〈私の失敗談③〉「これは入居しない」物件を見ずに購入した首都圏の一棟アパートは空室だらけ
不動産投資家の神先様は、東京での中古ワンルームマンションが好調だったことから、ほとんど現地の物件を見ないで購入していた、と言います。ところが、実際には物件を見ずに買ったことが大失敗に繋がる、というケースもあったようです。いったいどんな物件だったのでしょうか。今回は、一棟アパート購入で大失敗をしてしまった事例をご紹介します。
■「都心のワンルームなら上手くいく!」欲に駆られた一棟買い
——東京で中古ワンルーム投資を始められてからの6年間で、当社以外の不動産会社と比較されたことはありましたか?
実は他の不動産会社で一棟アパートを買ったことがあります。日本財託でずっと中古ワンルームを買い進めていて調子が良かったものですから、東京は遠く簡単には行けないこともあり、物件購入の前に現地へ見に行くことをしていませんでした。一般的には、現地で物件を見てから購入される方がほとんどかと思います。(以前実施していた)東京で開催されていたオーナー交流会や何かのついでに2~3件まとめて見たことはありましたが、全部は見ていません。現地で物件を見ないで買って、それでも順調に回っていたので、不動産投資というものを誤解している部分がありました。簡単に儲かるものだと思っていたのです。
その後、「ワンルームでこれだけ儲かるのだったら、一棟マンションやアパートの賃貸運用をやればもっと儲かるのでは」と考えるようになりました。ものすごく業績を伸ばしている某不動産仲介会社がありまして、地域貢献もされている良い会社なので、セミナーを聞きに行ってみたのです。その後、一棟アパートを買いました。ところが、これが大失敗だったのです。
——大失敗?
はい。現地へ物件を見に行かずに買って。というよりも、先ほど申し上げた通り私は「見に行かなくていいもの」だと思っていたのです。実際には立地が良くなかった。
——入居者が付かなかったのでしょうか?
管理会社が頑張って最初はそれなりに入居があったのですが…。家賃がかなり安くて狭小アパートなので、入退去の頻度が高いのです。駅から遠く不便な場所ということもあって、1回退去があるとなかなか次の入居者が付かなくて。3~4カ月の空室が当たり前でした。これはコロナ前の話ですよ。コロナ禍になる前でそんな状態だったのです。
さらに管理手数料がものすごく高い金額に設定されていました。例えば、1回退去が発生すると、いろいろな経費名目で費用を取られるので、入居率が90%だったとしても全然利益が上がらないのです。
また金利2.9%のフルローンで物件を購入していたので、繰り上げ返済を積極的に実施して元本を減らしていく必要がありました。ただ繰り上げ返済の手数料だけで2%くらいあり、簡単に繰り上げ返済ができない状況になっていて、キャッシュフローもずっと赤字の状態が続いていました。
——具体的にはどんな物件だったのですか?
横浜市内で、最寄り駅から徒歩15分の物件です。徒歩15分といっても、駅から物件までずっと坂を上る必要がありました。ずっと坂道を上って、曲がり道も多く、最後に私道のような住宅街の脇道を入って行って、さらに階段を上ってようやくたどり着くようなところです。物件までかなりしんどい登りなので、若い人しか対象にならない、という印象でした。
その先に物件があるのですが、ちょっとした高台に狭小アパートが4棟も建っているのです。買ってしまった後だったのですが、物件を見たときに「これは入居者が付かないな」と思いました。
このようにいろいろな問題があったので、結局物件を紹介してくれた仲介会社と交渉して、買ったときの価格で買い戻してくれました。
——売った不動産会社が買い戻してくれたのですね。
はい。私は運が良かったんだと思います。最初の頃はずっと我慢というか、様子を見ていました。とはいえ、なかなか利益が出ない。想定とずいぶん違うな、という思いがずっとありました。このまま続けていると「どんどん負債が膨らんで危ないな」と。
もしこの物件をずっと持っていたとしたら……例えば10年後などになると大変なことになっていたと思います。購入価格の半値でも売れなかったかもしれません。
——ほかの3棟のアパートの稼働率も悪かったのでしょうか?
恐らく空室がたくさんあったと思います。私が持っている物件はまだ空室が少ないほうでした。
——やはり、せめて1回は現地まで物件を見に行っておいたほうがよいのでしょうか。
そうですね。立地選びは重要です。東京や横浜といっても広いですから、見に行けるなら足を運んだほうがよいと思います。
とはいえ、やっぱり都内でワンルームを買わないとダメだなと思いました。アパート管理となると手がかかるイメージが強く、管理会社にお願いしているのですが、一棟となるとやはり難しい。例えば、消防に関する点検とか、共用部分の清掃費用とか、意外といろいろなところでお金がかかってくるのです。ワンルームマンションの場合は、管理費と修繕積立金さえ払っておけば共用部分などはさほど気にする必要もありません。
東京にはものすごい数の不動産業者がありますが、素人相手にこうしたアパートを賃貸需要がなさそうなエリアに建てて利回りだけ良く見せて売り抜ける、などをやっているところもあるので、「気を付けなければ」と思います。私は今後、こういう物件には手を出しません。もう懲り懲りです。
〈次回は2/24「最終話|3つの“失敗”をもとに東京中古ワンルームで実現した「サイドFIRE」〉に続く
〈経済的自由を達成したオーナー様のお話を聞く!〉