なぜ電気料金の高騰が起こるのか[価格の仕組みから]
電気料金の高騰が続いており、この状況がどこまで続くのかと不安に思う家庭や企業は少なくないでしょう。
報道等でも燃料価格の上昇等は伝えられるものの、きちんと価格決定の仕組みから説明している報道は時間や誌面の関係から多くはありません。
2月1日から政府による電気・都市ガス料金の負担軽減策が始まり2月請求分(1月利用分)以降、で値引き額が家庭で確認できるようになっています。
政府の対策によって家庭向けの電気代は1月使用分の料金から7円/kwhが値引きされ、1月分の料金は2月の検針で確定するのですが、新潟でんきを含めた電力の小売り各社は検針票や請求書を通じて値引き額を示すことになります。
そこで、改めて電気料金が高騰する理由をできるだけわかりやすく解説していきます。
1. 燃料価格の上昇
各種報道で言われている通り、2022年に燃料価格が大きく上昇しました。
ロシアによるウクライナ侵攻や円安が影響し、LNG輸入価格は新型コロナウィルス感染拡大前の2019年12月から2.5倍になっています。
同じように石炭は5倍。
原油価格も1.5倍です。
天然ガスと石炭が電気料金に影響するのは、それらを燃料とする火力発言が電源構成における割合が非常に高いことが理由です。日本の電源構成は資源エネルギー庁『集計結果又は推計結果(総合エネルギー統計)』を参照すると2020年の時点では76.3%もの電力が火力で賄われています。
そのため、天然ガスや石炭といった燃料が高くなれば、それに応じて発電にかかるコストも高くなるので電気料金が高くなってしまうのです。
ただ、それぞれ価格はLNGが2022年8月、石炭は9月、原油は6月をピークに落ち着きを見せはじめており、電気料金には3〜5ヶ月前の燃料価格が反映されます。そのため、それぞれの価格が落ち着いてきはじめている今後は電気料金も下がっていくことが期待されます。
2. 国内の電力供給力不足
電気料金の高騰の要因として日本のエネルギー・発電の供給量は2010年と2020年を対比すると12.9%減少してることも影響しています。(資源エネルギー庁『集計結果又は推計結果(総合エネルギー統計)』より)
2011年の東日本大震災を契機に原発の停止が続いており、2010年当時は日本の電源構成の1/4にも上25%を占めていた原子力発電所は86.5%ほど停止されていることが最も大きな要因といえます。
また、主力電源となっている火力発電も老朽化した火力発電所の休廃止を勧めたことから規模は縮小しているだけでなく、脱炭素の動きからみても逆行するため「CO2削減」を果たすためには先述の休廃止は大手電力会社の採算性の悪さも相まって急ピッチに進められました。
同時に、脱炭素の動きは再生エネルギーの普及促進を進めることになったことも火力発電所の休廃止に輪をかけることとなりましたが、再生エネルギーは天候や気候に左右されるため安定供給に懸念が生じます。
しかも再生エネルギーによる供給が賄えない時には代替エネルギーとして火力発電を利用しなければならないものの、火力発電所の休廃止によって代替力が下がり、結果的に全体の供給量が下がりました。
供給される電気の総量が多く需要に対して余剰している状態であれば電気価格は安くなるものの、供給される電気の総量が少なく、需要家である我々が利用する総量が増えれば、電気料金は上昇します。
3. 再生エネルギー発電促進賦課金単価の上昇
脱炭素社会の実現に向け、CO2削減や燃料の輸入依存を解消するため、政府は再生エネルギーの普及を掲げてきました。
具体的にどう普及してきたのかというと、太陽光発電などで生成した電気を個人・法人を問わず「優遇価格」で電力会社が買い取るFIT(固定価格買取制度)が実施されています。
このFIT、再生エネルギーを作っている人や使っている人だけではなく、電気を使うすべての人が徴収されるものとなっています。2012年の導入時点では1kwhあたり0.22円だったものが、2022年5月から2023年4月までに適用される金額は3.45円と10年で15倍以上も値上がりしています。
値上がりの背景にあるのは産業用太陽光発電所が2012年から2015年にかけて増加したことや他の再生エネルギーが生まれ利用されるようになってきたことによるものです。
そもそも供給量が少なく大量に生産できる状況でもなければ、蓄電技術が追いついておらず余った電力を蓄えておくこともできないため、高いコストを支払う必要があることから再エネ賦課金も高くならざるを得ないのが実情です。
まとめ
上記で述べたように電気料金の高騰は、原油・LNG・石炭の価格上昇や、原子力発電所や老朽化した火力発電所の休廃止による国内の電力供給力不足、そして再生エネルギー発電促進のための賦課金の上昇などによるものです。
2月支払い分から10月支払い分まで、政府による「激変緩和措置」による燃料調整額への補助が入るため電気料金が2割ほど低減されると試算されていますが、現在のところはこの緩和策がどうなるのかは誰にもわかりません。
世界情勢や燃料価格に関して個人や法人ができることはありませんが、消費電力を抑えるための設備投資を行うことや再生エネルギーによる自家発電の導入など、対策として取れる手段は確実に存在します。
それら、エネルギーにまつわる統合的なご相談や、上記の内容を踏まえて「詳細について知りたい」「契約する際に試算してもらいたい」といった現状把握と試算を合わせて無料診断など、ぜひお力になれると思いますのでお気軽にご相談ください!
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