出版契約書のクラウドサイン化、はじめました
こんにちは。今回は、編集部からWがお届けいたします!
実は、編集のしごとの中で大変労力もかかるけど、とても大切なのが、出版契約の締結です。
慣行上、当社では、書籍校了後から本が入荷するまでの間に出版契約書を取り交わすことが多くあります。
執筆者が4名なら4名分の欄を作成し、契約書は5通(うち1通は出版社用)。
それを、押印のために最初の著者に全員分の契約書を送り、出版社に返送され、再び次の著者に全員分送り、出版社に返送され……の繰り返しになります。
著者間の調整がうまく整わなかった場合は40通もの契約書を作成した例もありました。
そんな中でついに……
編集部で電子契約サービス“クラウドサイン”が導入されましたー!
従来は、紙の形式で作成した契約書を郵送していました(下記写真)。
しかし、クラウドサインの導入により、出版契約書のデータをPDF化し、アップロードしたものをメールで執筆者に回す形になったため、かなり手間暇が省けることになりました(※1)。
※1 こちらが、実際の紙の契約書の実例です。これまで、当事者間で契約内容を確認したうえで、出版契約書を必要部数だけ清書(出力)・製本(製本テープを貼ったり笑)し、さらに返送用封筒を用いて輪番郵送をしていました。
なお、紙の契約書では、住所氏名欄は空欄とし、先方に記名と押印をお願いしていました。
クラウドサインで契約を締結する場合、事前に双方の住所氏名を記載した契約書PDFを作成し、クラウドサイン上にアップロードします。契約書のURLを相手方に送信し、相手方が内容を確認し同意することで、押印の代わりに電子認証&電子署名がなされ契約が締結される形になります。
(どうも、押印の際の記名を手書きで求めている出版社は少数のようなのですが)
サービス導入後に利用した編集担当者や、実際に契約締結をしてもらった著者からは、契約書事務がサクッと終わることへの負担軽減であったり、電子契約で済ませられる利便性の良さというところへの感想が寄せられました。
そして、クラウドサイン導入の経緯の一つがこれ!
土井万二編集代表、弁護士ドットコム編集協力ほか
『会社議事録・契約書・登記添付書面のデジタル作成実務Q&A
電子署名・クラウドサインの活用法』
私が編集担当として携わらさせていただいた本書の刊行が、当社にとってクラウドサイン導入の大きな契機となりました。
元々は、コロナ禍における(テレビ会議システムによる)オンラインでの取締役会等の活用などにまつわる法務や商業登記関連の対応策を書籍にできないか?というのが企画のきっかけでした。
会社法上は、取締役会議事録には全取締役の記名押印が必須だったのですが、2020年5月29日に、クラウド型電子署名サービスによる電子署名での取締役会議事録の作成が可能とされ(※2)、そこからさらに、商業登記規則が改正(2021年2月15日施行(※3))されました。
指定されたクラウド型電子署名サービス(クラウドサイン等)を利用したPDFファイル(取締役会議事録)を電磁的記録として添付し、商業登記申請が原則できるようになったのです。
※2 https://www.cloudsign.jp/media/20200601-houmusyou-shinkaisyaku/
※3 https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00070.html
この点については、共著者のお一人である橋詰卓司先生の「改正商業登記規則と法務省通達によるクラウドサイン登記の拡大」https://www.cloudsign.jp/media/20210216-cloudsigntouki/(サインのリ・デザイン)などに詳しいです。
これらデジタル契約にかかる基礎内容からクラウドサインの活用法等を画像キャプチャ入りで紹介していることが本書の大きな特徴です。
書名にもあるとおり、会社議事録についての基礎的な知識から、クラウドサインを使ってこれらの議事録を電磁的記録にするなど、登記申請に至るまでの解説や、議事録作成のための記載例や留意点をふんだんに盛り込んでいます。
こんな感じ。
本書では、弁護士ドットコムさんに本書執筆について全面協力いただきました。
そのほか、当該分野に抜群に詳しい司法書士の土井万二先生を編集代表、また、尾方宏行先生、新保さゆり先生、内藤卓先生の商業登記の第一人者の執筆陣に加わっていただきました。
さらに、電子認証をはじめとするシステムのプロフェッショナルである株式会社リーガルさんにも執筆協力をいただきました。
本書では全編にわたり、議事録を紙ではなく、簡易に電磁的記録にすることができる利便性をうたっています。
にも関わらず、この本の出版契約書を紙契約書で行うことは、せっかく契約書のデジタル化を勧めているにも関わらず、なんかとっても残念でして。
もちろんクラウドサインさんのサービス内容が良かったという点が大きいのですが、こういった書籍を刊行するのだから、ぜひ、当社でも電子契約サービスを導入してIT化の推進をしたい!
当サービスが導入されたのは、このような経緯もありました。
電子契約サービスの導入をご検討中の皆様に、当記事が検討の一助となれば幸いですし、編集担当者としては、株主総会シーズンでの議事録作成や、取締役会議事録作成のおともに、ぜひクラウドサインと本書を活用いただけるようでしたらとても嬉しいです。
https://www.kajo.co.jp/c/book/02/0203/40857000001