#32 手楽来家での活動 ─健康づくり─
NPO法人にいまーるは、
• 聴こえる⼈と聴こえない⼈がお互いに⾼め合える場を作る
• 社会的少数派(マイノリティ)の⽣きづらさを解消する
• 聴覚障害者の社会資源を拡充する(ゆりかごから墓場まで)
を理念に、就労継続支援B型 手楽来家(てらこや)、共同生活援助 グループホームかめこやの運営を行っています。
活動内容については記事「にいまーるってどんなことをしているの?」の前編と後編をご覧ください。
にいまーるが運営する就労継続支援B型 手楽来家では大きく分けて二つの活動を行っています。一つはその名の通り就労支援。もう一つは生活支援です。
生活支援では、日常生活に関わる様々なことのサポートとなるような活動を行っています。例えば、コロナワクチンの接種券が届いたが内容が良く分からないとか、家族とのコミュニケーションがうまくいかないからどうしたらよいかとか、生活全般にかかわる相談に対応しています。
また、社会情勢についての情報提供、難聴者向けに手話の勉強会を行っています。
今回は、生活支援の取り組みの一つである、「健康づくり」について紹介します。
手楽来家の利用者は20代から80代まで、幅広い世代にわたっており、皆さんが毎日元気に通ってくださっています。その中には、年齢を重ねていくうえで衰えを感じる方や今は問題なくとも将来の健康に不安を抱いている方もいらっしゃいます。
そんな方々に安心して生活してもらうために、また、にいまーるとしても利用者の健康状態を把握するために、いくつかの取り組みを行っています。
1.バイタルチェック
利用者はもちろんのこと、スタッフ、来客があった際に必ず体温測定をします。来所者記録と合わせて、体温の測定結果を記入することで、コロナウイルスの集団感染を防ぎます。
毎日体温を測るということがルーティーン化され、利用者の健康意識を高める一助となっています。
高齢の利用者や高血圧の症状を持っている利用者は、個別で血圧を測定しています。スタッフが対応し、毎日、血圧の測定と記録を行います。測定に合わせて、通院状況や健康状態についての聞き取りをしています。
また、一人暮らしをしている高齢の利用者には、スマートウォッチを使って体調の管理をしている方もいます。測定結果を遠く離れて住んでいるご家族とも共有しているようです。
2.体づくり運動
利用者は全員が、朝礼の最後にラジオ体操を行っていますが、生活支援部門の利用者は夕方の終礼の際にも再度ラジオ体操を行います。生活支援部門は高齢の利用者が多いので、体を動かす機会として、ラジオ体操に取り組んでいます。
また、毎週木曜日はジムのトレーナーの方をお招きして、補助器具(パワープレート)を用いた筋力トレーニングを行っています。これは高齢の方や肩や腰など体の一部に不具合を抱える方、健康のために希望する方を対象としています。
トレーナーと生活習慣の確認をしながら、それぞれに合わせたトレーニングメニューを組んでいます。普段運動していない人には厳しいメニューですが、長く続けている利用者は楽々とこなしています。
筋力の低下は、歩行不安定や転倒事故を起こします。そういった意味でも、このトレーニングは健康寿命の伸長につながっています。
3.健康についての勉強会
私たちはテレビを見て耳から入ってくる情報でなんとなく分かっていることでも、耳から入る情報を得られないろう難聴者は分からなかったり、間違って理解したりすることがあります。
必要な情報を正しく知ってもらうために、手楽来家では利用者向けに勉強会を開いています。例えば、コロナウイルスについての勉強会では、コロナウイルスとは何なのか、どのような症状が出るのか、防ぐにはどうしたらよいか、かかったときはどう対応したらよいのかということを勉強しました。
コロナワクチンで馴染みのある「ファイザー」「モデルナ」の名称。私たちは、テレビを通して耳に入ってくる情報により、何となくワクチンを作っているメーカーだな、と無意識にインプットされています。
しかし、特にろう高齢者にとってはテレビのニュースを見ても何のことなのか理解ができなかったそうです。
必要な情報を正しく知り、情報量のギャップを生まないためにも、手話での勉強会がろう者にとって重要であることが分かります。
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以上のように、手楽来家では利用者の健康のために様々な取り組みを行っています。
これからも利用者に安心して通っていただくために、利用者の様子を注視しながら、健康づくりの活動を続けていきます。
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文:横田大輔
Twitter:@chan____dai
編集:吉井大基
Twitter:@dyoshy_
Facebook:@daikiyoshii4321