
再生可能エネルギーだけで電源を賄えるのか
2021年10月22日、日本政府はエネルギー政策の基本的な方向性を示す「第6次エネルギー基本計画」を策定・公表しました。
計画の趣旨としては、「2050年カーボンニュートラル(脱炭素)」の実現期に向けた課題や対応、日本のエネルギー需給における構造的な課題対策などを中心に、様々な方針が盛り込まれていますが、中でも再生エネルギーの分野は期待と危機感が混同する非常に難しい状況に立たされていますが、それでも資源を持たない国だからこそ成長産業とすることにも期待されています。
タイトルで記載した「再生エネルギーだけで電源を賄えるのか」といえば、現状は全く賄えてません。むしろ、足を引っ張っているような状態であるといえますが、なぜ、そんな難しい状況なのか。成長産業になるための仕掛けはあるのか。そんなことを皆さんと一緒に考えてみたいと思います。
S+3Eを前提にしたエネルギーであること
2021年10月に策定・公表されたエネルギー基本計画では、以下のような文章が盛り込まれています。
S+3Eを大前提に、再生可能エネルギーの主力電源化を徹底し、再生可能エネルギーに最優先の原則で取り組み、国民負担の抑制と地域との共生を図りながら最大限の導入を促す。
つまり、再生可能エネルギーのコストを低減させつつ、FIT(固定買取制度)からの独立を図ること、各地域との共生や共創を生み出す基点とすることと、運用開始時点から想定される運用課題に関して明らかにしつつ、乗り越えるために方法を模索し続けることなど、電力システム全体での安全供給を確保しながら規模の拡大を図っていく方針が示されています。
S+3Eは以前にも本noteで取り扱いました(記事はこちら)が、エネルギーを以下の四つの視点を忠実に守りつつ、最適な配分で満たすことを目指す方針・指針であることを書きました。
Safety|安全性
Energy Security|エネルギーの安定供給
Economic Efficiency|経済効率性の向上
Environment|環境への適合
これらを達成するためには、長い期間をかけて石炭や液化天然ガスなど他国の資源に頼らざるを得ない日本の電源調達の転換を図る大きな風呂敷が必要ですが、現状は決して容易ではありません。ご覧の通り、過去の利用実績からは再生可能エネルギーの比率が全体の1/5に満たないことがわかっており、ましてや今は天然ガスが輸入しづらくなっている状況。上記のS+3Eの原則に照らし合わせるならば、電気を安全で安定供給するためには石炭や石油などの資源を燃やす発電方法に頼らざるを得ません。

しかし、脱炭素を目指すためには、化石燃料をもとにした発電比率を徐々に減らしていく必要があります。そのためには原子力発電所の稼働も必要になるでしょうし、あらゆる再生可能エネルギーの発電効率をもっと効率良くしていく技術革新が必要になります。
事業の再編や根本的な見直しなどのGX
技術革新などにより、再生可能エネルギーの発電効率が飛躍的することと同じぐらいに大事なものだと考えられているのがGXと呼ばれるもの。これはGX: Green Transformationと呼ばれ、地球温暖化の大きな要因である温室効果ガスの排出削減と、それらの技術を前提にした社会経済の変革を指す言葉です。
なぜ、社会経済の変革といった仰々しい言葉が使われるのでしょうか。
それは企業の製造過程を根本的に見直す必要に迫られるからです。脱炭素とは耳にすれば聞こえのいい文言ですが、企業側からすると”それまでの製造工程を見直さなければならなくなる”ほどに大きな事業インパクトをもたらすものです。繰り返しになりますが、それまで何も気にせずに製造していたのに、脱炭素を意識した製造工程に舵を切るなど事業方針を大転換するに等しいことであり、おいそれとできるものではありません。
また、再生可能エネルギーの発電コストは着実に低下しているものの、いまだに国際的な基準からすると高いのは数値上からも明らかです。当初のコスト感をなだらかにするために導入されているのがFIT(固定買取)制度によって電力会社が買い取る費用の一部を電気利用者全員から「再生エネルギー賦課金」といった名目で徴収されるものですが、再生エネルギーの導入を促進するために国民全員から負担してもらおうとする政府のいわば税金です。

これによって再生エネルギーのコストは大きく下がってきていますが、こちらの負担は無限に増やしていいというわけではありませんよね。入札制や中長期的な価格目標の設定などを介していくのと同時に低コスト化に向けた研究開発への投資・支援を通じて再生エネルギー全般の発電コスト低減を目指していくことも期待されています。
今はまだ遠いけれど政府はGXを目指している
資源の乏しい国であることから、これまで日本では原子力発電が重視されてきた歴史があります。しかし、2011年の東京電力福島第一原発事故を機に縮小傾向にせざるを得ませんでした。
それ以降は石炭や石油といった化石燃料と天然ガスといった自国にはない資源を輸入することで電源を確保することを繰り返してきたわけですが、ロシアのウクライナ侵攻をに対する経済政策を機にロシアからのLNG(液化天然ガス)供給が期待できなくなりました。他にも、化石燃料の発掘に対する世界的な投資の縮小やコロナ禍からの経済復活を目指す各国でのエネルギー需要の高まりによって化石燃料の価格が高騰。その煽りを受けた結果、日本でも多分に漏れず電気料金の高騰が起こりましたが、これは記憶にも新しいでしょう。
このような日本にとっては非常に嘆かわしくもツラい状況ではありますが、だからこそ日本政府は脱炭素を実現するための経済・社会・産業構造をクリーンエネルギー中心に移行させる経済社会システムの変革、すなわちGX(グリーントランスフォーメーション)を目指しています。
ここまでのことをまとめると何がいいのかといえば、電気料金の高低を政府がコントロールできる範囲にはありませんが、クリーンエネルギーを普及促進するための税制優遇や補助金などによる経済支援が可能です。
これを機に、再生エネルギーの導入や消費電力の見直しなどに力を入れていく事業者は増えていくことが容易に想像できますし、それが一種のトレンドになっていくことも想像に難くありません。
新潟でんきでは、電気契約だけでなく消費電力の削減(省エネ)や再生可能エネルギーなどの普及推進によって脱炭素社会の実現にも寄与しています。
ぜひ、電力の利用に関する統合的なご相談や、上記の内容を踏まえて「詳細について知りたい」「契約する際に試算してもらいたい」といった現状把握と試算を合わせて無料診断などを、以下へ気軽にご連絡ください!
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