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心の「空洞」と「自立」③

他人によって作られた思い込みを無くすためには、何をすればいいのか。

きっと、方法は人それぞれだと思います。

私の場合は、自分で「選択」をし、真剣に取り組むことがその一つでした。


自分の意志で何かを始めたことがない私にとっては、自分の足で立っている感覚を身につけるために必要な経験でした。
何かを始めるにも辞めるにも、そこに自分の意志がなければ、人はその経験を自分のものだと認識することができないのではないかと思います。

私の心に一番影響を及ぼしていたのは「母の好みの習い事」に通わされたことだったので、大学では自分の好きな歌が歌えるサークルに入ることにしました。

私は昔から歌うことが好きで、人よりも得意なことでした。ずっと心の底から「真剣にやってみたい」と思っていたので、勉強を疎かにしないよう、メリハリをつけながらサークル活動に本気で取り組んでいました。(多分こんなに切実な思いでサークルに参加していたのは私くらい)

すると、驚くほどに、毎日が本当に楽しくなるんです。

私はHSP気質なこともあり、様々な感情が集まる学校に苦手意識を持っていました。ですが、やりたいことを初めてからは学校に行くのが毎日楽しみになり、朝起きるのだって辛くない。些細なことが気にならない。勉強だって楽しくなるし、もっとあれがやりたい、こうなりたい、もっと上手くなりたいと、前向きな感情が溢れ出てきました。

自分でも驚いていました。

ああ、こんなに簡単なことだったんだ、と。

しかし、嬉しいと同時に、怒りも湧いてきました。

自分が今まで辛いと感じていたことはなんだったのかと。もしかして、他の人たちはずっとこんな気持ちで生きてきたんだろうか?母の好みに縛られて過ごしてきた18年間はなんだったのか。もし元からこんなにも楽しい気持ちで溢れていたら、私はもっと別の場所にいたんじゃないか?と。

虚しくて、悲しくて仕方がありませんでした。

自分の心の中だけで、この気持ちを処理するのは無理だと感じていました。

しかし、「自分の気持ちを伝えると誰かが不幸になる」という思い込みが無意識に染みついた私には、この感情を母に伝える勇気などありませんでした。
(また、この時は同居していた祖母が体調を崩しており、気を使って毎日を過ごしている母にさらに追い討ちをかけることはできませんでした。母に気持ちは伝えたいけれど、傷ついてほしいわけではなかったんです。)

そのため、ずっと、機会を待っていました。


この気持ちを伝えられるのは、本当に限界がきたときだと思っていました。
そして、なんとなく、それは近いのだと感じていて、その直感は就職活動という壁にぶつかることで現実になっていきます。


(次回へ続く)

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