部屋の中にある森
彼の部屋はNorwegian Woodの曲が流されていた。
本棚には同じタイトルの小説が、ハードカバー版と文庫版の両方が揃って並んでいた。
レコードやギター、また、舞台となった街の写真もある。スクラップブックがテーブルの上に何冊か重ねてあり、中身はおおよそ見当がついた。
家具からは木材の香りがした。
彼は、僕のことを見つめているのに、どこか別のところを見ているような顔つきをしており、完全に、この小説に取り憑かれているように見えた。
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