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今、希望を奏でる

あけましておめでとうございます。

本当に予想もできなかった一年の始まりですが、今年も健康でチャレンジできることの有り難さを感じて、一つ一つのことに最善を尽くしていきたいと思います。

目の前にあった幸せが一瞬で壊れてしまう、今そんな状況にいる方を思うと胸が痛みますし、人ごとではないと改めて思います。

もう13年前と思うとびっくりしますが、東日本大震災のあとに被災地に行きました。物資や食料を担いでいきましたが、一人で運べる量など微々たるものでした。

当時の私は声楽のコンクールでいい賞を取って声楽家として名をあげたいと日々練習をしていましたが、私が被災されたみなさんを前に歌える歌、奏でられる音楽など何もなく、私の音楽はただエゴの塊で、一瞬にして家族も家も日常も失った方々を前にして何もできることはなかったです。

あの日から、私は大きな問いを胸に抱いて音楽に、人や出来事に、生きることに向き合ってきたように思います。

今、あの頃よりは少し、人として、音楽家として、私にできることはあるように思います。それは実際に被災地に行ったり物資やお金を送ったりではなくて、私だからできることにこそ目を向けてみたい。力と時間を集中してみたい。

「他人(ひと)と向き合うことは、自分と向き合うこと。」

10年前くらいに、ある方からいただいた言葉です。たしかその時にもう96歳だったかと思うのですが、向き合うということの大切さを私に伝えてくださいました。

生きることは、壮絶だなと思います。生き抜くことは簡単ではない…でも生きているからこその希望がある。

誰も自分の時間があとどれだけあるのかわからないのですから、今日という日があることに感謝して、縁あって共に生きる全ての人、全ての出来事、生きているからこその全ての可能性に感謝して、日々を積み重ねていきます。

私は希望を奏で続けたい。生きているからこそいろいろなことがあると思いますが、どんな時も現実に誠実に向き合い、希望を見出し奏でる音楽家でありたいと思います。

今年もよろしくお願いいたします。

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