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ギンナン

銀杏がある。
塩で炒って、つまもうか。
「くさいな。」
ハサミのギザギザした部分で殻に亀裂を入れながらボヤく。
鍋に銀杏とたっぷりの塩を入れて弱めの中火で炒る。

いよいよ食べられる。
長い道のりだ。殻を処理するのが面倒だった。指が痛い。トンカチがあればもう少し楽だったのか。

あたたかいうちに亀裂から殻を外す。
炒った実は色付いた葉と似た色をして鮮やかだ。指先で中身の弾力を確かめてみてから口へ運ぶ。苦味と、ほんのりと甘味がある。
香ばしさもわずかにある。
そこへ酒を流す。
酒の旨さが際立つ。
銀杏の苦さを確かめたくて、ついついつまみ、そこへ酒。
進む。

やはり銀杏の臭みがあるのだが、もう酔って麻痺してきているのか、クセになる。
ひとり頷きながら、酒を干す。


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