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【記者コラム】 「資本主義のバージョン2」
先日、新潟県妙高市主催のSDGsセミナーを取材した。妙高市は令和3年5月、「誰一人取り残さない」というSDGsの考えを取り入れ、人と自然が共生する持続可能なまちを目指す当市の提案が、SDGsの達成に向けて優れた取組を行う自治体として「SDGs未来都市」に認定されている。
講師の五十嵐悠介氏は建設業界の総合商社、東邦産業株式会社(新潟市中央区)の代表取締役社長を務めるほか、SDGs推進コンサルタントとして、年間20件以上の研修講師、講演活動を実施している。ちなみに、五十嵐氏は県立新潟高校から早稲田大学卒で、新潟青年会議所の理事長も歴任している。
SDGsとは、Sustainable Development Goalsの略称で、これは日本語で持続可能な開発目標という言葉を意味する。2015年に国連総会で採択され、企業にとどまらず、国や個人といったそれぞれの主体が取り組むことを期待されているが、国レベルでなく、より一般市民に近いところで、という意味から市町村でのレベルで取り組みが行われている。
SDGsには、貧困、環境、教育など17のゴールがあるが、これは、地球の限界から来る「今、やらなければ地球や世界が滅びますよ」というタスクと言い換えることもできる。
だからと言って、斎藤幸平氏のベストセラー「人新世の資本論」(集英社新書)のように、資本主義を終わらせるというわけではない。五十嵐氏は「資本主義のバージョン2が必要で、社会を変えていく考え方がSDGsだ。考え方をスイッチしていく必要があり、環境と重ねていかないと、経済ができなくなってきている」と話す。
まだ、SDGsについて馴染みのない読者もいると思うが、Z世代は義務教育で習っている。妙高市のある職員は、「私はペットボトルをやめます」と話していたが、マイバックなど身の回りのできることから始めればいいと思う。
行楽日和だった3連休の最終日は、SDGsについて少し考えてみてはいかがだろうか。
(編集部・梅川康輝)
にいがた経済新聞 2023年11月5日 掲載
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