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【記者コラム】 変化する犯罪者たちの背景

新潟県警によると、2024年5月末の新潟県内での特殊詐欺被害は、被害件数が71件で前年同期比で1件減少した。また、被害額の合計は2億5,961万円で、前年同期比で1億5,909万円増加した。

上記の数字は、2024年5月末の数字なので、2024年7月現在の被害件数・被害額はともに増加している。

特殊詐欺と一言でいっても、種類は様々である。「オレオレ詐欺」、「架空料金請求詐欺」、「還付金詐欺」、「SNS型投資詐欺」、「ロマンス詐欺」など手口を挙げればキリがないほどに多種多様である。犯罪者たちは、あの手この手で罪のない人を騙し、被害者から財産を奪っている。

せっかくの記者コラムなので、ここからは普段から事件報道をしている身として感じることを述べていこうと思う。

特に特殊詐欺という犯罪においては、顕著に見え隠れするのだが、犯罪者たちが、明らかに手口およびターゲットを変えているように感じる。極端な話だが、例えば犯罪者たちの中で「オレオレ詐欺」しか詐欺をしてはいけないというルールがあったのならば、被害拡大の防止は容易だろう。犯罪者以外の人間は、「オレオレ詐欺」にだけ警戒していれば、いいのだから。

しかし、現実にはそんなルールはない。なので、ターゲットが知らない手口および忘れている手口を使用してくる。すると、何が見えてくるかというと、「流行り・廃り」のような犯罪性の波ができてくる。詐欺グループというのは、非合法な組織である。組織である以上、平均値を高めるためにマニュアルというものが必要になってくる。「闇バイト」などで募集した人員が、「素人の犯罪者」が容易に再現できるように。そうなると、今日は「オレオレ詐欺」で明日は「ロマンス詐欺」、明後日は「還付金詐欺」で行こうなどという軽いフットワークでは動けない。そんなことをすれば、簡単にボロが出るからだ。

警察による防犯イベントで話を聞いていると、特殊詐欺グループの「かけ子」(ターゲットに電話をかけて、被害者を騙す役)は、非常に口が上手い。または、口が上手くなるように教育されている。事件概要を聞けば、何故気付けなかったのかと思う人もいるかもしれないが、犯罪者は「正常な判断能力を奪う」という事に非常に長けている。ゆえに、俯瞰で見た時には、「非常に雑な設定」でも、近い距離で接したときは、まるで「当たり前の事実」のように感じさせてくる。

「自分は騙されない」と思っている人は、裏を返せば「自分が思っていることが真実に違いない」と考えやすい思考をしているということ。そこに、偽りの事実を少しでも信じさせれば、疑う余地というものを持つことは非常に困難だと思う。

ぜひ、にいがた経済新聞社の事件報道に注目してほしい。犯罪者の手口をしっかりとみて、防犯対策をしてほしい。被害に遭わないで欲しい。

機会があれば、警察の防犯イベントに参加してみると犯罪の手口の詳しい話が聞けるのでおすすめだ。

(編集部・児玉賢太)

にいがた経済新聞 2024年7月21日 掲載


【にいがた経済新聞】

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