【第598回】新内閣誕生!石破政権に問う❗️(2024/10/02) #山田太郎のさんちゃんねる 【文字起こし】
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発言者:
(山田さん) 山田太郎 参議院議員
(赤松さん) 赤松 健 参議院議員
(小山さん) 小山紘一 山田さんの秘書
今回のテーマ
(山田さん)
はい、始まりました、今日はギャラリーが賑やかで、さんちゃんねるには、私のサロン会員の方々が何人か参加していただいているので、いつもより拍手が大きかったかと思います。さらに今日はゲストに赤松さんをお招きしています。
(赤松さん)
久しぶりの出演ですね。
(山田さん)
でも、毎日お会いしているので、あまり久々な感じはしませんね。
(赤松さん)
夏コミで一緒にフォーラムもやりましたし。
(山田さん)
というわけで、今日は「新内閣誕生! 石破政権に問う」というテーマで、石破政権ができるまでの話をしてから、我々から少し注文をつけたいなと思っています。昨日、新政権が誕生しましたが、「5つの守る」ということを石破さんは言っていたので、それを守ってほしいという点も含め、今日はじっくり説明したいと思います。
今回の総裁選、赤松さんは「挙総戦選挙管理会」という立場でしたね。これは赤松さんにとっても初めての経験だったんじゃないでしょうか。
(赤松さん)
何だかちょっと不思議な感じですよね、このメンツで、私1人だけ当選1回、上の方は11回や12回といった重鎮ばかりです。
(山田さん)
僕としては選挙管理委員が重鎮でなければいけないとは思っていませんので、問題ないと思います。
ただ総裁選の経験がないと、どういう形で進めるか分からなかったのではないかと思いますが、赤松さんはひな壇に登っていましたので、我々投票する側とはまた違う景色が見えたのではないでしょうか。その辺の苦労話も、もう終わったことですし、言える範囲でお話しいただければと思います。
この総裁選を振り返りながら、石破政権がどんな政策を進めようとしているのかも考えていきたいと思います。特に我々二人は「表現の自由を守る」ということを大事にしていますので、その点に関しても、石破さんに対する注文をいろいろと話したいと思っています。
総裁選の振り返り
(山田さん)
前回、総裁選特集を行いましたので、今日は簡単におさらいしますが、今回の総裁選は2段階で総裁が決まりました。仕組みの詳しい説明は割愛しますが、1回目の投票では過半数を取った候補者がいなかったため、9人の候補者の中から、最終的に石破さんと高市さんが決選投票に進み、石破さんが選ばれたという流れです。
(山田さん)
今日は、配信で見た写真や、私が会場で撮った写真などを振り返りながら、その様子をお話ししたいと思います。
自民党本部8階にホールがありまして、そこに300何人だっけ?結構な人数が入りました。かなり狭かったです。赤松さんは壇上でゆとりのある席に座っていたと思いますが。
(赤松さん)
あそこ暑いんですよ。
(山田さん)
僕らはエアコンが効きすぎていて、逆に寒かったです。しかも、トータルで3時間半ぐらい座りっぱなしでした。投票の流れとしては、壇上に記名する場所があって、そこに階段を上る際に自分の名刺を渡すと、投票用紙がもらえます。その場で名前を書いて、目の前にある投票箱に入れる形です。
(赤松さん)
書く場所は9か所あって、微妙に狭いですが、広いと肘の動きで字が分かってしまうので狭くしてあるんです。
(山田さん)
でも3文字だったら「石破さん」かなと思いますが。
(赤松さん)
カタカナもOKなのでわかりませんね。
(山田さん)
あまりカタカナで書く人はいないんじゃないかと思いますけど。
(赤松さん)
カタカナで書いている人もいました。選管の事務の人がその用紙を見せて回って、2列目から立って見たんですが、そうして「オッケーですよね?」と確認していました。
(山田さん)
1回目の投票結果として、9人の候補者の中から石破さんと高市さんが選ばれました。意外だったのは、当初、小泉進次郎さんが強いと言われていたんですが、中盤から終盤にかけて党員票を減らしたということです。その中で、高市さんが急激に票を伸ばしました。特に驚いたのは、高市さんが党員票で石破さんを抜いたことです。108票対109票という結果で、会場がどよめきました。
(赤松さん)
国会議員票も党員票も、高市さんの方が多かったんです。
(山田さん)
面白かったのは、高市さんが優勢だと伝わると、株価がどんどん上がったことです。これは「日本経済には高市さんの方が良いだろう」という判断からです。
(赤松さん)
山田さん、これは予想していましたか?この順序は。
(山田さん)
ええ、実はもう今だから言えますが、高市さんと石破さんが決戦投票になるだろうとは予測していました。3位には小泉さんが来ると思っていましたが、林芳正さんが4位でかなり善戦したことにも驚きました。
今回の総裁選では、2人の候補に5分ずつ演説の時間が与えられるという異例の決戦投票になりました。
(赤松さん)
選管の逢沢さんが提案して、皆で検討したんです。この5分間で票操作が行われる危険がないか心配する声もありましたが、結局演説の時間は設けられることになりました。スマホは禁止にしましたが、写真を撮るくらいは許可されていましたが、操作を始めると注意ということで。
(山田さん)
僕は、最後のあの演説は良かったと思います。最後の演説は圧倒的に石破さんの方が良かったですね。高市さんはちょっと時間が足りなかったのと、あとは少し公明党に配慮するような演説が気になった感じがしました。
(赤松さん)
今回初めてのことでしたが、うまくいったならば次回も行われると思います。
(山田さん)
なるほど。ということで、次が決戦投票で最終的に石破さんが勝ちました。これは、正直言って僕は意外でした。高市さんがこのまま勝つんじゃないかと思っていたんです。
(赤松さん)
1回目で議員票も党員票もどちらも高市さんが上だったので。
(山田さん)
そうなんですよね。党内では「大変な選択」「地獄の選択」と言っていた人もいたらしいです。私ではないですが、選びにくいという議員が多かったそうです。最終的には、石破さんが16票差(国会議員票)で勝ったということで、8票が動けば結果が変わる接戦でした。
この選挙結果を受けて、そのまま両議員総会が行われ、自民党総裁が決まりました。そして、昨日の本会議で総理大臣が正式に決まったという流れです。
(赤松さん)
山田さんにとっては初めてのことではなかったですか?
(山田さん)
いや、もう何回目だろう。
(小山さん)
最初、安倍総理が途中で辞任されて、任期を引き継ぐ形で菅さんが選ばれました。そして次に岸田さんが選ばれて。
(山田さん)
自民党に来てから3回目になります。それから、野党時代にも何回かあったので、国会議員になってからは何回か経験しています。
ということで、石破さんは2回目の投票で国会議員票も党員票も伸ばして勝つ結果となりました。党員票では高市さんの方が1回目は多かったんですが、なぜ2回目に逆転したかというと、東京や名古屋、大阪の大都市圏では高市さんが強かったんです。でも、2回目は都道府県単位での投票になるため、各都道府県で1票ずつのカウントになります。その結果、石破さんが有利になったということです。
赤松さん、どう思いましたか?
(赤松さん)
ええ、最初にカウントされた数字や実際の票の束が来たとき、正直「えっ」と思いましたね、顔に出ちゃって。
(小山さん)
カメラにその瞬間が映っていました。
(山田さん)
でも、どう驚いたかまでは分からないですよね。
(小山さん)
永田町界隈政党関係者の間では、トップ3は石破さん、高市さん、小泉さんの3人のうち誰かだろうと言われていました。そして、石破さんと高市さんが残った場合は石破さん、石破さんと小泉さんが残った場合は小泉さん、小泉さんと高市さんだったら高市さんが勝つという予測もされていました。
今回の結果は、その予測通りに石破さんと高市さんが残り、最終的に石破さんが勝ったという形になりました。
(山田さん)
ということで、石破さんが選ばれました。
せっかくここに選挙管理委員の赤松さんがいるので、選管の仕事について少し話を聞いてみましょう。
(赤松さん)
今回の選挙は15日間ありましたね。史上最長です。
(山田さん)
ちょっと長すぎる感じがしますが。
(赤松さん)
それには理由があって、候補者が9人もいたので、通常の日数だと短すぎるんです。それで、15日に延ばすという決定を最初にしました。候補者それぞれがたくさん話す必要があったので、予備選をして候補を半分くらいに絞れば、もっと短くできたと思います。
(山田さん)
短かったら、小泉さんが有利だったかもしれませんね。
高市さんはあそこまで最後に伸びなかったような気がします。
(赤松さん)
全員本当に疲れたと思いますよ。討論会に飛行機で移動して、到着したらすぐにバスで会場に行って、すぐに登壇してそのまま演説ですからね。よく体力的に持ちこたえたなと感心しました。
私は広報担当だったので、キービジュアルを描いたんです。これが届け出順にぐるっと時計回りで並んでいるデザインで、とても評判が良かったんですよ。
(山田さん)
党内でも貼ってあるのよく見かけました。
(赤松さん)
よく見ましたね、他にもSDキャラみたいなデザインも描いていてお渡ししたんですけど、時間がなくて、なかなか皆さん使いにくかったみたいです。たまに番組の背景に貼ってもらったりしました。
(山田さん)
今回の選管メンバーはかなり人数が多く、重鎮の方々も多かったようですが、雰囲気はどうでしたか?
(赤松さん)
特に決戦投票では、議員票が非常に重要でしたよね。それが党員票軽視に繋がるのではないかと、本気で議論していました。あとは、5分間の演説があった時も、その裏で何か不正が行われるのではないかと心配していました。みんな真剣に取り組んでいましたが、私の広報コーナーだけは、皆さんをイラストにしたりして、和やかな雰囲気でした。
今回、総裁選の仕組みを説明する漫画を3回ほど描いたんですけど、それを出したときには「私が描かれている!似てる!」と、すごく喜んでくれて、選管の憩いの場になっていましたね。私のコーナーだけはみんなニコニコしていた感じです。他は非常に真剣に議論していました。
(山田さん)
また、当日は都道府県票が誰に入っているかという情報が、LINEやメールでどんどん飛び交っていたんですよ。
(赤松さん)
あれは選管でも問題視されていました。
(山田さん)
記者や他の人たちが、聞いてもいないのにわざわざ情報を送ってくるんです。でも、47都道府県の全ての結果を揃えるのは不可能なので、そんな情報をもらったところでどうしようもない。
(赤松さん)
正確なことは全然分からないという状態でしたね。
(山田さん)
結構「山田さんは誰に投票したんですか?」って聞かれるんですけども、僕も誤解されるのが嫌なので、この場で初めて自分が誰に投票したのかを発表しちゃいたいと思います。
実は、1回目の投票では小林鷹之さんに入れました。誰に投票するかを決めるにあたって、最大のポイントは「表現の自由をしっかり守ってくれる人」ということでした。特に、漫画やアニメ、ゲームを含むエログロや暴力シーンがあったとしても、それを理由に表現を規制しないと明言してくれた候補者を選びました。これは1回目も2回目も同じ基準で選びました。
1回目の投票は、本当に良い候補者がたくさんいたので、誰に入れるか最後の最後まで悩みました。前日の夜まで決めかねていて、ネットで皆さんのいろんな意見を聞いたり、私のオンラインサロンのディスコードでいただいたご意見を参考にしました。「この人だけは絶対ダメ」とか「表現規制をする可能性がある人はやめてくれ」といった意見を加味して、最終的に投票しました。
9人の候補がいたので、バラつきがありましたので多数決にはせず、自分なりにマトリックスのようなものを作って整理しました。そして、最終的に第1回目は小林さんに投票しました。小林さんとは一緒に仕事をしたことがあり、知財戦略でも一緒に取り組んできました。また、経済安全保障の問題でも、私が関わった知財調査会が元となり、彼が経済安全保障担当大臣に就任しました。国会での答弁も安定していて、立派だなと思ったので、若手の候補者が自民党を変えてくれるのではないかと思い、政策面でも小林さんを選びました。
さて、問題は決戦投票ですが、2回目の投票、どちらだと思いますか?
(赤松さん)
私は、高市さんかなと思いますが。
(山田さん)
そうですね、2回目は高市さんに投票しました。
今日は石破さんについては後で話しますが、まずは高市さんについて、表現の自由に関しては、高市さんにも課題があるのは正直なところですが、実は前日に電話で10分ほど話す時間をもらい、絶対に表現規制はしないという確約をいただきました。かなり細かい話も高市さんとはできたので、その懸念は払拭されました。結果、高市さんに投票しました。
ちなみに、私は石破さんとは一度も話したことがなく、石破さんや茂木さんとは接点がありません。他の候補者の方々とは、携帯電話で連絡を取り合ったり、さまざまな局面で一緒に仕事をさせていただきました。
(赤松さん)
上川さんとは接点がなさそうですけど?
(山田さん)
上川さんは前々日にうちの事務所に来て、かなりじっくりと話をしました。上川さんとも、表現規制に関してはしないという約束をいただきました。また、小泉進次郎さんも電話で表現規制はしないと話してくれましたし、林さんからは3回ほど電話をもらいました。小林さんとは4回ほど、加藤さんとも3回くらい話しました。加藤さんはかつて直接事務所にも来ていただき、こども庁に関する話もしました。
(赤松さん)
表現に関してはどうでしょうか?
(山田さん)
表現に関しては、ニュートラルな立場かなと思います。河野さんとも一応話をしましたが、石破さんと茂木さんとは表現に関する話ができなかったので、僕も最後まで態度を表明しませんでした。そのため、マスコミにも全く情報が漏れません、誰に投票したかについては。
高市さんが総理総裁になった場合、投票した責任もありますし、石破さんがなった場合も無責任に対応するつもりはありません。
石破茂氏の経歴と思想と政策
(山田さん)
石破さんといえば、これまで5回も総裁選に出馬していて、国民的人気はありますよね。ただ、運がないというか、議員からの支持が薄いという印象です。
正直、私は党本部で石破さんをほとんど見たことがありません。他の議員の方々とは、一緒に政策を作ったり提案書を出したりと、いろんな仕事をしてきましたが、石破さんとは一緒にやったことが全くなくて、その点は気になります。
石破さんが初めて総裁選に出たのは平成20年(2008年)で、2回目は安倍さんと石破さんの決戦投票まで残り、3回目も安倍さんと争い、4回目は菅さん、岸田さん、石破さんで争いましたが、圧倒的に菅さんが勝ちました。石破さんは常連で総裁選に出馬し、初回の段階では強いのですが、なかなか議員票で勝てないという結果が続いていましたが、今回は見事に総裁になられたということです。
(山田さん)
石破さんが選ばれたことについて、どう思いましたか?意外でしたか?
(赤松さん)
今回、私は選管だったので、一緒に部屋にいることがあり、初めてお話ししましたが、普段あまり見かけないので、珍しい感じがしました。石破さんの人柄についてはあまり知らなかったので、少し緊張しました。最後はやっぱり驚きましたね。
(山田さん)
では、石破さんってどんな人か、うちの事務所でまとめたものを見ていきたいと思います。
(山田さん)
鳥取出身で、田中角栄さんや特にお父さんの影響が強いようです。いろいろな経緯があって政治家への道を進んだようですが、本当はお父さんから「政治家にだけはなるな」と言われていたらしいです。
石破さんといえば、オタクっぽい印象ですが、鉄道オタクで乗り鉄とアイドル好きという感じでしょうか、趣味も多彩のようです。
(山田さん)
石破さんは1957年生まれで、私より10歳年上なので現在67歳です。お父さんは建設事務次官まで務めた後、鳥取県知事になりました。それで鳥取に引っ越し、石破さんもそこで育ちました。
お父さんからは「政治家にはなるな」と言われていたようですが、法律の勉強が好きで慶應義塾大学法学部に進学。しかし、司法試験は無理だと判断し、三井銀行に就職しました。ですが、その後お父さんが亡くなり、鳥取県知事を務めた後に参議院議員や自治大臣を歴任したお父さんの後を継ぐ形で、政界に入ることになります。
ちなみに、この話は「保守政治家 石破茂」という本に基づいています。昨日、この本を読んで確認しました。石破さん自身が「自分はファザコンだ」と言っていて、お父さんのことを「完璧で超えられない存在」と今でも思っているそうです。私が言っているわけではなく、本にそう書かれていました。
お父さんは田中角栄さんと懇意にしていたこともあり、葬儀は田中角栄先生にお願いするよう遺言していたそうです。それで、いわゆる「田中派葬」が行われました。
ここがポイントなんですが、お父さんからは「政治家になるな」と言われていた石破さんが、田中角栄さんに「父親の後を継いで選挙に出ろ」と言われ、「そのつもりはありません」と断ると、「あれだけ長いこと鳥取の皆さんにお世話になっておきながら、何事だ!」と机を叩いて激怒されたそうで、それで政界入りを決意したということです。
それで、三井銀行を辞めて田中角栄の木曜クラブ事務局に勤務することになりました。そして、その後の衆議院選挙で、29歳のときに最年少の国会議員として当選しました。
(山田さん)
しかし、その後、政治家としては少し「暴れん坊」なところがありました。リクルート事件が1988年に起こりますが、1回生議員だった同期の10人、武村さんや鳩山由紀夫さんらと共に「ユートピア政治研究会」という勉強会を結成し、リクルート事件に関与した議員に対して「けしからん」と訴えていたようです。
その後、立て続けに佐川急便事件が起こり、また、同時に小選挙区制に選挙制度を変えるかどうかの議論もありました。当時は中選挙区制で、同じ選挙区に自民党から複数の候補者が出ることもありました。すると、自民党同士の争いが激化し、選挙に莫大な費用がかかるようになりました。
相手がこれくらいの選挙ビラや資金を使ったなら、こちらはその倍を出すといった具合に、選挙費用がエスカレートしていた時代です。そこで「小選挙区制に変えないと、政治とお金の問題が解決しない」との話がありました。
石破さんは小選挙区比例代表並立制を支持していましたが、自民党の重鎮たちはそれに反対し、中選挙区制を維持しようとしました。そこで石破さんは1993年、宮沢内閣の不信任案に与党の一員でありながら賛成票を投じました。当時、石破さんは農水政務次官という閣内の役職についていましたが、離党はせずにそのまま残留しました。
しかし、その直後に行われた衆議院選挙では自民党の公認が得られず、無所属で出馬し、当選を果たします。
その後、1993年には細川連立政権が誕生し、自民党が野党になりましたが、石破さんは自民党の方針に反して小選挙区制に賛成票を投じたため、役職停止処分を受けました。
その後、河野洋平さんが自民党総裁でしたが、憲法改正議論が進まないことに反発した石破さんは、小沢一郎さんが作った新生党に参加しました。石破さんは、集団的自衛権の行使にこだわっており、小沢さんも憲法改正に積極的だったため、新生党に移ったのです。
しかし、1996年の解散総選挙の際、集団的自衛権を認めないという公約が掲げられたため、自分の政策とは違うと感じた石破さんは新生党を離れ、無所属で選挙に出馬し、再び当選しました。やはり、地元での選挙では非常に強い方です。
(山田さん)
よく「石破さんは保守なんですか?リベラルなんですか?」とよく聞かれます。軍事的な話や、ミリタリーオタク的な面があったり、防衛大臣を歴任していたりするので「非常に保守的なのではないか」という一方で、夫婦別姓やLGBTなどに対して寛容な姿勢を見せていることから「リベラル、あるいは左翼だ」と言われることもあります。では、どっちなのか?ということですね。
石破さんは自ら「保守政治家」と名乗っていますが、彼にとっての保守の定義については、こう説明しています。石破さん曰く、「保守とはイデオロギーではなく、一種の感覚であり、たたずまいであり、雰囲気のようなものだ」と言います。「皇室を貴び、伝統文化や日本の地方の原風景を大切にし、一人一人の苦しみや悲しみに共感すること。それが保守の本質であり、寛容であることが重要だ」と。
「相手の主張に対して寛容性を持ち、受け入れる度量を持つ態度こそが保守の本質だ」と石破さんは述べています。これには非常に共感できる部分があります。政治の姿勢としても、対立して攻撃的になることや、二律背反的にイデオロギーを掲げることを避け、相手と異なる点を解決しながら交渉していく、(ただし表現の自由を大事にしながら進める)という点は評価できます。
ただ、石破さんが本に書いていることを全て実行しているかどうかはわかりませんが、少なくとも本の中では「右寄りの主張を声高にする立場の人々は、本来保守ではなく右翼と呼ばれるべきである」と強く主張しています。
また、「リベラルと保守は非常に近い概念だ」とも言っています。「リベラルの本質もまた寛容であるはずだ。自分の行動に間違いはないか、さらに良い方策はないかと常に自問自答し、人の意見を聞くことがリベラルの本質である」と。そして「私こそがその意見を聞く人だ」と述べています。
今回、石破さんは「多様性と自由、寛容性を高めるべきだ」とし、格差是正、地方分権、内需主導型の経済政策を主張しています。また、福祉社会や教育の無償化を掲げ、リスクの社会化を推進し、「一人一人に居場所がある社会が必要だ」と言っています。
この部分だけを見ると、私の政治的な考え方に非常に近いと思います。ただ、今回、私が石破政権に対して少し物申したいのは「居場所が必要だ」と言っているにもかかわらず、孤立孤独担当大臣をなくしてしまったことです。
この政策は、自民党に入ってから大変な苦労をして作り上げたもので、元々参議院で世耕さんと勉強会を立ち上げて取り組んできたものです。それが一気に消されたことには疑問を感じます。もし石破さんが本に書いている政策を本当に主張するのであれば、孤立孤独担当大臣を継続して進めてほしかったと思っています。
(山田さん)
他の政策についても点検していきますが、福祉政策が少し弱いですね。特に、子供政策、つまり子育てや少子化対策に関しては、若干触れていますが、強くは打ち出されていません。
人ではないはずだ、ということです。この流れで言えばね。しかし、これまで石破さんが出してきた請願などを見ていると、どうなんだろうという疑問もあります。
(赤松さん)
ネット上で皆さんが一番気にしているのも、この点だと思います。請願の紹介議員になっている件で、私も問い合わせをしました。
ここでは詳細は言いませんが、納得のいく答えを得られました。今の時点では公開しませんが、良い答えがもらえました。
(山田さん)
そうですか。そういう意味で、私としては、しっかり問いただしていきたいところがあると思っています。
(山田さん)
それから報道でも強く伝えられている通り、先日の会見でも「5つの守る」ということが話題になりました。具体的には、「ルールを守る」「日本を守る」「国民を守る」「地方を守る」「若者や女性の機会を守る」ということですが、表現の自由も守ってほしいなと思っています。これは今後も強く問いかけていきたいと考えています。
(山田さん)
次に、防災省や防災庁の議論についてです。ここは、正直、私は完全に賛同しています。そもそもこの防災庁の提言は、前の防災担当副大臣である赤沢さんが提唱したものです。
(赤松さん)
赤沢さんと山田さんが一緒にやってましたよね。
(山田さん)
そうです。実は党内で赤沢さんと一緒にデジタル防災に取り組んできました。南海トラフの問題や首都直下型地震、富士山を含め活火山の噴火の問題もあり、これらに対してデジタル技術を活用してしっかり対策を進めなければならないと考えています。
あれは、党で初めて具体的に防災関係について議論した場でした。今の防災の仕組みは非常に脆弱です。内閣府の防災担当には100人ほどしかおらず、何かあった時に対応が十分にできるとは言えません。日本には1,741の市区町村がありますが、基礎自治体の首長、市長や町長が避難勧告を出す仕組みです。しかし、残念ながら、そうした首長の多くが防災に関しては素人同然です。
そこで、日本版の「EI」(防災マニュアル)を整備しつつ、情報を元に「どこにどうやって避難すれば良いのか」を考える仕組みが必要です。また、避難者への支援や備品の提供、物流などに関しても、完全にデジタルやデータを活用して行わなければなりません。
しかし、現状では「SIP4D」というシステムがFTPサーバーを使った、ただのファイルのやり取りに過ぎないものです。気象庁などとのデータのやり取りもこのシステムで行われていますが、非常に信じられないデジタル状況です。この状況を見直す必要があります。
以前はサーバーが日本国内に1台しかなく、それがダウンすると日本全体が停止するという非常に危険な状態でした。こんな状態は到底容認できません。今回、石破さんが赤沢さんを防災担当大臣に任命したことで、この問題に取り組むことになりました。
実はもう1つ「幻の提案書」というものがあります。2021年1月24日、私はこども庁の提言書を官邸に提出しました。そこからこども家庭庁が設立されましたが、同時にもう1つ、デジタル防災庁の提案書も提出していました。しかし、これは却下されました。
でも、私は今でも「デジタル防災庁」は必要だと思っています。赤沢さんとともに党内で防災情報のインフラを整備し、適切に対応できるようにしようと取り組んできました。それが今回、やっと表舞台に出ることになりました。
(小山さん)
当初、「デジタル防災庁」として提案していましたが、既にデジタル庁があるため、名前を「防災情報庁」に変更しました。
(山田さん)
そしたら、石破さんに近い政策だったために容認されませんでした。正直、それはおかしいと思います。
(小山さん)
菅総理が誕生した際の総裁選では、菅総理がデジタル庁を提案し、岸田さんはデータ庁を、石破さんは防災省を提案していました。石破さんの防災省はあまりにも強力な提案だったため、菅総理の政権では受け入れられませんでした。
(山田さん)
しかし、今回赤沢さんが担当大臣になったので、しっかりと取り組んでいただけると思います。私もここはサポートしていきたいと思っています。
(山田さん)
さて、次は党の人事について少し見ていきたいと思います。菅さんが副総裁、麻生さんが最高顧問ということで、ハプニングがありました。総務会で麻生さんと並んで記念写真を撮ろうとしたら、先に帰られてしまったという出来事がニュースになっていました。これから自民党も大変だなと思います。
幹事長は森山さんです。森山さんは非常に安定していて、野党からも信頼を置かれている方です。私も何度かお話しさせていただきましたが、非常に安定した方なので、幹事長としては良いと思います。
総務会長は前の財務大臣でもあった鈴木さん。政調会長は小野寺さんです。小野寺さんとは、野党時代から随分やり取りをさせていただきました。非常に気さくで話しやすい方で、本当に良い人です。合理的でリーズナブルな方なので、良い人選だと思います。
選対委員長は小泉さん。国対委員長は坂本さんで、坂本さんは孤立孤独担当大臣を務めていたこともあり、何度かお話させていただきました。こうした布陣で党を進めていく形になります。
(山田さん)
次に注目の大臣、メディアでも報道されていますが、今回一番注目されているのは村上誠一郎さんですね。安倍さんを「国賊」と呼んだことが問題視されましたが、個人的にはそれは良くないと思っています。
民主主義の政党なので、何を言っても自由ではありますが、「国賊」という表現は行き過ぎだと思います。2022年に処分がされましたが、その村上さんを総務大臣にしたことで、今後大変になるのではないかと思います。
あとは、平さんがデジタル大臣に就任されました。また、加藤さんは厚労大臣になるかと思っていましたが、財務大臣に就任しました。元々、大蔵省出身ということもあるので納得です。法務大臣の牧原さんは私の高校の後輩で、よく知っている方です。
厚労大臣の福岡さんは参議院の政策審議会の会長で、私は副会長を務めているので、一緒に仕事をしてきました。安倍俊子さんは文部科学省関係の専門家で、前の副大臣でしたが、今回もご挨拶いただき、いろいろ意見交換をしました。
(赤松さん)
ネットでは安倍俊子さんが規制派だという話も出ていますが。
(山田さん)
私は大丈夫だと思っています。文科省は非常に重要なところですので、規制派であれば大変ですが、安倍さんとは話ができるので安心しています。
浅尾さんは元々みんなの党の党首で、大臣になれて良かったと思っています。子供政策については、三原じゅん子さんと少し話をしました。正直、私は石破政権の子供政策は弱いと思っているので、直接三原さんに紙を持って説明に行こうかなと考えています。
ということで、石破さんとは少し距離感がありますが、その他の大臣の方々とはそれなりに関係を築いていけるのではないかと思っています。
石破総理・総裁に問う 表現の自由
(山田さん)
石破総理に問うというテーマで、まずは表現の自由について触れていきたいと思います。直近で、いわゆる石破政権における課題となるのは何か、特に表現の自由という観点からクリアしておかなければならないポイントがいくつかあります。
(山田さん)
まず、女子差別撤廃の問題があります。国連の女子差別撤廃委員会が10月17日に日本に対してヒアリングを行います。
(小山さん)
これは、日本政府が2021年に行った女子差別撤廃条約の第9回報告に対する対面審査です。
(山田さん)
この報告に対して、委員会から25項目の質問が寄せられており、その中でも特にジェンダーに関する第9番目の項目が問題視されています。この点について、現在緊張感が走っています。
(山田さん)
この件に関しては、赤松さんと一緒に外務省および男女共同参画局とレクチャーを行いました。結論から言うと、現時点では日本政府として表現の規制につながるようなことはしないという回答を得ています。この回答は2021年の段階でも同じ内容でしたが、改めて今回も同様の回答を得ました。
ただし、今回の担当委員はネパールのバンダナーラさんという方で、この方が5時間ほど日本に関する問題について議論する予定です。その場で何が出てくるかはまだ不確定な部分もありますが、日本政府が「表現の規制を行います」とか言ってしまうと大変なことになるので、その点については十分に抑えています。
外務省および男女共同参画局の担当者は、私たちの意図をしっかり理解してくれています。
(赤松さん)
私もその場に列席していましたが、山田さんが「適当なことを言わないでほしい」と念を押していたのが印象的でした。
「何か問題あったら国連に怒鳴り込みに行くぞ」って(笑)
(山田さん)
新サイバー犯罪条約の際には、ニューヨークまで行って、現地のブラッドリーノ条約局長にも直接会いに行っています。こうした動きに対して、外務省や日本政府としては少し嫌がる部分もあるかもしれませんが、それくらいの勢いでやらないと、官僚の方々は流されがちです。また、担当者が2〜3年で変わることもあり、引き継ぎが不十分なこともあるので、改めて今回もきちんと確認しました。
(赤松さん)
「こういうことはやらないように」と念押しされていたので、安心しています。
(山田さん)
このように、外務省や内閣府の男女共同参画局と細かい詰めを行い、対策を進めています。スケジュール的には、いよいよ2024年10月17日に対面審査が行われます。ここで何が飛び出すかわかりませんが、しっかりと見守っていきたいと思っています。
(小山さん)
この審査に関して大事な点は、2021年9月に報告書が提出されていることです。コロナ禍の影響で、審査が2024年まで遅れましたが、その間に、2023年12月に第5次男女共同参画基本計画が策定されました。日本政府は、この第5次基本計画に基づいた政策を行っていくという立場をCEDAW(女子差別撤廃委員会)に示しています。これは、今日のレクチャーの骨子でもありました。
政府のスタンスとしては、この計画に基づくものであり、それ以外の方針からは外れないというものです。第5次男女共同参画基本計画の策定時も、私たち山田・赤松事務所が表現規制につながる部分についてはかなり意見を出しました。
実在する女性や児童に害を及ぼすものに対しては徹底的に対策を講じますが、エビデンスのない、漠然とした危険や不安に基づくものに対しては、政府としては合法なものは規制しないというスタンスです。
今日はその点をしっかりと確認し、念押しも行いました。
(赤松さん)
あれだけ念を押されたら、うかつなことは言えないでしょう。私は感心しました。
(山田さん)
今回の審査には日本の代表団が多数参加する予定で、団長は外務省と男女共同参画局の岡田局長です。通訳を含めて総勢37名で参加することになります。新サイバー犯罪条約の際も、外務省、法務省、警察庁などが同行しましたが、今回も同じような布陣で行われるようです。
(小山さん)
CEDAWのホームページでも対面審査の様子が公開され、ジュネーブでの公開審査となります。女子差別撤廃条約を批准している国、つまり日本が負う義務についても確認しました。
(小山さん)
主な義務は3つあります。まず、差別撤廃措置を講じる義務(3条、7条関連)。次に、実施状況を報告する義務(18条関連)、2021年にこの報告書が提出されました。そして、提出後の対面審査に対応する義務です。今年の10月17日に予定されているこの対面審査がその一環です。
(山田さん)
日本に対する25項目の質問があり、その中でも特に問題となっているのが9番目の項目です。「女性および女児に対する性的暴力を助長するポルノ製品の禁止のために、どのような措置を講じているか」という質問が国連からされました。これに対して、日本政府の回答は、法律上違法なことについては規制するが、それ以外のことについては特に触れないというものになっています。
(山田さん)
気になっていたのは、「インターネット上に流通する女性及び女児のわいせつ図画」に関してです。これは実在の人物の写真等を扱うもので、非実在の創作物には関係しないという点は、今日も改めて確認しました。
(赤松さん)
「これは実在のものだよね?創作物は違うよね?」
(山田さん)
という具合に、担当者には徹底的に確認しました。そのため、これを引き下げて違うことを言って帰ってくるわけにはいきません。最悪の場合、私はジュネーブに行く覚悟もあります。久しぶりにスイスにも行ってみたいですし。ただ、そこまで言ったのだから大丈夫だと思います。もしもひっくり返されたら、暴れますよ。
(山田さん)
この件に関しては、外務省とも2021年の報告書が提出された直後のレクチャーからやり取りを続けてきたものです。これで第9回目になります。Q&A形式でもやり取りを公開してきました。
(山田さん)
もう1つ、気になっているのは前回の第7回、第8回の最終報告に含まれていた文言です。
(山田さん)
「固定観念が引き続き女性に対する性暴力の根本的原因であり、ポルノ、ビデオゲーム、漫画などのアニメが女性や女児に対する性暴力を助長している」というものです。このようなスタンスで国連の担当者や委員は意見を述べていたので、今回もこれに触れてくる可能性があります。これが条約の策定に影響を及ぼすのは大変なことです。
(小山さん)
ただし、これはあくまで女子差別撤廃委員会の担当者の意見であり、国連の公式見解ではないというのが、政府の一貫した立場です。とはいえ、懸念はあります。
(小山さん)
この懸念に基づいて、CEDAWからは「差別的な固定観念を増幅し、女性や女児に対する性暴力を助長するポルノ、ビデオゲーム、アニメの製造と流通を規制するため、既存の法的措置や監視プログラムを効果的に実施すること」が要請されています。しかし、これも法的拘束力はなく、国連の公式見解でもありません。
(山田さん)
ただし、これを放置すると条約にも影響が出る恐れがあり、日本のマスコミが報じることが問題です。毎日新聞社などは過去に国連の意見を引用してフェイクニュースのような報道をしていました。「日本はそういう条約に批准しているのに、なぜ実行しないのか」という批判が出ていましたが、実際には日本は「児童の権利に関する選択議定書」にのみ批准しており、これは実在の児童に関するもので、非実在の創作物は含まれていません。また、ブダペスト条約(現行のサイバー条約)には非実在に関する規定もありますが、日本はその項目を留保しており、拘束を受けない形で批准しています。
こうした事実を知らずに、「日本は条約に批准しているのに何もしないのはおかしい」と言ってしまうマスコミには問題があります。規制を推進したい人たちは、この国際的な枠組みを根拠にして「日本は約束したのにやらないのはおかしい。法律にすべきだ」と主張してきます。このような背景から、常に緊張が走るのです。
いずれにしても、今回の背景には、こうした最終報告で長年言われてきたことがあり、しっかり対応していく必要があるということです。
さて、もう1つ何があるかというと、新サイバー犯罪条約についてです。これに関しては、アドホック委員会を通過して条文が固まりました。最終的には第5委員会で審議され、国連総会本会議で採択される予定です。99.9%は大丈夫だと思いますが、残り0.1%で何かが起これば大変です。
(小山さん)
予算関連になるので、第5委員会での審議が必要ですが、11月10日ごろまでには何とか進めたいという思惑があるようです。関係者のコメントからも、今年中に通したいという意向が伝わってきています。
(山田さん)
もう1つは、「子供の性虐待・性搾取被害悪化の現況に鑑み、子供の尊厳と人権を守るための国際的連携の強化と国内関係法規の早期改革に関する請願」があり、これが少し厄介な案件です。実は、この請願は出さずに引っ込めてほしいという緊急的なところ。
表現の自由に関しては他にもいろいろと課題がありますが、まずはこの3つを進めていきたいと思っています。
(山田さん)
その他の表現規制では、やはりクレジットカードに関する問題があります。これもきちんと対処しなければなりません。AI規制や著作権法の見直しについては毎年議論されているもので、特に二次創作の維持については常に危機的状況が続いているため、これもしっかり対応しなければなりません。
また、プラットフォーマー規制や誹謗中傷に関連する問題もあり、プラットフォーマーの規律を作る必要があると思いますが、規制が強化されると表現の自由にも影響を与える可能性があります。海賊版対策もかなり進めてきましたが、変な形でブロッキングのようなことが行われないよう注意する必要があります。
これらの点について、石破政権に対してしっかり問いかけていきたいと思っています。
石破総理・総裁に問う デジタル政策
(山田さん)
さて、デジタル政策や成長戦略について少し触れておきたいと思います。これは赤松さんとも共通の意見ですが、デジタルアーカイブの整備をしっかりと進めてほしいです。これは岸田政権の骨太方針でも触れられていたので、引き継いで進めてもらいたいと思っています。
サイバーフィジカルシステムの推進、特にロボットの活用に関しても非常に大きな課題です。また、知財の観点では、国際標準化の議論があり、このまま放置しておくとEUにすべてを持っていかれる危険性があります。いわゆる「ブリュッセル効果」の問題です。特にEUのレジリエンス法の問題で、日本企業がさまざまな規制を受ける可能性があります。この点については、しっかりと対抗策を講じていかなければなりません。
また、日本語のファンデーションモデルを作っていかないと、特に動画において、マルチモーダルの世界では圧倒的にデータが足りない状況です。サイバーセキュリティに関しては、石破さんも強化すると言っています。デジタル防災整備に関しては、赤沢さんと一緒に進めてきた話なので、引き続き強化していきたいと思います。
また、デジタルと地方創生、自治体対応についても言及されていますが、具体的に何を進めるかを問いたださなければなりません。エネルギーや半導体、AIに関しても、それぞれ必要な対応が求められているので、しっかりと問うていきたいと思っています。
石破総理・総裁に問う こども政策&福祉政策
(山田さん)
もう1つは、こども政策や福祉政策についてです。正直なところ、記述が弱く、政策の柱が立っていないように感じます。まずは、こどもの命を守るために、自殺対策、不適切指導、いじめへの対応、チャイルド・デス・レビュー(CDR)、メンタルヘルスの向上をしっかり進めてほしいです。
また、困難を抱えるこどもや家庭の支援、児童養護や発達障害への対応、こどもの貧困対策、そして子育て支援が重要です。特に、障害を持つこどもや産前産後のうつの問題、アドボカシー(こどもの意見をしっかり聞く取り組み)についても強化が必要です。私はニューヨークのCACでアドボカシーの調査をしてきました。
さらに、こどもの見守りや電子母子手帳の導入、養子縁組の問題なども取り組むべきです。特に、連れ去りの問題にもつながる可能性があるため、ここはしっかりと対応していく必要があります。
こども家庭センターの強化や地方自治体の対応も重要です。教育委員会以外の新たな枠組みが必要ではないかと考えています。
そして、今回抜けてしまった孤立・孤独対策についても触れておきます。孤独は誰にでもありますが、孤立は非常に厳しい状況を招きます。イギリスにも何度も行って、この政策を進めてきましたが、今回の政権では担当大臣まで外されてしまいました。ここは重要な課題であると考えています。
今回、ウクライナへの支援ということでルーマニアやモルドバに行ってきましたが、日本の有事、特に戦争や紛争時の難民に対する法的な手当がほとんどなされていません。このままだと、何か起こった時に対応できなくなる可能性があります。現在、ヨーロッパで極右政党が台頭しているのも、正直なところ、すべて難民問題が原因です。
日本も、朝鮮半島有事や台湾有事などが現実的に起こる可能性があり、関係がないとは言えません。難民問題に関して、当初は国が一生懸命に対応しますが、予算が大体2年ほどで切れてしまいます。その後はボランティアやNGOが寄付を集めて支援しますが、「支援疲れ」が必ず起こります。
今でも、ウクライナ周辺の国々では、非営利団体の職員の給料がカットされ、個人の負担で支援を続ける状況になっています。日本は難民に対して寛容ではないと言われていますが、それならば誤解されないように、どの程度受け入れるのか、受け入れた場合に最低限何を行うのかを、まだ余裕がある今のうちに決めておく必要があります。
有事が起これば、「かわいそうだから受け入れるべきだ」という世論が生まれます。ドイツもメルケル首相が決断しましたし、スウェーデンも「ラストリゾート」として難民を受け入れましたが、今では厳しい状況になっています。こうした現実を見てきて、日本も今のうちに課題を整理しておかないと、大変なことになるのではないかと感じました。
例えば、有事が起こった際に最も大きな課題になるのは、まずサイバー攻撃です。いきなり戦闘が始まるわけではありませんが、次にリスクが高まると、たくさんの人が移動してくることになります。これはその国の治安や経済にも大きな打撃を与えます。そのため、人道的観点からどの程度対応するかを事前に決め、準備しておくことが、本当の意味での有事対策につながると思います。
こうした問題はタブー視せず、しっかりと議論する必要があると感じています。
ということで、新政権の船出ですが、正直言うと与党内でもまだ政調も開かれておらず、意見を言う場がありません。なぜこのような状況になっているかというと、次の衆議院選挙がすぐに控えていて、今、公約作りが進められているからです。実は私も参議院の政調副会長として関わっていますが、かなり雑にしか公約を作れていません。
難しいのは、石破さん自身がやりたがっている政策と、自民党がこれまで投資してきた政策との間にずれがある場合、党内での議論が十分にされない中で、公約がどのように作られるのかということです。党内でしっかりとした議論がないまま、突然公約に掲げられることもあり、私もまだ公約の内容をきちんと把握できていません。今日あたりから部会長が党内でプレゼンを行い、まず第1段階の素案を作っていく予定です。解散がもうすぐですから、衆議院議員たちは大変ですよね。
(赤松さん)
参議院は多少余裕がありますが、衆議院は本当に大変です。
(山田さん)
そのため、総理がやりたいことと、党内の手続き、つまり政党政治としての調整がどう進むのかが気になるところです。特に、表現の自由に関しては、石破政権としてもきちんと取り組んでほしいと、ここで述べておきたいと思います。
今回の振り返り
ということで、赤松さん久しぶりですが、どうでしたか?
(赤松さん)
総裁選の時の公約、興味のあるところとないところでムラが大きかった印象がありますね。あまり語られていない部分については少し不安を覚えましたが、そのあたりも含めていろいろと考えています。
(山田さん)
あとは、石破さんが強く主張されたいことを、誤解なく国民に伝えつつ、党内でも冷静に議論できるかどうかが少し心配な点です。どういうことかというと、例えば1つは集団的自衛権の問題です。これは非常に重要な課題ですが、集団的自衛権と集団安全保障は異なります。
石破さんの解釈では、国家の存続は憲法以前の問題として存在しているため、国家存立のための自衛権は明記されていなくても元々備わっているものであり、これは国際的常識だと言っています。国連憲章にもそのことが謳われており、集団的自衛権にもつながるという話です。
一方で、集団安全保障とは軍事同盟の一種であり、例えばアメリカと集団安全保障を結べば、アメリカが攻撃された際には日本も戦争に参加しなければならないということです。石破さんは、片務的な条約は解消すべきだと主張しています。つまり、日本はアメリカに守ってもらっている代わりに、無条件で土地などを提供しているが、これは不平等だというのです。
具体的には、国内の基地内で何か問題が起こっても日本には捜査権がない、あるいは朝鮮半島有事の際には日本が共同で軍事的対応をすることができず、情報も十分に得られない状況が続いています。これでは日本の自立が保てないため、片務的な関係から双務的な関係に変えるべきだということです。
さらにアジア版NATOの問題をどうするかという議論もあります。この問題については多くの意見がありますが、NATOと組むにしても、どの国と組むのかという疑問も残ります。石破さんは、この点についてもしっかり説明する責任があるのではないかと考えています。
それから、日米安全保障条約に関して、特に地位協定の問題やアベノミクスについても触れています。アベノミクスは、石破さんの本では「カンフル剤」であると強く書かれています。しかし、岸田さんは安倍さんのアベノミクスを引き継ぎつつ、新しい資本主義という形でそれを修正しようとしているわけです。
石破さんは本の中で新しい資本主義に対して少し問題があると言っていた一方で、今回の記者会見では引き継ぐようなことを言っていました。正直、私もそのあたりが少しわかりにくい部分です。もう少しちゃんと聞いてみないと批判や評価はできませんが、経済政策として非常に重要です。経済はこれによって動きますし、企業活動にも影響しますので、しっかりと取り組んでいかなければならないと思っています。
成長と分配に関しては、私も共感できる部分があります。例えば、巨大プラットフォームが提供するサービス空間は「中世の荘園」のようなものであり、プラットフォーマーが利益を独占してしまっている現状があります。石破さんはこれを「テクノ封建主義」と呼んでいて、プラットフォーマーが所有するデジタルな荘園をコモンズとして解放する国際的なルールが必要だと述べています。私もここには同感です。
実際、私はこの問題に対して、国内での消費税支払いや、登記を促す取り組みを法務省や総務省に働きかけてきました。ヨーロッパでは、国際標準の問題としてGAFAMに対抗する手段を講じていますが、日本もプラットフォーマーとの競争をどう勝ち抜いていくかを今後考えていかなければなりません。
(赤松さん)
これの問題について、若手に対しても説明する機会が欲しいですね。
(山田さん)
石破さんはリーダーとして、自論をしっかり持ちながらも、党や政府をまとめる役割があります。しかし、自論だけで引っ張っていけば独裁者のように見られてしまいますし、逆に何も意見を持たなければ「ただのお神輿」として批判されるでしょう。どうやってコンセンサスを取っていくかが重要です。
何度も繰り返しになりますが、表現の自由に関してもぜひ問いただしていきたいと思っています。これからも緊張する局面が続くと思いますが、頑張っていきたいです。
ということで、ギャラリーの皆さんも、長い時間お付き合いいただきましてありがとうございました。これで本放送を終わりにしたいと思います。今日はありがとうございました。