない、宮島達男の作品観たら結果自殺しちゃうかもだけど、あのデジタルカウンターで何か救われる事があるかもしれない。そんな望みを託してチケットを渡した。 幽霊はチケットの裏に 「柿の木プロジェクト」とメモをしていた。少しはまだ生きる希望があるのだと少し安心した。結局そこで幽霊とは別れたが、街スナップの楽しさを感じさせて貰えた1日となった。