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電気料金の明細に記載されている”燃料費調整制度”とは

電気料金の高騰化は今後も引き続いていきそうです。

大手電力9社は9月から、電力小売りとの契約を持たない企業に必ず電気を届ける「最終保障供給」の料金を引き上げることを決めました。

"最終保障"とは割高な料金で一時的に電力を供給する仕組みこと。通常は標準的な料金よりも割高に設定されていますが、燃料費の高騰によって電気料金の市場価格が大幅に上昇。電源調達コストを料金に反映したところ最終保証料金が割安になる逆転(逆ザヤ)現象が起きており、経済産業省が是正に動いていました。

これを受け、9月以降は卸電力価格の上昇分を最終保障の価格に上乗せされることになります。料金の下限は各社の標準料金に定め、卸電力価格が下落しても最終保障が通常の契約より割安にならないようにするとのことで各社が発表しています。

そもそも電気料金は、以下のように契約プランごとに設定されている『基本料金』に、使用した電力量と単価に応じて発生する『電力量料金』と『燃料費調整額』、それに『再エネ賦課金』を合算した金額となります。

図1_電気料金の内訳(東北電力)

今回は、燃料の原材料などを価格に反映させるための「燃料費調整額」についてみていくこととします。

燃料費調整制度とは

原油・液化天然ガス・石炭の燃料価格が、基準となる平均燃料価格より上昇または、低下した場合、それに応じて電気料金の調整を行う制度で、燃料調達時に発生する世界情勢や為替レートといった外部要因から価格を安定させるための仕組みとして1996年に導入されました。

電力各社は原材料価格の上下を電気料金に反映させる「燃料費調整制度」を利用することになっており、この制度は電力会社と利用者の双方が原材料費の変動によって損をしないような仕組みです。

燃料費調整制度は過去3ヶ月の平均燃料価格に基づき、2ヶ月後の電気料金を決める仕組みです。

図2_燃料費調整制度の価格反映(東北電力Webサイトより)

東北電力の場合、2012年10月から12月の平均燃料価格31,400円を基準とし、それより高ければ電気料金に上乗せし、安くなれば調整額を引くことなり、平均燃料価格が基準通りの31,400円であれば、上記してきた標準家庭での電気料金は7,662円となる計算です。

しかし、2021年01月に6,746円(過去3ヶ月の平均燃料価格17,600円)だった平均燃料価格は、翌月(2022年02月)から16ヶ月連続で上昇しており、2022年05月は8,536円(過去3ヶ月の平均燃料価格46,600円)となってしまいます。

電気料金の管轄省庁である経済産業省の省令により、電気料金に反映させることができるのは基準燃料価格から1.5倍まで。

東北電力の場合、上記した31,400円を基準燃料価格と設定していることから47,100円が上限となりますが、国が公表した3月の貿易統計の速報値によると6月に反映させる2022年1月から2022年3月までの平均燃料価格は47,100円を超える見通し。さらに、燃料費の高騰は留まる気配がありませんが、それを電気料金へ直接反映させることができなかったのです。

つまり、電気料金へ反映させる上限到達が確実なのにもかかわらず、燃料価格が上昇したとしても東北電力は利用者の電気料金に反映することができず、上限を超えた分は東北電力が負担することになっていたのです。

「上限撤廃」の検討も

こうなると省令によって定められている1.5倍を超えた価格反映はできないため、このまま原材料費が高騰を続けていく場合には電力会社がずっと負担をしなければならない状態を維持することになります。

2022年3月25日の第46回 電力・ガス基本政策小委員会(以下、小委員会)では、この上限撤廃について議論が交わされています。

世界的な燃料価格の高騰を受け、3月に燃料費調整制度の上限を迎えた北陸電力・関西電力・中国電力に加え、4月からは四国電力・沖縄電力の2社が制度上限を突破。これら5社は超過した燃料調達コストを自己負担している状態で、ここに6月以降は東北電力をはじめとした他の電力会社も入って行かざるを得ない状況となり、東電HD管内の最終保障の場合、遅くとも10月請求分には新料金が適用されることになります。

そこで、小委員会では「原燃料費を転嫁しない料金でのサービス継続は持続的とは考え難い」として、規制料金分野における上限価格の撤廃について検討を始める可能性を示唆しましたが、利用者観点から燃料価格の高騰に比例し、電気料金が上がり続けるのは望ましくありません。

また、撤退ではなく燃料費調整額の上限撤廃を独自に行う新電力もあります。2022年1月には、Looopでんきが低圧の燃料費調整額の上限撤廃を発表し、楽天でんきも2022年6月から撤廃することを明らかになり話題となりました。

これらの状況から、燃料費の上昇分を電力会社が負担できている限りは電気料金が急激に上がることはないものの、いつまでも電力会社が負担し続けていては経営が破綻や供給の停止が発生することも考えられます。

今後も電気料金の値上げは避けられなそう...

電力事業者の経営破綻や電力供給の停止を避けるために「上限の撤廃」か「電気料金の値上げ」といった判断を行うことは、生活を支えるものである電気を継続的に利用できるように維持することを考えると、かなり現実的な判断のようにも思えます。

しかし、電気料金が引き上げられる要因は他にもあります。

2050年までに脱炭素社会を目指している日本では、再生エネルギーの比率を2030年度の電源構成を再生エネルギーによって36~38%にすると経済産業省が発表しています。これは2019年時点で再生エネルギーは18%であることを踏まえると、残り2022年現在から8年の間に2倍を達成することを目指しています。

以前、本note内でも取り上げた「再生エネルギー賦課金」について取り上げましたが、再生可能エネルギーを普及させるため、一部の再生可能エネルギーを価格を固定して買い取るための制度である「固定価格買取制度」を維持するために電気を利用する人たち全員が負担しています。

また、この制度は2040年までは年々値上げすることが想定されており、再生可能エネルギーが増えれば増えるほど電気料金に上乗せされますから、これらを想定すると電気料金の値上げ自体は避けられなそうだといえます。

電力会社も利益を出したいがために料金を上げているのではなく、そもそも自らを維持するために利用者負担を増やさなければならない現状であることはわかったものの、現状の電源構成でいいのかといった疑問も湧いてきます。

私たちにできるのは省エネ生活を送るだけなのでしょうか。

これまでに享受してきた便利な生活水準を落として生活をするようになれば、守れるものも守れなくなってしまいますから、積極的に使用する電子機器を低い電力で使用できるものにしたり、効率的な電力利用ができるものに買い換えるなどの対策も必要かもしれません。

新潟でんきは電力事業者として電気料金を最適な価格で提供するために供給元を複数用意しつつ、法人・個人問わずエネルギー利用に関するコストをトータルで削減する支援を行っています。

たとえば、自社電灯の根幹的なLED化によって電気の発電効率が下がり、長期的な視点でみると大きなエネルギーコストを削減することになったお客さまの事例も徐々に増えてきています。

「詳細について知りたい」「契約する際に試算してもらいたい」といったご相談はもちろん、現状把握と試算を合わせて無料診断も行っていますので、ぜひ以下へ気軽にご連絡ください!

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