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小説のちょっとしたコツ

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小説のちょっとしたコツや小技、考え方などの記事をまとめています。「文末の処理」「描写の考え方」「ページ数と内容」ほか。
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#書き方

3種類の文章の使い分け〜小説のちょっとしたコツ

崖っぷち作家のニジマルカです。 小説のちょっとしたコツや小技をご紹介するシリーズです。 今回は「3種類の文章の使い分け」という話です。 小説の文章は3種類小説の文章は主に3種類あります。 1.描写 2.説明 3.セリフ 1,2は地の文に書かれる文章の機能的な分類。 3は基本的には「かぎかっこ」で囲われた会話文です。 ご存じとは思いますが、それぞれ見ていきましょう。 1.描写見たもの、聞いたもの、感じたものなどをそのまま書くのが描写です。 戻ってみると部屋は荒

描写の考え方〜小説のちょっとしたコツ

崖っぷち作家のニジマルカです。 小説のちょっとしたコツや小技をご紹介するシリーズ。 今回は「描写の考え方」です。 描写は情報提示ごくまれに作家志望者の方の原稿を読ませてもらうときがありますが、たまにものすごく詳細な描写を見かけることがあります。 細かい描写がずっと続くのですね。 書き始めたころにはよくあることかもしれませんが、詳しく描写すると「小説を書いている感」を味わえたり、手軽に小説っぽくできるので、ついつい事細かに書いてしまうのだと思います。 特に最初から文

いらない要素を削る〜小説のちょっとしたコツ

崖っぷち作家のニジマルカです。 小説のちょっとしたコツや小技をご紹介するシリーズ。 今回は「いらない要素を削る」です。 いらない登場人物読者はわりと不要な登場人物に気づきます。 読後に「あの人なんだったんだろう?」とか「後半ぜんぜん出てこなかったな」と思ったりするものです。 名前付きの人物は、ある程度全編を通して登場しないと違和感が残ります。 上手く使えないなら、そもそもその人物が必要なのか考えた方がいいでしょう。 その人物がいなくても話が成立するなら、もちろん

プロローグでやりがちなこと〜小説のちょっとしたコツ

崖っぷち作家のニジマルカです。 小説のちょっとしたコツや小技をご紹介するシリーズ。 今回は「プロローグでやりがちなこと」です。 プロローグでやりがちなのは長編では、本編に入る前にプロローグのような章を設けることがありますよね。 ときには数十ページをプロローグに費やすこともあります。 自分もプロローグをつけることが多いですが、以下のようなプロローグはちょっと考える必要があるかもしれません。 1.長い説明 2.過去のいきさつ 3.謎めいたシーン それぞれ見ていきまし

読点の打ち方を再チェック〜小説のちょっとしたコツ

崖っぷち作家のニジマルカです。 小説のちょっとしたコツや小技をご紹介するシリーズ。 今回は「読点の打ち方」です。 読点をどこに打つべきかご存じのとおり、読点とは「、」のことです。 読点をどこに打つべきかというのは、けっこう難しい問題です。 多くの人がなんとなく手癖で打っているのではないでしょうか。 自分も人のことは言えませんので、この機会に見直してみることにします。 文章を書くときの基本的な考え方は「それが読者の利益になるかどうか」です。 読点の場合も、点を打

できるだけ早く作品の魅力を伝える〜小説のちょっとしたコツ

崖っぷち作家のニジマルカです。 小説のちょっとしたコツや小技をご紹介するシリーズ。 今回は「作品の魅力を伝える」です。 シーンの設計基本的に長編は本一冊分の分量で設計します。 何度も同じことを書いていますが、以下のようなボリュームですね。 ・文字数で :10〜13万文字 ・ページ数で:250〜300ページ(1ページ40字×15行くらい) ・原稿用紙で:300〜350枚 この分量の中でシーンを設計していくわけですが、担当さんによく言われるのは、 「作品を象徴するシ

ページの見た目〜小説のちょっとしたコツ

崖っぷち作家のニジマルカです。 小説のちょっとしたコツや小技をご紹介するシリーズ。 今回は「ページの見た目」です。 見た目を気にするページの見た目は漢字の量や改行の数、文の長さなどによって変わります。 見た目が変わると、もちろんページから受ける印象も違ってきます。 ネットで小説を書いている方やアマチュアの方はあまり気にしないかもしれませんが、出版している作家さんはページの見た目をある程度気にしているものです。 ある程度書けるようになったら、最終的な形態が縦書きでも

伏線で気をつけること〜小説のちょっとしたコツ

崖っぷち作家のニジマルカです。 小説のちょっとしたコツや小技をご紹介するシリーズ。 今回は「伏線で気をつけること」です。 伏線とは最初に「伏線」とは何か説明しておきます。 簡単に言うと、後の展開のヒントを事前に出しておくことです。 因果関係を明かさずにほのめかすこと、とも言えますね。 伏線が回収されると、「ああ、あれがそうだったのか!」と、驚きとともに納得が起こります。 驚きとは、隠れていたものがあらわになったときに起こる感情で、納得とは理屈が通ったときの感覚で

読者を決める〜小説のちょっとしたコツ

崖っぷち作家のニジマルカです。 小説のちょっとしたコツや小技をご紹介するシリーズ。 今回は「読者を決める」です。 誰が読むのか何かを書くのは、やはり誰かに読んで欲しいからでしょう。 ところで、どういう人に読んでほしいですか? 読者を決めて、作品を書いているでしょうか。 その読者は普段何を読んでいて、どういう作品が好みなのでしょう。 年齢はどれくらい? ライフスタイルは? 読者を決めずに書くことも悪くはありませんが、決めれば決めるほど、作品は強くなります。 決

完成前に原稿を削る〜小説のちょっとしたコツ

崖っぷち作家のニジマルカです。 小説のちょっとしたコツや小技をご紹介するシリーズ。 今回は「完成前に原稿を削る」です。 完成までの道のり原稿が完成するまでには長い道のりがあります。 書き過ぎて削ったり、規定枚数に足りなくて追加したりと、ページ数の調整で苦労することもあると思います。 いまのところの経験では、以下のように原稿を進めるとスムーズなようです。 初稿は控えめに書く 修正しつつ加筆する 最後に少し削る それぞれ見ていきましょう。 1.初稿は控えめに書

わかりやすくするには〜小説のちょっとしたコツ

崖っぷち作家のニジマルカです。 新年おめでとうございます。 今年もよろしくお願いいたします。 さて、新年最初は小説のちょっとしたコツや小技をご紹介するシリーズ。 今回は「わかりやすくするには」です。 わかりやすさとは何か小説を読んでいると、たまに「わかりにくいなあ……」と思うことがありますよね。 あまりにもわかりにくいと、読むのを止めることもあるでしょう。 ですから作者としては、作品としてのレベルを保ちながらも、可能な限りわかりやすくする必要があります。 ここで

人称の基本を知ろう(3)〜人称ごとの内面の書き方

小説のちょっとしたコツや小技をご紹介するシリーズ。 今回は「人称の基本を知ろう(3)」です。 前回の記事はこちら。↓ 前回のおさらい前回は人称ごとに地の文を誰が書いているのかを説明しました。 一人称は人物本人。↓ 三人称は人物とは別の話者でしたね。↓ 話者の違いによって、情報の出し方には以下のような違いがありました。 一人称 人物が見たもの、聞いたもの、感じたものしか書けない 三人称 人物が知らない情報も書ける 三人称ではわりとルーズにいろいろ書けますが

自由に書かない〜小説のちょっとしたコツ

小説のちょっとしたコツや小技をご紹介するシリーズ。 今回は「自由に書かない」です。 自由に書いても面白くならない創作は自由なのですが、かといって、まったく自由に書いてもだいたいは上手くいきません。 簡単にいうと、面白くならないのですね。 スポーツで考えるとわかりやすいと思います。 たとえばサッカーにはルールがありますが、ルール無用の自由さがあれば面白くなるかというと、決してそうはなりません。 「手を使ってもいい」「100人出してもいい」「戦車に乗ってもいい」「爆弾

人称の基本を知ろう(4)〜内面を書くときの重要ルール

小説のちょっとしたコツや小技をご紹介するシリーズ。 今回は「人称の基本を知ろう(4)」です。 前回の記事はこちら。↓ 前回のおさらい前回は、内面の書き方の違いを人称ごとに説明しました。 まとめるとこんな感じです。↓ 一人称 本人が感じたことをそのまま書く 三人称 憑依型:ほぼ一人称と同じ 背後型:やや離れたカメラから推測して書く 図にするとこうです。↓ 三人称における内面の書き方は、図のように2通りあります。 おそらく、いまの主流は「憑依型」なので、感