3つの“失敗”をもとに東京中古ワンルームで実現した「サイドFIRE」
さまざまな投資の失敗を経験しながら実現できたサイドFIRE。不動産投資が成功したとしても「働き続ける必要がある」と神先様はいいます。家賃収入から得られる安心感と共に人生の選択肢も増えているようです。今回は、サイドFIRE経験者としての視点から考える働き方や人生の楽しみ方などについてご紹介します。
〈私の失敗談①〉「何とかしないと」失業・転職の繰り返しから投資に手を出すも上がらない利益
〈私の失敗談②〉「相続税対策でアパートを建てましょう!」地方の不動産投資の怖さを垣間見たご近所の失敗事例
〈私の失敗談③〉「これは入居しない」物件を見ずに購入した首都圏の一棟アパートは空室だらけ
■東京中古ワンルームの家賃収入がもたらす「絶対的な安心感」
——これまでお聞かせいただいたお話をまとめると、株やFX、投資信託への投資から始まり、不動産投資では都心の中古ワンルームと並行して一棟アパート購入へと移行されて。様々な失敗を経て現在は東京中古ワンルーム投資が安定しているということに落ち着いたのですね。
そうですね。不動産投資を始めて6年が経ちますが、東京中古ワンルームはとても安定しています。これまで失業と転職を繰り返してきました(『失敗①|「何とかしないと」失業・転職の繰り返しから投資に手を出すも上がらない利益』参照)が、いまはものすごく安定した状態です。いつ仕事を辞めても問題ありません。普通に生活していけるだけの家賃収入さえあれば困ることがないのです。そういった意味では、不動産投資をすることは精神的にもすごく支えになっています。
例えば銀行預金が1,000万円や2,000万円ある場合でも、年金生活になるとだんだん預貯金が減っていくわけです。収入がない中で、毎月預貯金が少しずつ取り崩されていくというのは、精神的に不安になると思うのです。1,000万円が900万円になり、800万円、700万円とお金がどんどん減っていく。それなのに、人間の寿命は「いつまで」という決まりがないから、「老後にどれだけお金が必要か」というのも正確にわからない。それを考えると、資産は減らない状態で毎月家賃としてお金が入ってくるというのは、経済的な面だけではなく精神的にも非常に安定感があります。これは大変なものだと思いますよ。
——確かにいくらお金があったとしても、それが毎月減っていくのを目の当たりにしてしまうと不安になりますね。そうなると、もとの生活から徐々に生活水準を落とさざるを得ない。切り詰めていかないといけなくなってしまいますね。そういった精神的な安定が家賃収入の本当の醍醐味といえるのかもしれません。
そうですね。私の場合はある程度物件を持っているので、毎月かかる生活費よりも家賃収入のほうがはるかに上回っています。そのため生活の面ではまったく心配がありません。まさに働かなくてもお金が入ってくる状態なのです。だからお金が減ることがない。時間が経つごとにどんどん貯まっていくような状態なので、本当にありがたいと感じています。
——最近ではFIRE(Financial Independence, Retire Early)という言葉が流行っていますが、「家賃収入だけで暮らしていく」ということが選択できるのに、それでもお仕事を辞められていないというのは、何か理由があるのでしょうか?
私はいま59歳で、来年が定年です。定年にはなるのですが、希望者再雇用という「65歳までは再雇用しますよ」という制度があるので、個人的には死ぬまで働くつもりです。それはいまの会社にこだわっているわけではなく、「働かなくなったらもう終わりかな」という思いがあるからです。
いまの会社が決して良い会社というわけではありません。もっと言うと、いまの会社は自分には合っていないと感じています。
——合っていない、と感じるうえでも、いまの仕事を続けられるのですね。
はい。どんな仕事でもそうだとは思いますが、かなりしんどいのです。ただ、いまの会社でそのまま働いてもいいし、もっと他にやりたい仕事があれば会社を移ってもいいと思っています。家賃収入があることによって、私はそういう選択肢を持つことができているのです。
逆にもし、家賃収入などの副収入がなくて住宅ローンや自動車ローンがある状態なのに「生活レベルを落としたくない」というのであれば、しんどくて嫌な仕事でも続けていかなければなりません。それが精神的な負担に繋がります。少なくとも昔の私はそうでした。
やはり、「いつでも会社を辞められる」「やりがいのある仕事に出会えたら、すぐにそちらへ移ることができる」という余裕があるのは良い、と実感しています。先ほど申し上げた通り私は59歳で、年を取ると体力もだんだん弱ってくるので「わざわざ遠い勤務先へ電車に乗っていかなくても、自転車で行ける距離の職場に移ってもいいかな」という考えにもなります。頭を悩ませて神経をすり減らすような仕事ではなく、もっと毎日楽しく仕事ができるような職場がいい。そんなに高い報酬はいらないので、「健康で楽しく働ける職場があれば移りたい」という気持ちはあります。
いまの会社を辞めたとしても働くのを辞めるわけではなく、どこかで働き続けるつもりです。
——報酬優先ではなくやりがいのある仕事を選べるというのは、理想的な状況ですね。
会社にしがみつく必要がありません。いまFIREが注目されていて、目指している方が多いと言われていますが、やはり働いている状態が一番良いと私は思うのです。FIREを目指している方というのは、おそらく「現在の仕事が合っていない」とか「やりがいのある仕事ができていない」、「職場の人間関係に問題がある」といった状態にあるのではないでしょうか。いずれも、社会人であれば多くの方が経験されていると思います。
とはいえ、私は決して遊んで暮らす状態が良いとは思っていません。仕事をしながら不動産投資をして家賃収入という副収入があって、というのが良いと思っています。これからの時代はますますそう。副業をしたり、個人で会社を作ったりとどんどんやればいいと思うのです。私としては、「仕事はやっぱり続けたほうがいいのではないか」という気がします。
それが元気の源になるし、老化防止と言いますか、頭もボケないし体は健康な状態を保てます。ですから、毎週月曜日から金曜日まで判をついたようにフルタイムで働かなくても、例えば半日だけや週3~4日だけといった感じでも仕事を続けられたほうが良いかなと思います。
——働き方や、週にどのくらい働くなど、そういった選択ができることも、家賃収入による生活の安定というのが非常に大きいですね。
そうですね。少しでも副収入があって心の支えになればフルタイムで働かなくてもいいのではないでしょうか。好きな仕事を週に3日だけなど、そういう心の余裕も出てきます。やっぱり副収入があるというのはよいですね。東京中古ワンルーム投資を続けていて本当に良かったと思っています。
働かずに家賃収入だけで生きていくことは可能ですが、私は働き続けていたいですね。それが不動産投資へのモチベーションアップに繋がり、今後の人生ももっと豊かになると感じています。
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