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第2章ー地獄 2、「ドラゴンはここに置いていって」
太字の()は、私(主人公)が思ったことです。
()の中の文字は、作者による注釈です。
太字の「」は、複数人の大きな声や音です。
2024年 4月 10日、更新しました。
ドラゴンとの別れ
(他は・・あっ、そうそう大事なことを忘れていた。)
「ドラゴンはここに置いていって。」
「えー!?」と部下たち全員
さすがの副隊長も「困ったぞ。」というように両眉を上げる。
「ドラゴンには、地獄に残った亡者たちを見張ってて欲しいの、誰もいなくなるし、いつごろ戻れるかわからないし・・・。」
部下たちには1体づつドラゴンがついていて、それで地獄をくまなく飛び回っている。でないと、7人でこの広い地獄を管理することなんて、できないのだ。
部下たちの背後には、早くも話を聞きつけたドラゴンたち6体が立っていた。
ドラゴンは耳が良い。それと、私には必要ないのでドラゴンはいない。
さっそく、モモタが後ろを振り向き
「青子!!、私たち離れ離れにならないといけないって。」
青いドラゴンは、悲しそうな声で
「クー」と泣きながら、長い首を折り曲げるように下ろして、モモタの頬に自分の顔をこすりつけている。
他のドラゴンたちも同じように、自分の主人たちに顔を近づけ、頬をなでてもらったり、すり寄せたり、している。
私は申し訳ない気持ちになり
「えーと・・そんなに長いことには、ならないと思うんだけど・・・(でも、悪いことが重なっているからな・・・。)」
「いつまでかかりそうですか?」と副隊長
その胸元では赤いドラゴンが
「ク〜ン、ク〜ン、ク〜ン・・・・」と涙を流しながら、頬をすり寄せている。
「えーと・・・・鏡を取り戻すまで?・・・。」
私の頭の中に、「きゃー!! 」、「ワー‼︎ 」という悲鳴が聞こえ、亡者たちに建物を壊されている第二都市の様子が浮かぶ。
「ごめん早く行って、第二都市で、もう始まってる。」
私の言葉を合図に、部下たち全員がドラゴンたちを振り切り
「はい!! 」と返事をした。
さっそくメガネが、ボタンとモモタに
「あそこから行こう。」
と誘い、自分は黒いドラゴン、後の2人もそれぞれのドラゴン(ボタンは緑のドラゴンというより竜)に乗り込み、出て行った。
「じゃ、行くっす。」
ソウイチロウがのんびりした口調で、肌が灰色の金属(アルミ?)でできた鎧を着けたようなドラゴンに乗り込み、アオバやヨシツネに
「気をつけろよ。」と見送られ、出ていった。
第二都市に出発
私は残った3人に
「たぶん、あの穴から第二都市に行けると思う。」
私を含めた4人は建物の外に出る。
副隊長と残りの2人は、それぞれのドラゴン(アオバはピンク色の
ドラゴン、ヨシツネは白色のドラゴン)に乗り込み
「では、先に行ってお待ちしています。」と副隊長
「うん、まずは、第二都市の人たちの安全を優先して。」
3人同時にうなずき、ドラゴンに乗って天井のポッカリ開いた穴へと、吸い込まれるように見えなくなった。
しばらくすると、3体のドラゴンが穴から出てきた。
私はそれを確認すると、穴を見上げ両手を真上に高くかかげ、天井に手のひらをつけるかのように手首をそらす。そして、手首を内側に曲げて高くかかげたまま両手を組んだ。
しだいに黒い穴の範囲が小さくなっていく。しばらくそのままの状態で穴を見上げていると、やがて穴は1つの黒い点となり、無くなった。
私は両手を下ろすと、戻ってきたドラゴンたちに、誰がどの辺を監視するのか
残った亡者や戻された亡者たちの扱いをどうするのか、といったことを、こと細かく指示を出すと、さすが、副隊長の赤いドラゴンがさっきまで泣いていた表情とは打って変わり、キリッとした表情で他のドラゴンたちに指示を出し、それぞれの自分の持ち場へと、飛んで行った。
私は一人になりホッとため息をつくと、自分の部屋へと戻り、豪華な金の刺繍の入った帯をほどいて着物を脱ぐ。
黒いタートルネックのTシャツに白い着物をはおり、斜め掛けのかばんの中に 旅に必要になるだろうと思う物を放り込み、偽物の鏡を袂に入れると、走って出て行った。
では、いよいよ出発です。
次回
第3章ー村と居酒屋
1、「本当の強さなんて、服なんか関係ないのにね。」
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