癌のこと パート③
前回の続きで、オペ室に入った時のことになります。
そうだ。私はオペ室に入るまえに、病室で点滴ルートの確保、そして人工肛門になる可能性もあったため、おなかに油性ペンで目印となるところに点を書かれた。
やっと前回の続き。
手術室前の扉の前で、家族に見送られて、私は私の足で看護師とオペ室へ入った。
オペ台へ向かう前に、名前と生年月日、そしてなんの手術を受けるのかを聞かれた。そして手首のバンドのバーコードの読み取りをされる。
いよいよ、オペ台に上る。オペ室の看護師は、とっても気さくで優しくてそれはそれは、不安で怖くてたまらない私みたいな患者にとっては、有難い存在だった。オペ室には、前に看護師に聞かれていた音楽が流れていた。緊張をほぐすために、希望に沿った音楽をかけてくれるのだ。でも正直、私にとって、どんな曲でも良かった。『先生たちのお好みの曲で。』と言ったら看護師は少し笑って、『いやいや、にじいろさんの好きな音楽おっしゃってください。』といった。私の好きな音楽より、先生方のモチベーションの上がる曲で全然良かった。結局私は、『じゃあ、癒し系の音楽で』とお願いをした。
そうそう。カンファレンスで研究資料にさせてほしいと言われていた為、オペ室にはビデオカメラも置いてあった。
オペ台に上ってからも、入室時と同じ事を聞かれる。オペ台に乗った私はもう『まないたの鯉』状態だった。もう、ここから先に私が出来ることは、眠ることしか出来ないのだから。
オペ台の上はホカホカしてあったかかった。その後、血圧計、サチュレーション、心電図モニター、色々と手術への準備が始まり、次から次と私は管だらけになった。
その後、脊髄硬膜外麻酔が行われた。その麻酔を行うために痛み止めの注射を先に背中に打つ。麻酔科の先生には聞いていたが、そもそも背中に痛み止めの注射を打つだけで痛そうだが。横向きになり身体を丸める。思っていたより痛くない。先生、上手に打ってくれてありがとうって、心の中で思った。背中というか腰辺りがなんか変な感覚がする、そんな感じだった。
その後は、映画などでも見るような口元にマスクを着ける。先生、看護師さんに『よろしくお願いします。』と伝えた。先生も看護師さんも『大丈夫ですよ。心配しないでください。』となんとも心強い言葉を伝えてくれて、私は数を数え初め、10秒もたたないうちに眠りに落ちていた。
私が眠ったあとに、人工呼吸器を繋げるチューブを気管へ挿管される。そこから、私の直腸がんの摘出が腹腔鏡手術で行われた。
約6時間。手術は無事終わったらしい。
目が覚めた時、私はHCUのベッドの上だった。なんだかとにかくあちこち痛いし、身体は力がうまく入らない感じだった。子供達や、両親がベッドサイドに立つ。私は声を出すが、挿管されていた為、かすれた小さい声しか出なかった。子供たちの顔をみたら、涙が出てきた。私、まだ生きてる。戻ってきたんだって、思った。子供たちと握手がしたくてたまらなくて、順番に握手をした。
大きくなった子供たちの手を握るのはいつ以来だったんだろう。いつの間にか、わたしより大きな手になっていた。
また、続きは書きますね。今日も読んで下さって、ありがとうございました♡♡♡