【R5 中小企業診断士2次試験 事例Ⅰ】独学で80分以内に高得点を得た解き方と再現答案!独学一発合格者の解説
こんにちは。「ニジドク」と申します。
この記事では、令和5年度の2次試験 事例Ⅰで79点※を獲得した私が、80分間での事例Ⅰの解法を詳しく解説しています。
2次試験に対して、「予備校のような模範解答なんて80分間で作成できない!」、「そもそも、何を書けば良いかわからない。」、「2次試験は秀才しか受からないんだ…泣」と苦手意識を持つ方が多くいると思います。かつての私も同じでした。
そんな方へ、試験当日のリアルなタイムマネジメントを踏まえ、「80分間だと、このくらいの解答で79点獲得できるんだ!」と感じていただけるよう執筆しました。
この記事が、二次試験に挑む皆さんへの一助となれば幸いです。
※なお、R5事例Ⅰにおける79点は偏差値70前後です、自慢です!笑
【2024年2月8日時点のX(旧Twitter)で投稿された各受験者のR5 2次試験の点数より推測】
私(ニジドク)について
試験当日の持ち物
1.試験開始直後の準備【開始0分〜1分(1分間)】
以下の手順で準備をします。
この準備により、効率的に試験に望むことができます。
アルミ定規を使って、問題用紙のホッチキスを外す。
与件文や設問文が記載されていない用紙の裏面に線を引く。
与件分に段落番号を記入。
2.設問文の解釈【開始1分〜6分(5分間)】
ニジドク流の設問解釈は、以下の4つのステップを踏んでいきます。
✅ステップ1:要求事項の明確化と、タイプの見極め
各設問の要求事項を、マーキングをしながら把握するとともに、設問タイプを見極めます。
設問のタイプは、基本的に「診断系」と「助言系」の2つに集約されると考えています。
二次試験科目名のすべてに共通することは、「中小企業の診断及び助言に関する実務の事例」です。
この名のとおり、 二次試験で問われる事は、診断系か助言系のみです。
この2つのタイプを自分で見極められることで、問題の難易度の判断がしやすくなります。
もちろん、診断系の問題の方が容易な問題となります。
✅ステップ2:制約条件の確認
制約条件には、特に注意を払い、「★」や「※」などの記号を記述します。
✅ステップ3:解答構成を想定
「おそらく、与件文にはこういうことが書かれているんだろう」ということを想定しながら、解答の構成を記述します。この想定は、過去問を繰り返し解くことで培われます。私の場合、過去問を3回したときに、見えてきました。
✅ステップ4:1次試験の知識の記述(必要に応じて)
例えば、第4問では、「競争戦略や成長戦略を踏まえなさい」と設問文に指示があります。この場合、余白に「競争戦略= 差別化集中 or コストリーダーシップ戦略、成長戦略 = 多角化、新製品開発、新市場開発」とメモしておきます。
各設問におけるステップ1~4の概要は以下のとおりです。
⏩第1問:
要求事項と設問タイプ:
診断系。強み・弱みを具体的に記述。制約条件:
統合前の状況のみ記述解答構成:
強みは●●、弱みは●●
⏩第2問:
要求事項と設問タイプ:
診断系 or 助言系※。 差別化戦略とその狙いを具体的に記述。
※”その狙い”が、与件文に記載していれば、診断系。記載していなければ助言系となります。制約条件:
元経営者と現経営者で比較を踏まえる解答構成:
先代の●●と比較し、●●の差別化を行った。その狙いは、●●するため。
⏩第3問:
要求事項と設問タイプ:
助言系。 経営統合における具体的な留意点を記述。制約条件:
経営統合前の状況を踏まえる解答構成:
留意点は、●●により、●●すること。×3つ程度1次試験の知識:
理想の経営統合=シナジー効果発揮、従業員のケア、円滑な承継。
⏩第4問-1:
要求事項と設問タイプ:
助言系。 経営統合を成功させるための具体的な進め方を記述。制約条件:
統合過程であること解答構成:
●●を進めていく。これにより、●●を図る。
⏩第4問-2:
要求事項と設問タイプ:
助言系。経営統合を成功させるための事業展開を記述。制約条件:
競争や成長戦略を盛り込むこと。
今後(=経営統合後)を想定すること。解答構成:
●●をするため、●●に取り組み、●●を図る。1次試験の知識:
競争戦略= 差別化集中 or コストリーダーシップ戦略、成長戦略 = 多角化、新製品開発、新市場開発
【💡アドバイス】解釈が難しい設問に遭遇したらどうするの?
3.与件文を読む【開始6分〜15分(9分間)】
ニジドク流の与件文の読み方は、以下の2つのステップを踏んでいきます。
✅ステップ1:各設問を意識しながら、重要そうな箇所を、「ざっくり」とマーキング。
重要そうな箇所とは、主に以下のようなものです。とりあえず、難しいことは考えずにどんどんマーキングしていきましょう。
【重要な箇所】
●時系列、●会社概要、●SWOT、●過去の成功・失敗体験、●逆説の接続詞(しかしながら、など)●各設問と関連性の深そうな箇所
💡マーキングのコツ
すべてが重要だと思う方は、マーキングのコツとしては、結果とそれをもたらす要因だけに着目しマーキングしていきましょう。その際、修飾語は無視しましょう。
例えば、段落4の場合、以下のとおり、太字部分を蛍光ペンでマーキングするイメージです。
究極は太字だけでも、文章として成り立つマーキングを心掛けるのが良いです。
上記段落4の場合、太字部分だけにすると、以下の文章になります。
あれほど長かった文章も、だいぶスッキリしていませんか?
2次試験の与件文は、いたずらに字数が多く、気が滅入ります。そのため、与件文を読む際は、修飾語を無視するなど、なるべくスッキリさせながら読むことを心がけると気が楽になります。
✅ステップ2:与件文の余白に、「見出し」を記入
これを行うことで、与件文の索引代わりとなり、解答を作成する際に「あの記述は、どこに書いてあったっけ?」と迷子にならずにすみます。
設問を意識した見出しとすると、より分かりやすくなります。
試験当時、ニジドクは走り書きで、以下のとおり、記述しました。
【💡アドバイス】与件分は何回読むのがいいの?
【💡アドバイス】与件分を読む際、何割程度の理解が望ましいの?
【💡アドバイス】与件文はどうすれば早く読めるようになるの?
4.解答骨子を作る【開始15分〜40分(25分間)】
🚨解答骨子の重要性🚨
この解答骨子の作成が最も重要です。
しっかりと理屈が通った(=ロジカル、論理的な)解答骨子を目指しましょう。逆に言えば、二次試験では、理屈が通った解答を記述さえできれば、それだけで合格圏内です。
二次試験における「理屈が通る」とは、以下のようなイメージです。
「与件文に▲▲と書いてあるから、(A社の強み、問題点、課題は)▲▲です。」(というより、与件文からは、これしか読み取れません!)
「その課題や問題を解決するには、一般的にはの対策をする必要があります。■■の対策をすることで、●●な効果が期待できます。」(と、一次試験などの基礎を通じて私は学びました!)
と、自信を持って、当たり前のことを堂々と主張した解答骨子を作ることができれば、勝ち筋が見えてきます。
逆に、与件文に書いていないことを想像して書くと、いくらそれっぽいこを書いたとしても、「それって、あなたの感想ですよね?与件文にあなたの提案を実行できる要素が見当たりませんけど?」という疑問を相手(=採点者)に与えてしまいます。
普段の会話では、自分の考えを主張し、「それってあなたの感想ですよね?」と言われても、再度、補足などの説明をする機会があります。
しかし、二次試験は、一度あなたの意見を文章で提出すると、相手が何を思おうと、それに対する補足説明などの余地は一切与えられません。
つまり、相手に極力、疑問を与えないとは、「与件分に書いてあることをベースに、一次試験の知識も用いながら説明(=記述)する」だけです。
解答骨子作成のステップ
これらを踏まえ、ニジドクは与件分のキーワードを基に解答骨子を作成していく派です。
そのため、解答骨子の作成方法は、以下の2つのステップで行います。
✅ステップ1:「与件文内のキーワード」をカラーペンでマーキング
各設問で使えそうなキーワードを与件文から見つけてきて、それをカラーペンで与件文にマーキングしていきます。
例えば、設問2の場合は以下の解答構成を想定しました。
ステップ1の役割は、"この▲▲に該当する部分を与件文にマーキング"となります。
マーキングのうえに、数字を入れていますが、これはマーキングした順番であり、それ以上の意図はありません。
また、ニジドクは、カラーペンの赤色が問1、オレンジが問2、紫が問3、青色が問4、水色が問5として使い分けをしています
✅ステップ2:マーキングしたキーワードを用いて、解答骨子を作成。
先ほど同様に、設問2の場合は以下の解答構成を想定しました。
ステップ2では、▲▲を記述するとともに、●●の効果も考えます。●●は与件文に書いていない場合、ご自身が一次試験などで得た知識に基づいて書いていきます。
【💡アドバイス】ありきたりな回答でいいの?
【💡アドバイス】助言等を記述する際、施策(取組み)っていくつ書くのがいいの?
5.解答用紙に記述【開始40分〜80分(40分間)】
解答骨子をもとに、解答用紙に答案を記述して、終了です!
ニジドクは、100文字の文章をただ単に書くだけで、3分弱はかかります。解答用紙に記述する際は、解答骨子をもとに、頭の中で文章を組み立てる必要があるため、プラス5分間を見積もり、1問あたり約8分としていました。
【💡アドバイス】解答用紙に記述する前に、下書きはいらないの?
まとめ
以上が、令和5年度事例Ⅰにおける80分以内に高得点を得た解法でした。いかがでしたか?
解答骨子を見ていただければわかる通り、私の骨子の内容は非常に基本的なものです。斜め上の発想や、抽象的、難解な表現などは一切使っていません。ただただ、設問に対応できそうなキーワードを与件文から拾ってきて、そこから理屈を作り、文章に落とし込んだだけです。
私自身も、79点という点数を見たときは、「全ての設問に対して、わりかし理屈をつけて解答を書くことはできたけど、まさか79点とは…」と驚きました。
つまり、秀才でなくても、理屈さえ通った文章を書ければ、二次試験は十分に対応可能な試験であるということです。
理屈の通った文章を作るために重要なのは、解答骨子です。
人によっては、解答骨子を下書きと呼んでいるかもしれません。また、頭の中で解答骨子を描く方もいるでしょう。解答骨子の作り方は人それぞれです。ただ、皆さんも解答用紙に記述する前に、必ず解答骨子を考えると思います。
私の解答骨子は「本番当日の25分以内で、ニジドクの解答骨子のレベルを考えることができれば、高得点は普通に狙える」という自身の基準として、参考にしていただければと思います。
難しく考えず、誰が見ても「与件文に忠実で無難な解答だね」と捉えられる解答骨子の作成を目指しましょう。
<次回以降の予定記事>
事例Ⅰで更に高得点を狙いたいあなたへ
私の解法については概ね説明しましたが、一方で添付した資料などは手書きのため、読みにくい方もいらっしゃるかと思います。
そこで以降からは、以下3点をご覧いただけます。
読みやすくした解答骨子
ニジドクの再現答案
解答記述に当たり、ニジドクが心がけたこと
1️⃣読みやすくした解答骨子
試験当時の手書きの解答骨子のため、少々読みにくいかもしれません。そこで、手書きの解答骨子をパワーポイントで再現しました。PDFとしてダウンロードしていただけます。
2️⃣ニジドクの再現答案
当時を思い出しながら、解答骨子に沿いつつ、ニジドクの再現答案を作成しました。
ただし、ニジドク個人としては、他人の再現答案だけを積極的に参考にすることはしませんでした。
文章の書き方などは、それぞれの個性やクセがあります。ニジドクも受験当初は、高得点者の再現答案も見ましたが、その文章を真似ようとしても、クセが違うので、ストレスになるだけでした。
(例えば、結論は最初(or 最後)に述べる派などもクセの一つです)
そのため、ニジドクの再現答案に限らず、他の方の再現答案を読まれる際は、「もしかしたら、参考になるかも」と期待薄で読む方がベターです。
それよりも、その再現答案は、どういった解答骨子や思考に基づき書いたのかを理解するほうが、はるかに重要です。
「二次試験合格者と文章の作りは違うが、言ってることは一緒。」という状態が、望ましいです。
一方で、以下のような方もいるでしょうから、参考程度としてニジドクの再現答案もご覧いただければと思います。
3️⃣解答記述の際に心がけたこと
上述した解答構成は、あくまでも、与件分は読まずに、設問だけを読んで想定したものです。
実際に、与件分を読み、解答骨子を作成し、解答を記述する時には、改めて、設問の意図などを汲み取り、それに対応した解答を書く必要が出てきます。
そこで、再現答案とともに、解答を作成するに当たり、設問の解像度をどう高めたか、どのように設問と解答を対応させたかというポイント等についても記載しました。
再現答案自体は参考程度ですが、ニジドクとしては、なぜ、そのような再現答案の解答の文章構成にしたかという思考を知る方が、より高得点を狙うために重要と考えいますので、ぜひご参考にしてください。
あらためて、以下にあてはまる方などは次にお進みください!
令和6年度に、二次試験を合格したい方
事例Ⅰで高得点を狙い、二次試験で幸先の良いスタートを切りたい方
設問解釈をより理解し、さらに理屈の通った解答骨子を作りたい方
ニジドクの再現答案と解答骨子の清書
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