電気料金の明細にある「再生エネルギー発電促進賦課金」とは
みなさんの手元に届く電気料金の支払い金額が記載されている電気料金明細。その中には電気料金の契約情報や検針日期間、それに電気料金や使用量が記載されていますよね。
その中に「再エネ賦課金(再生可能エネルギー発電促進賦課金)」と記載されている項目があります。これ、何のことだかわからない人もいるのではないでしょうか。
実はこれ「再生可能エネルギー?」とクビを傾げるような方からも徴収されているもので、電気を利用するすべての人の電気利用料金の中に組み込まれているものなのです。
考え用によっては電気税ともいえる「再エネ賦課金」。
これを「再生可能エネルギー」「固定価格買取制度」「再生エネルギー発電促進賦課金」と順を追って触れてみたいと思います。
再生可能エネルギーとは
再生可能エネルギーは、石炭などの化石燃料を利用するものではなく、非化石エネルギーのうち半永久的に利用することができるものを指します。別称「自然エネルギー」と言われていて、代表的な資源として太陽光発電や風力発電などが挙げられます。
再生エネルギーは地球温暖化を抑制する、環境にやさしいクリーンエネルギーとして注目されており、石炭や石油といった資源を利用する火力発電とは異なり二酸化炭素を排出しません。
この再生可能エネルギーの普及を促進するため、一部の再生可能エネルギーは政府が定めた助成制度の対象とする固定価格買取制度(IFT制度 ※詳細は後述)によって、市場価格に左右されず一定金額で電力買取を保証することと同時に導入を後押しをする制度の対象となっています。
国はこの制度を利用することで、エネルギー資源の自給率向上はもとより、環境保全の観点から企業や個人に再生可能エネルギーに向けた積極的な取組みを期待しているのです。
主な再生可能エネルギー
再生可能エネルギーを普及・促進するための「固定価格買取制度」
冒頭でも記載している通り「再エネ賦課金」とは「再生可能エネルギー発電促進賦課金」のことで、再生可能エネルギーを促進する仕組みである「固定価格買取(Feed-in Tariff)制度」を維持するため、電気を利用する全世帯から徴収されています。
固定価格買取制度とは、上記した再生可能エネルギーで発電した電気を電力会社が固定価格で一定期間買い取ることを国が保証する制度で、再生可能エネルギーの普及を目的に2012年07月から制度運用がはじまりました。
固定価格である上に通常買取価格よりも高額に設定されているため、発電を行う事業者は安定して高い収益を得ることが可能となるといった"利点"を設け、再生可能エネルギーの導入促進が行われています。
なぜ、この制度を国が推し進めようとしているのか。
日本はエネルギー燃料の大半は輸入に頼っていることが大きな理由です。
2018年時点での自給率はOECD加盟国35国中34位の11.8%(※)と他の先進国と比較しても遅れている状況。
資源の乏しい日本では再生可能エネルギーの普及や拡大は「脱炭素」や「カーボンニュートラル」といった動きに直結させることが可能となるため、どうにかして普及を図ろうと力を入れているのです。
※出典:経済産業省資源エネルギー庁|日本のエネルギー 2020年度版 「エネルギーの今を知る10の質問」
しかし、ここで一点疑問が生じます。
なぜ、10社ある東北電力や東京電力といった地域電力会社が施設を建設しないのでしょう。
それは発電施設の建設や維持に大きなコストが掛かるだけでなく、火力や原子力といった発電方法に比べて発電量が確保しづらいだけでなく建設コストに見合うだけの発電量が得られないことから建設が先延ばしにされてきた実情があります。
そこで買取価格を安定的に、かつ高額化することで民間事業者に建設費用などを負担してもらいながら再生可能エネルギーの普及を支援しつつ、エネルギー自給率を向上させるために「固定価格買取(FIT)制度」が設けられているのです。
固定価格買取制度を維持するための再生エネルギー発電促進賦課金
固定価格買取制度を運用するうえで国がどこから財源を確保しているのかというと、毎月支払っている電気料金の中に「再生エネルギー発電促進賦課金」、略称「再エネ賦課金」を組み込むことで電気利用する全世帯から平等に徴収しています。
短期的には負担が増大することとなるものの、再生可能エネルギーが普及されてエネルギー自給率があがることで長期的には電気料金の価格が安定することを見越しており、結果的には全世帯に還元されると考えられています。
ただ、この再エネ賦課金の徴収金額については、普及状況や事業経費を踏まえて算出された買取り費用を軸にして、調達価格等算定委員会が策定し、経済産業大臣の承認によって毎年決定されます。
つまり、毎年金額が変わる可能性があることになります。
また再エネ賦課金は、どの電力会社と契約していても電気料金を支払う際には必ず徴収されるものであると同時に、導入当初の2012年度の 0.22円/kWhから2021年度には3.36円/kWhと価格が10年で15倍以上に跳ね上がっています。
固定価格買取制度が終了し再エネ賦課金が0となる見込みは2048年で、減額がはじまる予測は2030年となっていますが、それまでは増額を予定されています。
昨今の原油価格の高騰やロシア・ウクライナ問題等による調達費用の高騰による電気価格の高騰によって家計負担は増加することが懸念されているだけでなく、冬季間の電気利用料は全国で特に寒冷地では高くなりますから、その点は本当に平等なのかどうかは疑問に思わざるを得ません。
上記している通り、電力会社を切り替えたところで必ず徴収されるものですが、根本的な電気料金を節約したい場合には電力会社を替えること月々の支払いを減額できる可能性がありますし、自宅に太陽光パネルを搭載し発電したものを自宅内で利用するのであれば電気料金を抑えることができるのと同時に、賦課金を回避できるため検討する価値はあるかもしれません。
いずれにしても、生活の基盤である電気を利用する際には上記のような知識を持っておくことで、家計における支出面を考える機会になるのではないでしょうか。