戸籍時報連載『旧市区町村を訪ねて』22『広大な豊田市を巡って』愛知県豊田市～旭町，稲武町，下山村，足助町，藤岡町，小原村～（文・写真：仁科勝介）
こんにちは。コンテンツビジネス推進部のMです。弊社刊行「戸籍時報」との好評連動企画、「旧市区町村を訪ねて」。
いつもたくさんの「スキ」をありがとうございます💛
今回、令和7年2月号掲載の第22回は、愛知県豊田市から。日本有数の自動車メーカーを誇るまちとしてのイメージとは異なった、四季の彩あふれる魅力に触れた記事となっています。
いつものとおり、仁科さんの素敵なお写真をここではカラーでご紹介しています。
今後の連載も、ぜひお楽しみに！
～～本連載の著者は、写真家の仁科勝介さん。2018年3月から2020年1月にかけて、全国1741の市区町村を巡った彼が、2023年4月から再び、愛車のスーパーカブで日本中を旅しています。
今回の旅のテーマは、1999年に始まった平成の大合併前の旧市区町村を巡ること。いま一つのまちになっているところに、もともとは別の文化や暮らしがあった。いまも残る旧市区町村のよさや面影を探します。
仁科さんの写真と言葉から、今そこにある暮らしに少し触れてもらえたら嬉しいなと思います。～～
『広大な豊田市を巡って』
豊田市といえば，「世界のトヨタ」が本社を構え，市街地には名古屋グランパスのホームスタジアムでもある「豊田スタジアム」を有する，かなり規模の大きな地方都市というイメージがあった。
ただ，旧市区町村の旅を通して豊田市のまちを巡っていくと，そんなイメージは覆されていった。
今回は晩夏と初冬に分けて豊田市の旧市区町村を目指した。まだまだ暑かった晩夏に訪れた旧旭町や旧稲武町は，岐阜県とも県境を接し，深い緑に囲まれた自然豊かなまちだった。
旧稲武町はかつて名古屋と信州飯田を結んだ伊那街道（飯田街道）に位置しており，商店街には懐かしさを感じる町並みも残っていた。豊田市街地からは40km以上も離れた地域であり，当然のように流れている日常を見ると，つくづく豊田市の広さに驚かされる。
初冬に訪れた旧下山村，旧足助（あすけ）町，旧藤岡町，旧小原村は，中山間部に位置するまちだ。夏の暑さからは一変し，冬の厳しい冷え込みに包まれていた。旧下山村の東に広がる三河高原付近では，ちょうど雪が降り始め，瞬く間に一面が白銀の世界となった。地元の方々は積雪の中，何事もない様子で車に乗っていて，雪も日常の一部なのだと感じられる。
旧足助町は戦国時代にまちの原型がつくられ，旧稲武町と同じく伊那街道（飯田街道）が通ったまちだ。今でも宿場町の面影を残す建物が連なる。近くには紅葉の景勝地である香嵐渓があり，併せて訪れることにした。その日はちょうど休日かつ紅葉の見頃で，道中は数キロ手前から大渋滞だった。やっとの思いで辿り着くと，香嵐渓の真っ赤に染まった紅葉は誰が見ても感動するほどの鮮やかさだった。懐かしく落ち着いた統一感のある町並みと，圧巻の紅葉。歴史と観光の中心に出会えた気がした。
そして，中山間部の旧小原村に訪れたとき，茶色の枝木が多い冬の風景から，淡いピンク色の花々が見え始めたかと思うと，やがてまち全体が，春のような桜一面の風景に変わっていった。咲いていたのは，春のみならず，秋から冬にかけても花を咲かせる四季桜で，まち全体で一万本を超える四季桜が植栽されているという。小原ほど一面に咲き誇る四季桜を見たのは初めてで，地元や近隣の方々は，こんなにも素晴らしい冬の風物詩を知っているのかと，とても羨ましく感じられた。
思えば，豊田市は愛知県の市町村で最も広い面積を有している。今回，中山間部の旧市区町村を訪れて，知られざる歴史と風景に満ち溢れた地域を含めた姿が豊田市の全体像なのだと，あらためて思うようになった。
（かつお╱Katsusuke Nishina）
仁科勝介（にしなかつすけ）
写真家。1996年岡山県生まれ、広島大学経済学部卒。
2018年3月に市町村一周の旅を始め、
2020年1月に全1741の市町村巡りを達成。
2023年春より旧市町村を周る旅に出る。
HP https://katsusukenishina.com/
X（旧Twitter）/Instagram @katsuo247
本内容は、月刊『戸籍時報』令和7年2月号 vol.863に掲載されたものです。
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