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「戦争指導者」のレッテル貼りと「戦争指導」という誤った認識をする人達

元大阪市長・大阪府知事の橋下徹がTwitterなどでゼレンスキー大統領に対して「戦争指導者」や「戦争指導」と言い、一部の維新支持者もそれに同調している。

戦争指導者と戦争指導と聞いて皆さんがイメージするのは「戦争を起こして、その戦争を指導した者」と思うが、国際社会や国内での一般的な認識と言える。

例えば、歴史家のアラン・ジョン・パーシヴァル・テイラが記した第二次世界大戦の戦争指導者の本では、ムッソリーニ、ヒトラー、チャーチル、スターリン、ル ーズヴェルトという名が連なっている。

アラン・ジョン・パーシヴァル・テイラ

ちなみに、一部では「戦争を指導した七人の男たち」のように昭和天皇を戦争指導者とするのがあるが、これは認識が間違っている。

大日本帝国の戦争指導は昭和天皇が議長であった大本営政府連絡会議(後の最高戦争指導会議)が担っていたが議長には何ら権限も決定権も無かった。

その為、開戦時に内閣総理大臣、陸相と内相を兼ねて開戦後には軍需相と参謀総長をも兼ね、東京裁判で開戦の罪と殺人の罪で裁かれた東條英機が戦争指導者となる。

このように戦争指導者と戦争指導とは「戦争を起こして、その戦争を指導した者」を指すので、ロシアに軍事侵攻されたウクライナのゼレンスキー大統領には言えず、ロシアのウラジーミル・プーチンに戦争指導者・戦争指導と言うものだと分かるだろう。

普段、反米意識のある人や幸福の科学(幸福実現党)や幸福シンパなどロシア・プーチン擁護を陰謀論やロシア産プロパガンダを発信してるのは論外だが「ロシアがウクライナに軍事侵攻した理由はウクライナにも問題がある」という認識の人は誤った情報を鵜呑みにしている。

① 日本維新の会の鈴木宗男は「NATOの東方拡大を約束した」と言うが、国家間の約束事や決まり事は条約や書面で交わすものだが、そんなものは一切存在しない。
2014年のロシアによるクリミア・ウクライナ東部への軍事侵攻というのは親露派ヤヌーコヴィチ政権がウクライナ騒乱で崩壊、暫定政権が発足したが、プーチンが暫定政権を認めずに軍事介入したものなので、NATOの東方拡大は全く無関係であり、外交も何も無く軍事侵攻されたのが分かる。

② ロシアの言うルガンスク人民共和国やドネツク共和国の地域とクリミア半島は元々がウクライナ領だったが、ロシアは2014年のクリミア・ウクライナ東部の軍事侵攻で獲った。
当然、これらをウクライナは認めていないので、この地域にロシア軍が存在していれば軍事ドクトリンが国家防衛のウクライナは、この地域にいるロシア軍に攻撃する。

③ 2022年のロシアのウクライナ侵攻で、よく耳にしただろう「ミンスク合意」をウクライナが守らなかったと言う論調があるが、実際はウクライナとロシア双方共に守らないといけない項目があったが、どちらも守っていない・守らなかったというのが事実になる。

これらだけでもロシアが圧倒的に悪いと普通に分かると思うが、2014年ロシアのクリミア・ウクライナ東部侵攻を省いて2022年ロシアのウクライナ侵攻を起点に見てしまうと、ウクライナが悪い・ウクライナにも落ち度があるように見えてしまう。

間違った認識で被害者を批判・糾弾するのは恥ずかし過ぎるので、頭の良い子は真似しないようにしよう。

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