トッドとミアシャイマー
ここ一ヶ月ほどの間に、文春オンラインでウクライナ戦争に関わる注目すべきインタビュー記事が二つ掲載された。フランスのエマニュエル・トッドとアメリカのジョン・ミアシャイマーのインタビュー記事だ。
米露両国のプロパガンダにあおられた情緒的な言論があふれる中、二者は冷静な意見を述べている。
いわく、「戦争の原因はアメリカの戦略の帰結」ということだ。そこに都市伝説や陰謀論は存在しない。
国際ルールを守らなかったロシアが悪とする言説が巷にあふれている。しかし、大国の上に警察組織は存在せず、国際的なルールを守らせる手段がないというのが現実だ。大国以外が口を極めて罵ったり非難したところでなんの強制力ももたない。
ミアシャイマーは大国の振る舞いを自然法則のごとく理論化した。科学の世界では現実を正しく予測できる理論が重要であり、そうでないものは破棄される。そしてそれは、時代時代で遷ろう倫理観とは相容れない場合もある。
ミアシャイマーは自身の理論に基づき、長年にわたり今回のような紛争の起こることを警告してきた。歴代の民主党政権はこの警告を無視し、常にリスクが高まる方向へと舵を切ってきた。結果がこれである。
大衆が真と考えていることが現実に真であるとは限らないことは歴史が示してきた。キリスト教華やかなりし中世ヨーロッパにおいて、ガリレオは宗教裁判で地動説を撤回させられ、ブルーノは「地球は丸い」と主張し火炙りになった。
真実から遠ざかると、優れた意思決定を行うことができず、進む道を誤る。ときの支配者の影響を受けるマス・メディアの情報からは距離をおき、理論に従って合理的に考えることが肝要である。
日本の危機を広く知ってもらうため日々noteで投稿しています。あわせて日本復活に必要と考えている新しい技術・産業についても書いています。