「不動産登記の書式と解説」後藤浩平氏インタビュー
―今回は大好評シリーズ「不動産登記の書式と解説」シリーズの著者、不動産登記実務研究会の後藤浩平氏に最新第4巻刊行に当たってのお話を伺いました！
―2021年から発刊している「不動産登記の書式と解説」シリーズですが、改めて本シリーズの趣旨を教えてください。
後藤：本シリーズは、70年近く刊行していた加除式図書「現行登記総覧 不動産登記の書式と解説」を単行本としてリニューアルしたものです。同書は、特に登記申請書に焦点を当てて登記手続を解説するものでしたが、その趣旨は踏襲しつつ、必要な解説や記録例、添付情報などを適宜整理・追加し、より充実し、かつ使い勝手の良い書籍とすることを意図しています。
「国民の権利の保全を図り」、「取引の安全と円滑に資する」という不動産登記制度の目的を達成するためには登記官、司法書士、土地家屋調査士等の不動産登記の実務に携わる方々が、適正な事務処理を行う必要があります。そこで本シリーズは、「不動産登記実務書の決定版」として、実務家はもちろん、一般の方々にも広く活用していただけるように、不動産登記に関する各種登記の内容に関して、丁寧で解りやすい解説を加えました。その上で、事例ごとに申請情報に関する書式と多種多様な添付情報例を収録しています。
―11月に発刊した第4巻は所有権の移転を扱っています。4巻のポイントはどのような内容になりますか？
後藤：4巻では、令和3年から今年にかけて改正された民法、不動産登記法、不動産登記令及び不動産登記規則の改正又は新設された所有権の移転の登記に関連する規定の内容、並びにこれらの規定に関連する登記実務における取扱いについて解説を加え、書式を掲載しています。
読者の皆様が関心を持たれると思われるものとしては、
① 相続人に対する遺贈の登記権利者による単独申請の登記の書式と解説
② 相続登記の申請義務化に関する解説
③ 相続人申告登記等に関する解説と申出の書式
④ 新たに所有権の登記事項とされた「法人識別事項」及び「国内連絡先事項」に関する解説、申請情報の記載例並びに具体的な添付情報
⑤ ローマ字氏名併記及び旧氏併記の申出に関する解説
などでしょうか。
これらの登記事務の取扱いに関する登記先例等も反映しましたので、発刊がこの時期になってしまいました。また、新たな書式や添付情報も多数掲載したため、すごいボリュームになっています（笑）。分冊することも考えましたが、一冊にした方が使い勝手も良いだろうと判断しました。ですので、この1冊があれば「所有権の移転に関する登記」の申請は万全です！
―インタビュー時点ではまだ現物はありませんが、楽しみです！4巻収録の書式のなかで特に使われそうな書式があれば教えてください。
後藤：先ほど申し上げた相続人申告登記等に関する解説と申出の書式は、使う機会が増えてくると思います。それと相続人に対する遺贈の登記権利者による単独申請の書式ですが、これは、遺贈による所有権の移転の申請自体は結構ありますから、代理人というよりも、申請人にとっては非常に便利になったと言えるかと思います。
また、ローマ字氏名併記及び旧氏併記の申出に関する解説ですね。これについては、どれくらい出てくるかはわかりませんが、逆に稀に出るようなものであれば、そういう書式がないと、やはり代理人としては困りますので、重要になってくると思います。
―2025年には完結予定ですが、執筆状況はいかがでしょうか
後藤：執筆は順調に進んでいます。2025年中には完結する予定です。読者の皆さんには是非とも全巻を揃えていただきたいですね。
―本日はありがとうございました！
プロフィール
後藤 浩平 （ごとう・こうへい）
主たる職経歴
法務省民事局第三課不動産登記第1係長
東京法務局民事行政部不動産登記部門統括登記官
法務省民事局民事第ニ課補佐官
千葉地方法務局不動産登記部門統括登記官
さいたま地方法務局不動産登記部門統括登記官
横浜地方法務局不動産登記部門次席登記官
甲府地方法務局首席登記官
東京法務局城北出張所所長
現在 日本加除出版株式会社常勤顧問
主な著書
全訂第三版補訂 相続における戸籍の見方と登記手続（2022年4月刊）
改正相続法における登記実務と遺言書保管手続Ｑ＆Ａ（2021年4月刊）
Ｑ＆Ａ 所有者不明土地特措法・表題部所有者不明土地適正化法の実務と登記（2020年3月刊）
全訂第２版 一目でわかる登記嘱託書の作り方(2018年1月刊)
先例から読み解く！建物の表示に関する登記の実務（2018年10月刊）
先例から読み解く！土地の表示に関する登記の実務(2017年12月刊)
認可地縁団体・記名共有地をめぐる実務Ｑ＆Ａ(2016年7月刊）
不動産登記の実務相談事例集（2014年2月刊）
不動産登記の実務相談事例集II（2019年5月刊）