CFE(公認不正検査士)試験に合格しました
社労士合格を目指す勉強を開始する前より、受験申込をしていたCFE(公認不正検査士)試験を12月に受験し、本日郵送で合格証が送付されました。
公認不正検査士は、国際資格の一つで「不正の防止・発見・抑止の専門家」と言われる能力を証明する資格で、日本では恐らく数千人程度しか保有者がいないのではないでしょうか(世界的には9万人くらい?)。
今日は、そんな公認不正検査士の受験動機と、受験方法、勉強方法と合格後の登録そして合格後の活用方法についてお話してまいります。
1.公認不正検査士とは
Wikipediaから引用すると、「不正対策に重要な4つの分野(会計知識、法律知識、犯罪心理学、調査手法)について豊富な知識を有する人材のことを指し、アメリカに本拠地を置く「公認不正検査士協会(ACFE)」の会員のみに与えられる資格」を指します。
英文表記では「Certified Fraud Examiner(CFE)」となります。
士職ではありますが、名称独占資格かつ国際資格であるため、独占業務は当然のことながらありません。日本での知名度は限りなく低いのですが、不正会計や粉飾決算、違法行為等を調査する際にちょくちょく出てきます(ワールドコムの不正会計は公認不正検査士の方が解明されていました)。
日本では数千人(多分2.3千人程度)という話をしましたが、資格保有者は弁護士法人、監査法人に所属している方が多く、複合資格の一環として、企業の不正や犯罪行為を未然に防ぐための手法を学ぶ観点で学ぶのが良いと思っております。
2.公認不正検査士の受験動機
これは、元々CISA(公認情報システム監査人)資格を持っていることもあって、監査能力向上とCISAと若干範囲が被るところもありましたので、受験資格も有することから、受験することにいたしました。
業務面としては、元々グループ全体の監査業務に携わることも多いことから、その業務のバックボーンとして活用することを目的にしています。
3.受験資格
国際資格は、受験資格そのもののハードルが高いのが特徴になっています。
パターンを分けるとこんな感じ。
①言語によるハードル(日本語試験が無い)
②受験料が高額・団体への加入義務付け
③実務経験、学歴、他の資格等が必須
そのうち、公認不正検査士については、②と③のハードルが高いのが特徴になります。
・受験前に「一般社団法人日本公認不正検査士協会」への加入義務
・受験資格として、大学卒業もしくは士職・CISA・USCPA等の資格を含め、複数資格を有することや実務経験等のバックボーンが必要。
https://www.acfe.jp/cfe/cfe-entry/eligibility-requirements-for-CFE.php
(更に、登録の際には、監査・不正に関する内部統制・フォレンジック調査等を含む実務経験2年以上を要する)
後述する受験のための冊子として「不正検査士マニュアル」が必須となる訳ですが、この冊子と初回受験料、年会費を含めると、受験準備で80,300円(税込)が必要になるので、この時点でハードルが高くなっています。
4.受験方法
前は、受験方法としては会場受験だったのですが、今は新型コロナウイルス感染症の影響もあったため、日時を定めた自宅受験のCBT試験となっております。試験時間中はテキスト・冊子等の閲覧は禁止です。なので、事前勉強はある程度要求されます。
CBT試験なので、システムにログインして、指示に従ってマウスを利用して受験します。日時は決まっており、4科目(財務取引と不正スキーム、法律、不正調査、不正の防止と抑止)でそれぞれ180分、125問を回答して、各科目75%以上の得点で合格となります。
科目合格制となっており、科目合格については2回の試験で繰越すことができます(つまり、次回と次々回で残りを合格させるということ)。
5.勉強方法
この試験、過去問とかは無く、基本的に2つの方法での勉強が効率的になります。
①「不正検査士マニュアル」での独学
普通に勉強するなら、こちらがお勧め。
4科目、430ページ程度の冊子になりますが、試験範囲の90%以上が網羅されているので、基本的にこの内容を理解出来れば合格できます。
特に、日本の法律よりも海外の法律に対する理解が要求される部分も多いため、海外における「不正検査」への理解を行うためにも、「不正検査士マニュアル」の読破は必須とも言えます。
このテキストは試験範囲ごとにまとめられており、読み物として読んでいって、巻末にある「理解度確認問題」で試験の出題形式に慣れて行けば、それほど苦労なく合格ラインまで達することは可能です。
個人的には、「財務取引と不正スキーム」については簿記の基礎を、「法律」については、法学の基礎を理解していれば、すんなりと読めるのではないでしょうか。
また、その他科目については、この試験の受験を目指される方にとっては基礎部分も多く、「公認不正検査士」独特の言い回しとか、言葉の定義を理解しておけば合格ラインに達するかと思われます。
一般的な社会人の常識的な回答をするだけで大体30-40%程度回答できると思われますので、残りをマニュアルで埋めていく感じになります。
大体、テキスト2回程度を読み、そして理解できないところを潰しておく。
一応、注意点としては、「不正検査士マニュアル」の全範囲から90%程度出題されますので、全範囲を抑えておくことをお勧めします。
②資格専門学校での学習
現在は、Abitus(アビタス)のみで講義は開講されています。
以前はTACも講義を行っていましたが、受験者数がそれほど多くもないので、撤退したのかなと思います。
AbitusはCISAでお世話になりました。オンライン体制もそろっています。
効率良い学習ができる専門学校ですが、受講料が比較的お高い(CFEで20万超)ので、「不正検査士マニュアル」を読破して良く判らない場合で、かつ早期合格をしなければならないという方以外は独学で十分じゃないかなというのが個人的な見解です。
6.「公認不正検査士」合格後の登録について
この合格後の登録のハードルが微妙に高いのも特徴になります。
①実務経験2年以上を含む、資格要件証明書の提示
例えば大学卒業証明については英文の卒業証明書の提出を求められます。
②推薦状3通(推薦人3名がそれぞれ作成した推薦状)
これが一番ハードルが高く、「申請者の不正対策関連業務における仕事ぶりと人柄を良く知る方(上司、同僚等)」を3名選出して、自由記述による文章形式の推薦状を書いていただく必要があります。
つまり、コピーアンドペーストではだめで、それぞれの立場から記載して頂かないといけないので、それを頼むのに苦労される方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ここについては、合格前に誰に推薦状をお願いするか決めておくことがお勧めです。
この2点に顔写真を用意して、登録手続きを取ることで1ヶ月~2ヶ月程度で資格登録がなされます。
7.登録後の活用方法
僕自身もすぐ登録手続きに入る予定ですが、まずは元々業務の一つで携わっている会計監査や情報セキュリティ監査に対してのバックボーンとして活用する予定です。
実務経験を有するという証明を第三者(認定機関)からなされるというのは比較的大きな力であるというのがあって、キャリアメイキングの意味合いでも非常に有益だなと思っています。
また、社労士との連携も期待できる資格だと思っています。
その理由としては、この資格における不正調査やリスクアセスメントというのは、従業員のバックボーン調査やデジタルフォレンジック等を用いた証憑類の不正調査は、労務関係でも使える部分であるという認識があるからです。
持っていない資格に関しての連携は、妄想の域を脱しないのは事実ではありますが、資格を連携させる方法というのはしっかりと考えていきたいとは思っております。
いずれにしても、大学院や日常業務等、やることは山積みではありますが、社労士試験に専念できる状況になりつつあるので、しっかりと日々社労士試験合格に向けての勉強をコツコツと行っていこうと思っております。
今後も不定期ではありますが、過去に取得した資格等の話もまとめていきたいと思いますので、この資格の話が聞きたい!というのがありましたら、Twitterでもお聞きいただければと思います。
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