【第608回】待ったなし!防災大革命!〜防災庁、防災DX〜(2024/12/18) 山田太郎のさんちゃんねる クレジットカード問題 に関しても取り上げています! 【文字起こし】
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出演者:
(山田さん) 山田太郎 参議院議員
(小山さん) 小山紘一 政策秘書・弁護士
今日の内容
はい、第608回「山田太郎のさんちゃんねる」です。今回は「防災大改革」というテーマでお送りします。このテーマに関する決定版として、しっかりとお届けしたいと思います。
最近、さまざまな場所で防災特集が組まれたり、石破政権になってから政府も防災に力を入れているようですが、一体何をやらなければならないのか。特に、デジタル技術を活用して命を救えるかどうかについて考えていきます。今回の能登での大震災から得られた教訓も含めて、詳しくお話しします。
この番組を通じて、防災のあり方や、南海トラフ地震や首都直下型地震をはじめとした巨大地震への対策について、皆さんと一緒に考えていきたいと思っています。
今週の山田太郎
今週の動きについてお伝えします。今回の臨時国会ですが、本当に詰め詰めの状況です。週末までに間に合わないのではないかという懸念もあり、延長する話も出てきています。
現在、参議院が佳境に入り、私自身も「地方創生及びとデジタル社会の形成等に関する」の特別委員長として法案を抱えています。そのため、どうやって審議を進めるか、かなり大変な調整を行っています。
党の動きについてもお伝えします。文化立国調査会や知財調査会が本格始動しました。特に「知的財産戦略調査会」では私が事務局長を務め、来年に向けてさまざまな議論を進めていきます。これは非常に重要な内容を含んでおり、どこかで番組内でもお伝えしたいと思っています。
特に注目しているのは、コンテンツ産業の育成です。日本のコンテンツ産業を、自動車に次ぐ輸出産業として成長させるため、何ができるかを議論し、具体的な戦略を立ち上げたいと考えています。この内容についても、後日詳しくご説明したいと思います。
また、先日、日立製作所のIT部門と議論を行いました。テーマは「サイバーフィジカルシステム」で、かなり突っ込んだ意見交換が行われました。
これについては、日本企業(日立、NEC、富士通など)がどのような取り組みを行っているかを、番組内で紹介できればと思っています。普段話題に上がるGAFAMといった外資系企業だけでなく、日本のプレイヤーにも目を向けていますので、その動向をお伝えしたいと考えています。
さらに、「内密出産」に関する法制化の勉強会を、先週の土曜日か日曜日に実施しました。この会には熊本で「赤ちゃんポスト」を運営している蓮田先生をお招きし、久しぶりにお会いしました。私自身も以前、熊本の赤ちゃんポストを訪れ、蓮田先生と突っ込んだ議論をした経験があります。
今回の勉強会後、蓮田先生が東京に滞在された際には、食事を共にしながら出自を知る権利との対立について、さまざまな意見交換を行いました。このテーマについても、しっかり準備を進め、またどこかで詳しくお話ししたいと思います。
それから、「セミコンジャパン」という日本最大の半導体関連イベント・展示会に参加しました。私もパネラーとして招かれ、発言をしてきました。
テーマは日本の半導体戦略です。たとえば、ラピダスやTSMCの進出に関する展開について、日本がどう進むべきか。また、微細加工のような先端技術だけでなく、素材や機械といった分野をどう発展させるかについて、突っ込んだ議論を行いました。この日本の半導体戦略のあるべき姿について、時間があれば番組内でも詳しくお伝えしたいと考えています。
さらに、「日本グローバルサウス連携本部」の会合にも参加しました。これは、インドやアフリカなどの「グローバルサウス」と呼ばれる地域が、今後大きく成長していくだろうという背景のもと、日本がどのようにこれらの市場に関与すべきかを議論する場です。
先進国同士が市場を奪い合う中で、これから発展する地域に対して日本がどう戦略を取るか、という視点で話し合いました。私はインドやアフリカでの活動経験を活かし、この場でさまざまな意見を述べました。
特に、日本の漫画やアニメといったソフトパワーが非常に重要であることを強調しました。ODA(政府開発援助)についても、橋や道路といったハード面だけではなく、ソフト面でのアプローチが必要だと提言しました。
今週は、本当に濃密な1週間でした。展示会や会議が続き、さらに国会も会期末が近づき、調整が多かったため、非常に忙しい日々を過ごしました。
クレジットカード問題(オタク婚活アエルネ)
最初に本日お伝えするのは、新展開としての「クレジットカード問題」です。これは重要な緊急案件のため、防災の話題に入る前に皆さんにお伝えしたいと思います。
すでにTwitterなどで私からメッセージを発信しており、ご覧になった方も多いと思いますが、「オタク婚活のアエルネ」がVISAカードでの決済ができなくなったというニュースが大きな話題になりました。
突然、婚活サイトでVISAカードが使えなくなるという事態が起こりました。この件については、過去の「マンガ図書館Z」などの対応も踏まえ、私自身、いろいろと発言をしています。
本日、アエルネを運営する株式会社ちくちくの長谷川社長がわざわざ私の事務所に来られ、面談を行いました。これらを踏まえ、今回の流れやポイントについて説明したいと思います。
では、一連の流れについて、小山さんから説明をお願いできますでしょうか。
(小山さん)
12月14日、「オタク婚活のアエルネ」から、VISAカード決済停止のお知らせが発表されました。この知らせを受けて、山田さんとも休日ながら打ち合わせを行い、「これはかなりまずい状況ではないか」と話していました。
これまでも、違法ではなくても一部で問題視されていたサービスやコンテンツに対して決済が停止されるケースがありました。しかし、今回は特に問題が明確でないものまで対象となり、決済停止に至ったことが大きな問題だと感じました。
12月15日には、山田さんがこの問題についてTwitterで投稿しました。この投稿は大きな反響を呼び、「この対応はおかしいのではないか」という声が多く寄せられました。コンテンツへの決済停止も問題ですが、それ以上に「なぜ停止されたのか」という透明性や説明責任の欠如が疑問視されたのです。
(山田さん)
12月16日には、アエルネのお知らせが更新され、VISAカード決済が継続可能となった旨が発表されました。その後、株式会社ちくちくの長谷川社長から直接ご連絡をいただき、「意見交換をしたい」というお話になりました。
(小山さん)
本日12月18日、長谷川社長が山田事務所を訪れ、意見交換を行いました。その場で新しい事実がいくつも明らかになり、今回の問題の背景について深く知ることができました。
(山田さん)
詳細については、長谷川社長と決済代行会社とのやり取りのメールなどを逐一確認しながら、今回何が起こったのかが少しずつ明らかになってきました。ここで私から、今回の件について説明したいと思います。
まず、加盟店とアクワイアラーの間に「決済代行会社」が存在しています。この構造の中で、何が問題だったのかが今回のポイントです。結論から言うと、今回は決済代行会社自体の問題ではありませんでした。むしろ、決済代行会社はこの件で一生懸命対応してくれたようです。
問題は、アクワイアラーそのもの、またはそのさらに上に位置する構造にあるようです。アクワイアラーとは、加盟店のクレジットカード決済を取り扱う機関のことで、今回のケースでは、どうもアクワイアラー、あるいはその上位の管理機関が「決済を許可しない」という判断を下した可能性が高いと考えられます。
長谷川社長によると、10月の段階で「VISAが利用できなくなる」という連絡が入りました。その際、「利用規約の記述をもっと明確にしてほしい」という要請があったとのことです。このままではVISAカードが使えなくなるため、早急に対応が求められました。
その後、解決策の一つとして、他のアクワイアラーに切り替えるという案が浮上しました。決済代行会社は複数のアクワイアラーと取引を行っており、VISAカードを取り扱える他のアクワイアラーに切り替えることで、問題が解消する可能性があると考えられたのです。
しかしその審査結果を待つ間に、現行で取引のあるアクワイアラーから「12月末、あるいはそれ以前に利用が停止される可能性がある」と連絡がありました。これを受けて、アエルネは「月末までにVISAカードの使用ができなくなる」という発表を行いました。
私もこの問題を取り上げ、「オタク婚活においてもVISAが使えなくなるのか?」とTwitterで発信したところ、大きな反響がありました。
ただ、実際には、既存のアクワイアラーでの利用は停止されましたが、新たに別のアクワイアラーに切り替えたことで、決済が可能となりました。そして、12月16日には決済が復活したという流れです。
この件について、誤解されている方も多いようですが、今回の問題はアエルネが契約していた決済代行会社自体の責任ではありませんでした。
むしろ、決済代行会社は新しいアクワイアラーを見つけ、問題解決に尽力してくれました。しかし、SNS上では「決済代行会社が悪い」と決めつける投稿が拡散され、その名前が知られたことで、同社が風評被害にさらされています。
アエルネにとっても、利用停止の通知を受けた段階で新たなアクワイアラーを探さざるを得ない状況でした。その結果、問題を回避することができたのですが、決済代行会社が風評被害で業務に支障をきたすような事態は避けるべきです。
今回のように、問題の真相が明らかになる前にSNSなどで一方的な発言や断定的な情報が広まると、当事者や関係者に多大な迷惑がかかる可能性があります。
特に今回のケースでは、名前が出た決済代行会社が「問題の原因」とされるツイートや投稿が多く見られました。しかし、これは誤解に基づいている可能性が高いことを理解していただきたいです。
私自身も、このようなケースでは慎重に発言し、事実確認を進めることの重要性を感じています。今後も引き続き、何が問題なのかを正確に見極めていきたいと考えています。
(小山さん)
この件に関しては、いわゆる「金融検閲」に近い問題が指摘されています。ただ、決済代行会社が主導したものではないことは確認できています。問題は、恐らくアクワイアラーが「このサービスではVISAカードを使わせない」と判断し、実際にその方向で進んだことにあります。
しかし、このタイミングで新しいアクワイアラーの審査が通り、その経由でVISAカードが再び利用できるようになりました。
(山田さん)
左側に決済代行会社があり、その下に加盟店であるアエルネがあります。
もともとAというアクワイアラーがアエルネの決済を担当していましたが、Aが「サービス停止」を決定しました。
決済代行会社はその代わりにBという新しいアクワイアラーを見つけ、切り替えを行いました。
この経緯により、B経由でのVISAカード決済が可能となり、サービスが復活した。
なぜ一時的に「VISAが使えなくなる」という報道が流れたのでしょうか?これは、新しいアクワイアラー(B)の審査結果が出る前に、既存のアクワイアラー(A)から「月末を待たずに決済が停止されるかもしれない」と通知があったためです。この情報を受けて急遽「VISAが利用できなくなる」という発表が行われました。
しかし、その後、Bでの審査が通り、結果として決済が再開されました。この経緯が「復活した」と見られた理由です。
重要なのは、決済代行会社自体が問題を引き起こしたわけではない点です。むしろ、決済代行会社はアエルネを守るために新しいアクワイアラーを見つける努力をしていた可能性があります。しかし、一部では決済代行会社を「問題の原因」と決めつける誤解が広がり、風評被害が発生しています。
私はこのような誤解や風評被害は絶対にあってはならないと思います。正しい情報を共有し、実際に努力して問題解決に当たった関係者が不当に非難されることのないようにするべきです。
(小山さん)
一般論として恐縮ですが、自由闊達な議論をぜひ行っていただきたい一方で、注意してほしい点があります。それは、たとえ真実であっても名誉毀損が成立する場合があるということです。
ましてや、真実でない場合には、名誉毀損の可能性がさらに高まります。また、虚偽の風説の流布による業務妨害と見なされる場合もあります。不確かな内容や確信が持てない情報に基づいて攻撃的な投稿をすることは、ぜひ控えていただきたいと思います。
デジタル社会推進本部 新体制
(山田さん)
私は今回、防災DX(デジタルトランスフォーメーション)の担当にも任命されました。この件について、党の責任者として進めていく立場です。
政府では赤沢大臣を中心に防災DXを推進していますが、党としても私が担当責任者として取り組んでいきます。本日のテーマである防災についても、この責任者としての視点からお話しする内容になります。
石破政権の防災庁構想
今回の議論の入口として、「石破政権による防災庁構想」について触れていきたいと思います。この構想の意義や、何をすべきかについて、皆さんと一緒にしっかり考えていきたいと思います。
石破さんはさまざまな政策を提案していますが、その中でも特に「防災省」や「防災庁」を設立する構想を強く推進しています。これまで、石破さんのカラーを明確に出せる政策が限られていましたが、この防災庁構想には非常に強い意気込みを感じます。彼のリーダーシップのもとで、この計画がどのように実現するのか注目したいところです。
一方で、防災庁や防災省の議論が加速した背景には、能登半島で発生した地震があると思います。今年の1月1日に発生した大規模な震災、その後の豪雨による被害で、能登地域は非常に厳しい状況に直面しました。
まず、被害の概要を整理します。10月29日現在の報道によれば、死者は421名、災害関連死は185名とされています。また、全壊した家屋は6000戸以上に上り、甚大な被害が確認されています。
特に、災害関連死の増加が目立ちます。この地震は、熊本地震とよく比較されますが、直接的な震災による死者に加え、二次被害などで亡くなる災害関連死の数が増加しています。
10月29日時点で185名だった災害関連死が、11月22日には235名、12月6日には247名と報告され、合計で475名が亡くなっています。また、現在も200名以上の遺族から災害関連死の申請が行われており、さらなる増加が懸念されています。
本番組では、亡くなられた方々に心よりご冥福をお祈りするとともに、被害を受けた方々にお見舞いを申し上げます。
こうした状況を踏まえ、「どんなことがあっても防災庁を創設すべきだ」という議論が高まっています。石破さんは政策実現への強い意欲を示しています。また、赤沢さんが政府内で防災DXを推進する責任者として任命され、党内でも期待が高まっています。
実は、赤沢さんと私は「デジタル本部」において、防災に関するプロジェクトチーム(PT)を共同で立ち上げた経験があります。当時、赤沢さんはPTの責任者、私は事務局長を務めました。党内では防災のエキスパートとして名高い赤沢さんが今回の任務を担うことで、防災庁設立への動きが一層具体化することを期待しています。
現在、防災庁の設置に向けた準備室が立ち上がっています。この準備室の室長は官房副長官が務め、官邸の内政トップが主導する形で重要メンバーが配置されています。
令和8年度中に防災庁を設置する計画で、来年中に議論を進め、骨太の方針に組み込み、体制予算を整えた上で再来年に設立を目指すというスケジュールです。
イメージとしては、私が以前「こども庁(現こども家庭庁)」を立ち上げた際のペースに近く、1年半ほどで完成させる計画です。このペースで防災庁が実現できれば非常に素晴らしいことだと思います。
これまで防災分野には明確な司令塔がなく、内閣府防災には約100名程度の職員がいるだけでした。さらに、大規模災害が発生すると、全員が現場対応に追われてしまうという状況が続いていました。
そこで、防災庁を新設することで、専門性を備えた組織として格上げし、平時からしっかりした体制を整え、大規模災害時には迅速に対応できる運用を目指します。また、省庁間の一時的な寄せ集めではなく、持続可能な組織として運営できる仕組みを構築することが目標です。
現状の課題として、内閣府防災の組織図は非常に脆弱であり、防災情報システムは参事官の下に少しだけ存在する状態です。他の関連機関、例えば消防庁や気象庁、防災科研(文部科学省傘下の研究機関)などはバラバラに機能しています。これらを統合し、防災庁または防災省という形で効率的かつ一元的に運用する必要があります。
計画によると、来年(令和7年)6月までに方針を固め、人員や予算の手配を経て国会で議論し、令和8年までに防災庁を設立する見込みです。このスケジュールは、こども家庭庁の設立ペースと同等、もしくはそれ以上の時間をかけて進められています。私自身、1年半で1つの大きな組織を立ち上げた経験がありますので、この計画も十分実現可能だと考えています。
(小山さん)
防災庁の設置に向けたスケジュールについて、骨太の方針を絡めるとなると、これが最速の進行かもしれません。石破さんが総裁になったのが、骨太の方針が発表された後の9月であることを考えると、令和7年の骨太に防災庁設置法を盛り込むことが最短の計画になる可能性があります。
(山田さん)
現在進行している議論として、避難所の状況改善が大きな課題となっています。今回の震災では、温かい食事が取れず、寝床も非常に厳しい状態でした。
特に今年1月1日の能登での被災では、寒い時期に一部の方がビニールハウスで避難生活を送るという状況が報告されています。その規模も1~2人ではなく、10人から20人程度が避難していたというケースもありました。
このような状況を改善するため、令和6年の補正予算を活用し、トイレ、食事、簡易ベッド、入浴施設といった基本的な設備を整備する計画が進められています。
また、防災体制のフェーズに応じた対応も議論されています。特に、DX(デジタルトランスフォーメーション)の活用が重要なテーマとして挙げられています。
ただし、DXを効果的に活用するためには、政府だけではなく民間の力を取り入れる必要があります。官民連携をどのように構築するかについて、党内で自由闊達な議論を行い、その提言を政府に届ける形が望ましいと考えています。
大災害時の対応タイムラインも作成されています。これにより、災害発生から復旧までの具体的な手順が明確化されることが期待されます。ただ、期待したい住民視点があまり反映されていないように感じます。このイメージでは、主に行政がどう動くかに重点が置かれていますが、最も重要なのは避難をする住民側の視点です。
災害発生からの72時間が勝負です。この期間にどうやって命を守るかが最優先であり、避難場所や物資の確保といった具体的な計画が必要です。しかし、住民視点での議論がまだ十分に行われていないのが現状です。この点については、党としてしっかり取り組んでいきたいと考えています。
(小山さん)
参考までに、国土交通省が以前出した大規模水災害に関するタイムラインには、住民視点がしっかり盛り込まれていました。防災庁の取り組みにも、こうした要素が加わることが望ましいと考えています。
想定される巨大地震
(山田さん)
次に、「想定される巨大地震」についておさらいしたいと思います。これは非常に重要なテーマで、多くの方に知っていただきたい内容で、想定される巨大地震には以下のようなものがあります。
南海トラフ地震
日本で最も議論されている巨大地震の一つで、広範囲にわたる被害が懸念されています。
首都直下型地震
東京を中心とした直下型地震で、経済や社会に甚大な影響を及ぼす可能性があります。
日本海溝・千島海溝周辺の地震
この地域は規模の大きさから、南海トラフや首都直下型地震以上の被害が出る可能性が指摘されています。
中部・近畿圏直下地震
中部地方や近畿地方での発生が予想される直下型地震、名古屋や大阪などの都市部が震源地になる可能性があります。
これらはいずれも、いつ発生してもおかしくない状況にあり、深刻なリスクとして認識されています。
まず、南海トラフ地震についてですが、マグニチュード8~9の規模が想定されています。これは東日本大震災を超える規模で、30年以内に発生する確率は70~80%とされていて、「事実上、必ず起こる」と言っても過言ではありません。
政府の予測によれば、死者数は32万3000人、被害総額は214兆円に上ると見積もられています。これは日本のGDP(約600兆円)の3分の1に匹敵する経済的損失です。
次に、首都直下型地震では、マグニチュード7クラスの地震が予測されています。こちらも30年以内の発生確率は70%と高く、死者数は2万3000人に達するとされています。首都機能の喪失に伴う経済被害は計り知れません。
さらに、千島海溝地震については、人口密度が比較的低い地域にも関わらず、想定される死者数は約20万人とされています。これは、広範囲にわたる影響が予測されることを示しています。
中部・近畿圏直下地震に関しては、具体的な想定はまだ不明ですが、同様に甚大な被害が予測されています。
これらの地震リスクを踏まえ、防災への対応は「静かな有事」とも言える最大の国内課題です。この問題を先送りすることは許されません。私自身、政治家として防災を重要課題と位置付け、過去5年以上にわたり取り組んでいます。
特に、防災分野におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進には強い自負を持っています。赤沢さんとも協力しながら、この取り組みをさらに前進させていきたいと考えています。
南海トラフ地震の被害想定
南海トラフ地震では、主に倒壊と津波による人的被害が想定されています。特に津波の被害が甚大で、高知県や和歌山県、大阪湾沿岸の低地では広範囲が水没すると予測されています。その結果、死者数が圧倒的に多くなると見られています。
阪神淡路大震災では倒壊による被害が顕著でしたが、南海トラフ地震ではさらに甚大な人的被害が見込まれ、最大で8万2000人が亡くなる可能性があるとされています。
南海トラフに備えたタイムラインも策定されていますが、現状では十分な物資や情報の供給が難しい状況です。救助や医療、燃料などに関する具体的なプロセスは提示されていますが、それを支えるデジタル技術や情報インフラが整備されていないため、実際の運用には課題が残されています。
首都直下型地震の被害想定
首都直下型地震でも甚大な被害が予測されています。例えば、
火災による死者:約1万6000人
倒壊による死者:約6400人
これらの数値は、地震が発生する季節(夏・冬)や時間帯(昼・夜)によって変動しますが、多くの人命が失われる可能性がある重大な災害です。
また、関連災害も深刻です。特に首都圏の大規模な水不足が予想されます。
東京だけで1200万人、首都圏全体では3000万人以上が影響を受けると見られ、ライフラインの寸断が大きな問題となります。
水道局や工事関係者も被災する可能性があるため、修復が遅れることが予想されます。その結果、水が確保できないことで健康被害や生活困難が広がり、トイレや入浴などの基本的な衛生環境の維持も難しくなります。
災害発生後の住宅被害とそれに伴う住宅難民問題も深刻です。首都直下型地震が発生した場合、直接的な被害として家を失う人々が多数出ることが想定されます。さらに、避難先の確保や帰宅難民の発生も大きな課題となります。
経済や産業にも甚大な影響を与えると考えられており、直接的な被害だけでなく関連する被害への対応が必要です。
千島海溝地震の影響
千島海溝地震では、津波による死者が20万人に上ると想定されています。特に釧路地域などが深刻な被害を受けると見られています。人口密度が低い地域であるにもかかわらず、このように多くの死者が想定されるのは、広範囲にわたる被害の規模を示しています。
南海トラフ、首都直下型、千島海溝、中部直下型といった各地震のリスクを正確に把握し、国民全体で防災意識を高めることが重要です。
過去の地震と課題
これまでの震度7以上の地震は頻繁ではありませんが、震度6以上の地震は1919年から2023年までに20件以上発生しています。これには、最近の能登の地震は含まれていませんが、それでも十分に多い数です。
関東大震災、阪神淡路大震災、東日本大震災を見てみると、東日本大震災では約1.8万人、阪神淡路大震災では役5500人の死者が出ました。関東大震災は大正時代の出来事ですが、その規模や影響は未曽有のものでした。
しかし、南海トラフ地震や首都直下型地震では、これらをはるかに上回る規模の被害が予測されています。南海トラフ地震では32万人以上、首都直下型地震でも数万人の死者が見込まれており、その被害規模は「事実上必ず来る」とされる将来の災害において、非常に深刻なものです。
震度7の地震と関連死の問題
震度7を観測した地震では、直接的な被害だけでなく、災害関連死が大きな課題となっています。最近の例として、能登や熊本の地震がありますが、特に能登では災害関連死が熊本地震の222名を上回ると報道されています。現在も申請ベースで増加が予想されており、深刻な状況です。
地震による死因としては、建物の倒壊による圧死や津波による溺死が挙げられます。しかし、それ以上に深刻なのが災害関連死です。
熊本地震では、直接死が50名だったのに対し、関連死は226名と、直接死を大きく上回りました。この現象は、「災害後の対応不足」が原因であるとも言えます。関連死はある意味で人災であり、政府や行政が適切に対応できなかった責任が指摘されます。
関連死の原因は多岐にわたります。
避難所での精神的・身体的負担
医療機関の機能停止や転院時の健康悪化
ライフラインの途絶によるストレスや健康被害
東日本大震災では、避難生活による疲労が原因で関連死した方が638名と報告されています。震災を逃れても、その後の二次災害が被害を拡大させています。
地震そのものを防ぐことはできませんが、関連死は防ぐための努力が可能です。これには、政治が強い意志を持ち、徹底的な対策を講じることが求められます。
特に、避難所の環境改善や医療体制の維持、ライフラインの迅速な復旧といった具体的な対策を講じることで、関連死をゼロにすることを目指すべきです。
日本には災害に関する法律が300を超えると言われています。これらは、水害、土砂災害、地震、津波、火山、原子力災害、巨大地震(南海トラフや首都直下型地震)など、それぞれ異なる災害に対応する形で個別に制定されてきました。その結果、法体系が非常に複雑化し、行政の対応も統一性を欠く状況に陥っています。
日本は法治国家であり、行政の対処や補償は法律に基づいて行われます。そのため、法体系がバラバラであることは、災害時の対応が統一されず、住民への支援や物資供給に混乱をもたらす可能性があります。この状況は、災害対応のデジタル化やシステムの一元化にも支障をきたすため、早急な法整備が求められます。
災害発生時の責任者についても課題があります。基本的には、災害時の住民対応の責任は、市区町村長(基礎自治体の首長)にあります。しかし、台風や河川の氾濫、大地震など広域にわたる災害では、市区町村だけで対処しきれない場合が多くあります。
例えば、能登の震災では、輪島市や石川県だけでは対応が難しく、国や自衛隊、他の都道府県からの支援が必要となりました。このようなケースでは、国、都道府県(広域自治体)、市区町村(基礎自治体)の役割分担や連携体制が明確でないと、効果的な対応が困難になります。
特に、住民の避難命令を発令する権限が市区町村長にある現行の体制が、広域災害に適しているかどうかも再検討が必要です。
現状では、防災計画が各地域や災害ごとにまちまちな状態です。これを統一化し、一元的な対応が可能となるよう整備することが重要です。防災対策の効率化と迅速な対応を実現するためには、法律や責任体制の再整理が不可欠です。
防災DXへの山田太郎の取り組み
私が防災に関わるようになったのは、2021年1月24日、菅総理に提言を行ったことがきっかけです。この日は「こども庁」(後のこども家庭庁)の提言を行った日でもありましたが、実はもう一つ、「防災情報庁の設置」という幻の提案書も同時に提出していました。
こども庁の提案は後に実現しましたが、防災情報庁の提案はそのまま埋もれてしまいました。しかし、現在進行している防災庁の議論を通じて、この提案が再び日の目を見ることになったと感じています。
防災情報庁提案の内容
当時の提案では、以下の点を特に重視していました。
司令塔の設置
防災に関する指揮を執る一元的な機関を設ける。
デジタル技術の活用
人々の安否や必要物資を迅速に把握するためのデータ整備を進める。例えば、高齢者や障害を持つ方、持病を抱える方が必要とする支援情報を統合する。
国と地方の連携
現状では、災害対応が省庁や地方自治体ごとに分断されています。これを統一し、ルールやガバナンスを明確化する必要があります。
これらの提案は、巨大震災において橋や建物の強化だけでは救えない人命を守るための方策です。情報を的確に活用し、適切な支援を届ける仕組みを構築することが目標でした。
住民視点の重要性
特に強調したいのは、住民視点の欠如です。当時の提案では「マイタイムライン」という概念を提唱しました。これは、住民が災害発生後72時間をどう生き延びるかをサポートするための情報提供を指します。具体的には、
津波発生時にどこへ避難すれば安全か。
物資がどこにあるか。
避難場所での必要情報。
住民が自らの命を守るための行動を計画・実行できるよう、情報を整備することが求められます。現在の防災庁の議論において、この住民視点が十分に反映されていないことは大きな課題だと感じています。
現在、防災科研を中心に「SIP4D」というデジタル防災プラットフォームが開発されています。一部では既に活用されていますが、法体系や運用体制の分散が課題となっています。
特に、災害対応が市区町村の首長に委ねられている現状では、広域災害に対応するには限界があります。
例えば、河川の氾濫が上流のダム放流から始まり、下流域で大規模な被害をもたらすケースでは、市区町村や都道府県をまたぐ広域対応が必要です。
しかし、避難命令は基礎自治体の首長が出す仕組みのため、迅速な対応が難しい場合があります。基礎自治体が住民の状況を把握していることは重要ですが、広域的な災害には国や他の自治体との連携が不可欠です。
千曲川の決壊では、上流での雨が原因で大量の水が下流に流れ込みました。しかし、雨が止み、警戒情報が解除された後に水位が上がり、川が氾濫するという時間差がありました。
このような状況では、住民が「もう安全だ」と判断してしまい、逃げ遅れるケースが発生します。結果的に、防波堤が決壊し、避難が間に合わずに命を落とす人が出ました。
この事例から、水害は広域的かつ時間差を伴う災害であり、情報提供のタイミングや精度が重要であることが分かります。
大雨特別警報や避難勧告が出されても、多くの住民は行動を起こさない現実があります。これは、「いつものことだ」と警報を軽視する傾向や、避難行動が遅れる心理的要因によるものです。
千曲川の例では、鐘の音や水位の急上昇に直面して初めて危機を認識した人が多かったことが報告されています。こうした状況を防ぐためには、住民にとって分かりやすい警報の仕組みや、早期の避難行動を促す情報提供が必要です。
現在までの取り組みと今後の対応策
広域災害への対応体制の強化
基礎自治体だけでなく、国や広域自治体が連携し、迅速かつ効率的に対処できる体制を整備する。
住民行動を促す警報の改善
警報の信頼性を高め、住民が緊急性を認識しやすい形で情報を提供する。
デジタル防災プラットフォームの活用
「SIP4D」などのプラットフォームを活用し、データの一元化や災害情報の共有を推進する。
広域的な情報提供と、地元でのきめ細やかな情報発信の重要性が高まっています。例えば、河川の水位をリアルタイムで確認できるカメラ設置が進みつつあり、住民が自ら現状を把握しやすくなるような仕組みが必要です。こうした取り組みは、避難の判断をサポートする上で重要です。
私が防災に関与するきっかけとなったのは、デジタル庁設立時の提言でした。当初、防災はデジタル庁の機能として含まれていませんでしたが、小山さんとともに作成した提言書で強く主張し、防災を重要な分野として位置付けることができました。
デジタル政務官として在任中、2023年の重点計画に防災分野を明確に組み込むよう働きかけました。これにより、防災関連のベースとなるインフラ整備が進み、デジタル庁が支援する形が確立されました。
政務官退任後は、党のデジタル本部に戻り、赤沢大臣とともに防災に関する議論を主導しました。当時、私は事務局長として議論をまとめ、提言書を作成しました。
この提言書は岸田総理をはじめ、防災担当の谷大臣にも提出され、その内容をもとに議論が進められました。
2022年10月から2023年にかけて、党内での継続的な議論を通じて、防災に関する具体的な提言が整えられたことは重要な成果の一つです。この提言書は、今後の防災政策の基盤として位置づけられています。
これまでの取り組みを基に、さらなる防災インフラの整備と、住民に寄り添った情報提供の強化が必要です。デジタル技術を活用した防災体制の構築は、災害時の命を守るための大きな一歩です。
私が提案した「防災IoT」の概念は、防災の仕組みを根本から再構築することを目指したものです。これは赤沢さんの指導のもとで発展し、「防災新時代」として具体的な提言にまとめられました。この提言では、防災情報を効率的に収集・提供し、災害時の対応力を高めるための基盤を示しています。
防災の仕組み:木の概念図
提言の中心となるのは「木」をイメージした構造です。
根(各省庁の情報収集)
各省庁から災害関連情報を吸い上げる。
幹(情報の統合と管理)
情報を一元化して効率的に整理・処理する。
枝葉(情報の提供とアプリケーション)
統合された情報を住民に提供する仕組みを構築。避難アプリや防災シミュレーションツールなどが含まれます。
提言書では、以下の重要課題に対する対策を挙げています。
通信ネットワークの確保
停電や通信途絶時にも情報を共有できるインフラを整備する。
個人情報の取り扱い
災害時のGPSデータ利用や命に直結する情報の扱いを法律で担保する。
(例:熱海の土砂災害での課題)
避難システムの構築
デジタルツインを活用し、地滑りや水害のリスクを事前にシミュレーションできるツールを開発する。
各省庁が何を担当すべきかを具体的に定め、効率的な連携を実現する。
デジタル庁がこの提言を基に取り組みを進めており、防災分野の基盤整備が進行中です。私がデジタル政務官として取り組んだ内容が現在の活動に反映され、半年以内に防災庁のデジタル戦略が具体化される見通しです。
これらの取り組みを実行に移すことで、防災体制の効率化と住民の安全確保が一層進むと確信しています。デジタル技術を活用した包括的な防災戦略の構築が、次世代の防災を支える基盤となるでしょう。
従来の防災ネットワーク「SIP4D」には、いくつかの課題がありました。その中でも特に指摘されていたのは、専用ネットワークを基本としていたため、スマホやタブレットなど現場で使いやすい端末に対応しにくかった点です。
これを受け、現在は「総合ウェブ」としてインターネット経由でアクセス可能な仕組みに移行しています。さらに、セキュリティを強化し、現場での活用を想定した設計となっています。これにより、現場の端末を用いて情報の収集や指示がスムーズに行えるようになりました。
地形情報の連携
災害時の地形データや避難所の情報を統合し、支援計画を立案しやすくする。
デジタル対応の推進
従来の紙媒体やファックスによるやり取りを廃止し、全てデジタルで管理。これにより迅速な情報共有が可能となります。
通信・電源対策
災害時でも通信が途絶えない仕組みや、電源の確保を強化。
「SOBO-WEB」は、従来の課題を克服し、現場での防災活動を大きく改善する基盤となります。自治体や現場スタッフがより効果的に連携し、迅速に対応できる体制を構築するため、引き続きデジタル技術を活用した進化が期待されます。
アメリカでは、大統領をはじめとした政府が戦争状態や災害時に取るべき行動がマニュアル化されています。一方、日本では、各自治体の首長が防災対策本部長を務めるものの、新任の市長や首長には災害対応の経験が少ない場合があります。このため、災害時に迅速な指示や避難命令を出せるよう、マニュアル整備が欠かせません。
この背景を受けて、日本版EEI(Essential Elements of Information)の整備が進められています。災害内容に応じて、首長が何をしなければならないかを明確化することが目的です。現在、この基盤は順調に構築されています。
新総合防災情報システム「Sobo-Web」の立ち上げ
新たに立ち上げられた「総合ウェブ」は、官民連携を基盤とした防災情報システムです。官の持つ情報を民間が提供するアプリケーションを通じて住民に届ける仕組みが整備されました。
これにより、インターネットを活用した情報提供が進み、スマホやタブレット端末でも防災情報を確認・活用できるようになりました。
日本版EEIの構築にあたり、災害対応プロセスを細かく検討し、必要なデータ整備を進めてきました。一日にして完成するものではありませんが、これまでの議論や取り組みが徐々に形となり、実効性のある仕組みが整備されつつあります。
2019年に提出した「幻の提言書」に含まれていた内容は、当時は直接政府に採用されなかったものの、その後、党内の議論や私自身のデジタル大臣政務官としての活動を通じて実現へと近づきました。これらの提案が現在の防災システムの基盤となったことは、大変意義深い成果だと感じています。
日本版EEIと総合ウェブは、迅速で効率的な防災対応を可能にするための重要な基盤です。これをさらに発展させることで、災害時の対応力が一層向上することを期待しています。
能登地震では、物資の供給に関する課題が浮き彫りになりました。プッシュ型で物資を送る仕組みでは、避難所に必要以上の物資が届き、供給が偏ることがありました。例えば、1000~2000人が避難している場所に何万個ものおにぎりが届けられるなど、供給量が過剰になるケースが見られました。
今後の改善策としては、以下が挙げられます。
既存の流通網の活用
コンビニやスーパーの在庫管理システム(POS)を活用し、現地の需要に応じた供給を行う。
地形や道路状況に応じた供給方法の確保
自衛隊やヘリコプターを用いた輸送も含め、柔軟な対応を計画。
被災自治体の限界を考慮した外部支援
現地の市役所職員も被災者となるため、外部からの支援体制を事前に整備する。
能登地震の教訓として、被災地ではデータを作成・管理するスキルを持つ人材が不足している現実が浮き彫りになりました。輪島市や能登全体のように、人口が少ない自治体では専門人材が限られており、災害時にデータを即時作成・更新する余裕がないのが実情です。
以下の対応策が求められます。
事前準備の強化
データの事前準備を徹底する。ただし、小規模自治体では負担が大きいため、国や広域自治体が支援を行う必要があります。
広域自治体によるサポート体制の構築
小規模自治体に全てを任せるのではなく、広域自治体が主導してデータ管理や災害対応のバックアップを提供。
能登地震の教訓を活かし、物資供給の最適化とデータ管理の効率化が防災対策の重要課題となります。これを実現するためには、官民連携によるシステム整備や広域的なサポート体制の強化が不可欠です。
能登地震でも、個人情報の扱いやデータ利用に関する課題が浮き彫りになりました。具体的には、以下のような問題が発生しています。
個人情報の取り扱い
災害時、意識を失った被災者の医療情報や薬の情報を紐付けることが難しいケースがありました。GPSデータや救急搬送時の情報も個人情報保護法の制約で十分に活用できない状況が課題となっています。
著作権問題
被災地で使用された画像やデータが著作権に抵触する問題も報告されています。これらの課題を克服するため、災害時のデータ利用に関する法律の整備が必要です。
データ標準化の重要性
今回の震災では、以下のようなデータ関連の課題も浮き彫りになりました。輪島市や能登地域では独自のシステムが使用されていましたが、国のシステムと互換性がないため、情報の統合が困難でした。
分析・意思決定の困難さ
データが標準化されていないと分析や意思決定が遅れるため、事前のマニュアル化や専門家の現地派遣が求められます。
今回のまとめとお知らせ
能登地震では、データ不足が問題となり、県レベルでも必要な情報が十分に収集されていませんでした。災害発生後、情報を掻き集めて共有したものの、そのデータに基づかない意思決定が行われるケースも見受けられました。
また、災害対応には単に防災知識を持つだけではなく、国、県、市区町村の役割分担や法律に基づいた広域的な視点を持つ指揮官が必要です。現状、このような総合的な能力を備えた人材が十分に確保されていないことも課題です。
システムの専門家の視点から言えば、ネットワークとデータは別物であり、それぞれが整備されなければなりません。ネットワークがあっても、データ構造やフォーマット、意味が統一されていなければ、情報のやり取りはできません。
例えば、住民情報の活用において、高齢者や障害者に適切な避難指示を出したり、個別の健康情報や既往歴が必要です。政府が進めているマイナンバーや医療データの統合も、災害時のこうしたニーズに対応するために活用されるべきです。
災害時には、物資の供給にも課題が生じます。東日本大震災や能登地震の例では、必要以上の物資が届き、現場が対応しきれなくなる問題が発生しました。例えば、数十枚の毛布が必要だった場所に1万枚が送られるなど、過剰供給が避難所の負担を増やしています。
腐敗するおにぎりや使われない物資が山積する状況を防ぐためには、以下の対応が必要です。
物資のハブ機能の設置
中央で物資を管理・分配するセンターを設け、供給の最適化を図る。
既存流通網の活用
地元のスーパーやコンビニの在庫を効率的に利用し、過剰供給を防ぐ。
需要に基づいた供給計画
必要な物資量を正確に把握し、データに基づいて供給を管理する。
避難所設定とデータの重要性
避難所の設定において、単なる住所や場所の情報だけでは不十分です。能登地震では、ビニールハウスが救急避難所として使われるケースが見られました。体育館を避難所とする場合でも、エアコンや暖房設備、積雪への耐性などの情報がなければ、適切な物資や支援を提供できません。
これらのデータを平時から整備し、シミュレーションを実施することが重要です。特に小規模自治体では対応が難しいため、広域自治体や国が主導する必要があります。
スマホを活用したアラーム配信や避難所案内は、迅速な避難を可能にする重要なツールです。以下の情報をリアルタイムで提供する仕組みが求められます。
最寄りの避難所の場所と設備状況
物資の配布場所
ATMの稼働状況(現金供給の確保)
能登地震では、避難生活中にATMが利用できない問題が指摘されました。災害時のライフライン復旧には、民間との連携が不可欠です。
デジタル技術による防災の重要性
災害対応において、デジタル技術の活用は命を救う鍵となります。データの整備、情報のリアルタイム配信、避難所の属性情報の管理は、いずれもデジタル化なしでは実現が難しい課題です。
現在、党内外でデジタル防災を主導している少数の専門家とともに、引き続き議論を深め、具体的な政策として実現させる責任を持って取り組む所存です。
防災における人材育成の重要性
デジタル分野全般と同様に、防災分野でも人材育成が極めて重要です。一部では「マニュアルを整備すれば十分」という考え方もありますが、マニュアルは災害発生時にそのまま使うためのものではありません。むしろ、マニュアルを活用しつつ、実際に現場で判断・行動できる人材を育てることが肝心です。
例えば、南海トラフ地震のような大規模災害時に、各所で指揮命令を行える専門家を確保するのは容易ではありません。内閣府防災には約100人しか人員がおらず、都道府県との連携を含めても、十分なスペシャリストを揃えるのは現状難しい課題です。このため、防災庁による人材育成と確保には大きな期待が寄せられています。党としても、こうした取り組みを支援していきたいと考えています。
視聴者へのお願い
本日の防災特集では、多くの方に見ていただきたい内容を取り上げました。ぜひ、番組の内容を拡散し、ご意見をお寄せください。
特に、被災経験のある方から、実際に何が起こったのか、現場の状況についての情報提供をお願いしたいと考えています。こうした知見を集め、ともに命を守る取り組みを強化していきたいと思います。
年末のイベント情報 フォーラムとコミケ街宣と売り子の予定
年末には「表現の自由を守る会フォーラム」を開催します。
日時:12月29日(日)17時半~2時間
ゲスト:赤松健さん
このフォーラムでは、表現の自由に関するさまざまな問題を皆さんと一緒に考える時間を設けます。また、コミックマーケット(C105)では街宣活動や売り子も行う予定です。ぜひ会場でお会いできればと思います。
12月29日(土)の15時から15時20分まで(予定)です。変更の可能性もありますが、例年通り行わせていただきたいと思います。また、売り子として新刊やリバイバル版など、さまざまな品物を販売予定です。
日時は12月30日(月)の10時から13時頃を目安にしています。場所は東館A54aです。表現の自由を守る会のブースとして出展しますので、ぜひお立ち寄りください。お待ちしています!
本日の防災特集は以上です。引き続き、命を守るための防災対策を皆さんと共に考え、実行していきたいと思います。ご視聴ありがとうございました。