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【展示レポ:花と静物】#ひろしま美術館

ひろしま美術館:コレクション企画展示「花と静物」(2022. 11.26~2023.1.9)
2023年1月4日訪問

 ひろしま美術館といえば印象派、西洋画の展示が得意な館というイメージがありましたが、今回は「花と静物」を軸に様々な日本絵画が見られました。西洋と日本の自然観の違い、画材の違いやその受容や発達もさらえるような、切り口の多い鑑賞が出来て楽しかったです。

コレクション展だけあって自館の個性が出るとは言いますが、これは色んな人の感想を聞いてみたい展示だなあと思いました。

たくさんの展示数に例の如く翻弄されて後半の油絵等のゾーンは秒速で見る羽目になっています…。
ですので前半の日本の絵画の展示についてが主な感想です。

展示は第四室に構成され、個人的には久しぶりに1階の日本画からスタートする展示経路でした。
日本画自体、ひろしま美術館でちゃんと見るのが新鮮だったような。

移ろいを愛でる日本画の花

日本の静物画は花鳥画を含めて身近なものだったそうです。西洋の静物画との違いは生き生きとした生命感と四季の移ろいを取り入れる美的感覚、余白によって奥行きを見せる構図のようでした。


たしかに大きな掛け軸に小さな一輪を描く日本画は、その花の根元や背景の山水は想像に任せる部分が多いですね。そして、そんな作品たちの前に立つと白壁よりも畳の部屋、それが最も似合う部屋を自然と想像させ、誰かのお宅に上がってみているような私的な空間を演出されている気がします。

少しずれますが山水画は元々座って鑑賞し、絵の中の人物になりきったつもりで描かれた景色を味わうものだそうです。大学で教えてもらいました。
今回は日本画と洋画の両方が見れる展示だったので各部屋の展示作品の高さ(アイレベル)にも注目してみると楽しかったです。


また花鳥画のひしめく第二室の展示を見ていると、思わずにやりとしてしまうような作品もありました。文化の受容に対す忙しなさはいかにも日本人だなと。
その中で立派な菖蒲が写実味を帯びてどっしりと描写されたものがありました。しかし花器は鳥のような象のような?謎の動物が描かれていて重厚な花に軽快な絵の花器というアンバランスさを持ち合わせていました。(絶対もっと思慮深い図像の花器だと思います…)
恐らく篆刻書画に明るい方が見れば味わい深い絵なのだと思います。私には写実と文人画のハーフのようにしか見えず、面白味のあるハイカラ作品でした!笑
 もちろん、展示は日本画に尽きず地下に下ればそれらに匹敵する個性豊かな油絵が待っていました。ドアを開いて広がる作品群を見た瞬間、コレクション展をなめてはいけないと肝に銘じました。

そしてこの時、17時の閉館までにあと40分しか持ち合わせていないことにも気づきました。始終タイムリミットとの展示順路の果てしなさにさいなまれるので、次展からは余裕をもって身に来ようと思います…。

叙情性溢れる洋画


後半にあたる展示室はとにかく油絵の自由なマチエールに溢れるバラや、円形状の画布によって祭壇画のような雰囲気を持つ菊など部屋内に百花繚乱という感じでした。繊細優美な日本画の描写を昇華させた油絵の花や、大胆なタッチ過ぎて花に分類されるのか?みたいな作品まで、洋画を受容してからの日本絵画は本当に表情豊かです。キャンバスにどことなく叙情性を持ち込んだ作品なんかは、先述した文人画や俳画の名残が感じられて親近感がわきました。
そして多くのキャプションには3つに1つくらいの頻度で「官展」の文字があり、日本の公展覧会に多く出品された作品たちが一堂に会していることも分かりました。
ただ、こんなにキャプションがあっても系譜の明確な画家や女性画家の少なさは変わらないんですね…。
 

急ぎ足で

結局いつも通りバタバタと館を後にしましたが、この展示を通して美術の異文化体験を味わい、思わぬ体験が出来ました。
終始ブログ感が拭えないレポですが卒論対策のために、今年はこんな回想録を折々書けていけたらいいなと思います。
 
お付き合いいただきありがとうございました。

制作

追記:制作の写真です。私も絵を描くとき、概ね花がモチーフになります。展示に出すと題名から様々な考察をいただくので結構饒舌なモチーフなんだなという私見は、何だか今回に合っていたような気がします。

この縦長パネルについて購入先をよく聞かれるのですが、お中元のそうめん箱をガンタッカーで2個繋げただけです。
ですので保存管理の質は目をふしていただいて…!

高校時代の日本画制作を懐かしみながらガンタッカーを打ってました。

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