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【読書】チーズはどこへ消えた?
この本を初めて読んだのは浪人生くらいの時だっただろうか。結局その時は読まず、少ししてからだっただろうか。
これは、一度読んで感想を味わうという本ではないと思う。
最初は押し付けがましい道徳本だなぁくらいに思っていたが、これが良書として何年も読まれるのは、読む年齢立場タイミングで内容が違って見える上に、今の自分の囚われを炙り出す試験紙のようなところがあるからだと思う。
加えて100ページもないので、読みやすい。
最初読んだときは、「仕事」についての悩みとチーズを重ねていた。しんどいけど慣れてきた仕事だが生活が苦しいばかりの現状をどうするかなどの悩みだったと思う。
今改めて読んでみると、チーズと「父の命」が重なった。
そのような読み方をするとは思わず、人…まして親の命をチーズと重ねると「それは違うだろ」という突っ込みの部分も出てくるのだが、
意識的に父と重ねているわけではない。
今一番辛くて悩んでる「喪われて恐怖なもの、こと」が無意識に重なるのだ。
モヤモヤしながら読んだらもしかしたら、自分の悩みが明確になるのかもしれない。
父が生きていた頃が当たり前にチーズがある安心の状態で、なのに少しずつ古くなり(つまり、年取り)いつかは消えてしまうと知っているはずなのに、いざある日消えてしまうと「そんなはずはない!」と否定する思いにかられ、混乱し、同じところをいったりきたりするのは、
まるでこの本の「突然消えたチーズ」のようだった。
父のいた世界がステーションCで
父のいない世界がステーションN。
どんなに待っても、探しても父の肉体が存在する世界ではない。泣いても騒いでも父が帰ってくるわけではない。
「だから切り替えよう」とか
「備えがあればいい」とかいう単純な話ではないけれど、
それでも私自身の人生はあれから1ヶ月たち
父が居ないことなんてとっくにわかってるはずなんだ。
新しいチーズ、父のいない世界を楽しむ…というのは発想の転換でもなんでもないんだけれど、例えば母に対して後悔なく接するためにはと動き始めることはできるし、今の世界になれていかなければならない。
なにより自分の人生を楽しむことは何が起これど大切なことだ。一度しかないのだから。折角与えられた命なのだから。
ちょっとこの本こんなに重くなかったはずだから、前回の本の感想も含めて、私のメンタルがブラックホールみたくなってるだけでないのかとも思い始めた。
皆はこの本でチーズと何を重ねるだろう。何を感じてどう行動するだろう。
非常にシンプルな読み薬だなと改めて感じた。