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「ケアと表現についての事例集」をはじめます《企画紹介》
当センターでは「ケアと表現についての事例集」として、生活の中で表現をしている障害のある人の現場(福祉施設等)を訪問し、障害のある人がおこなう表現を周辺の家族や支援者がどう捉えているかを調査しています。今まで出会った方をこのnoteで紹介し、冊子化する企画を立ち上げました。
この企画を立ち上げる前提として、2019年に企画・実施した「上越アール・ブリュット公募展」があります。ここで、私たちは作品と呼んでいいのかさえわからない、些細な日常の表現を、それを作る人と、その周りの人とのエピソードとともに募集しました。
モノとモノガタリ集めます。
偶然できたもの、意図してつくったもの、引出にしまっているもの、引き出しに入りきらない物、それを誰かに見せたい気持ち、よくわからなくて困ったけれどずっと頭の中に残っている出来事。教えてください。あなたの「モノとモノガタリ」。
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私たちは、障害のある方の表現は「他者との関わり、間から生まれている」ことに注目しました。通常の社会生活において、人と人とのコミュニケ―ションは話し言葉や文字を介して行われています。しかし、言葉を使うことが難しい人は自らの好みに沿って、絵だったり、手や表情、声などを使い「その人独自のコミュニケーション言語」を作り出しています。そのコミュニケーションの方法は、他者である支援者へどのように向けられているのか、また同時に支援者はどう受け止め、関係が変化しているのかを見ていこうとしました。
応募用紙では記入見本として、過去に当センターで企画・実施した展覧会へ出展した五井雅人さんの、「髪の毛を結ぶ行為、できあがったもの」の事例を事実を元に紹介し、表現する人の周りにいる人たちへ共感を得られるようなものにしました。
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2021年度は、県内2か所の福祉施設へ、漫画家の古泉智弘さんとともに訪問調査を行いました。障害のある人と支援者の関係について、取材に基づき読みやすく描いてくださった古泉さんの漫画とともに、《第1回》《第2回》は、二人の方の表現についてレポートします。
上越アール・ブリュット公募展 展覧会時に配布されたガイドブック(PDF)