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【今回のキニナル!】⑧


今回は、前回ご紹介したatama plus株式会社にかつて所属していた方が創業したMonoxer株式会社のアプリ「Monoxer」についてご紹介したいと思います。

Monoxerは記憶の定着に注力したアプリで、学習面における主な機能として

✓適切な難易度の問題を自動作成(学習者がアプリを使い学習する中で、習熟度・忘却度に応じて問題の出題頻度・難易度を調整)

✓記憶度と学習状況の可視化(今まで把握出来なかった、学習者の記憶度・学習状況を見える化し、1人1人にあったサポートが可能)

✓学習計画(試験日など特定の期日を指定しておくと、Monoxerが
学習者の分析結果を元に毎日の学習内容を提案します)

✓小テストをMonoxer上で実施・採点・集計

✓オリジナル教材(様々な科目や学年に合わせた問題集を作成し、簡単にオリジナル教材をモノグサで配信)

✓モノグサマーケット(英検®︎・漢検など市販の教材が用意されており、今使っている教材をMonoxerでそのまま使用し、学習することが可能)

があります。
また、記憶はビジネスにおいても重要な機能であるため、企業向けとして

✓セールストーク(商品説明、Q&A、ヒアリングトークの習得)

✓業界知識(業務遂行に必要な専門用語、専門知識の習得)

✓商品知識(商品の特徴・利点、新商品のタイムリーな知識習得)

✓資格対策(業務遂行に必要な専門資格、社内認定資格の合格促進)

✓社内マニュアル(社内ルール、ツール操作方法、作業手順の習得)

にも応用可能となっています。

(なぜ可能なのか)
今回は主に登録された4件の特許から紐解いてみます。

1,学習を支援するプログラムなど(特許第7416497号)
従来の課題:
従来の学習支援サービスでは、定期テスト対策として教科書のページ範囲で学習範囲が指定されることが多かった。しかし、生徒によってはページ範囲から具体的な学習内容(単元など)への変換が難しく、適切な学習内容を含む学習スケジュールが提供されない場合があった。

解決方法:
ページ範囲と学習単元の対応関係をデータベース化することで、ページ範囲から適切な問題集を自動的に選択することが可能になる。
また、問題集を単元ごとに分割・管理することで、テスト範囲に最適な問題を効率的に提供することが可能になる。

私見:
塾業界では、当初定期考査対策などの勉強では、いわゆるテスト範囲に該当するページをコピーして対応していた。現在は上記システムやAIによる「オーダーメイド型」が主流となっている。

2,情報処理方法、情報処理プログラム及び情報処理システム(特許第7495135号)

従来の課題:
従来の学習支援システムでは、ユーザの回答履歴に基づいて出題問題を選択する技術はあったものの、回答手段に着目した理解度把握(例えば、ある学習単元において、ユーザが選択式問題に強い一方、記述式問題に弱いといった傾向を把握すること)困難だった。

解決方法:
回答手段ごとの正答率を分析することで、ユーザがどの回答手段を得意とし、どの回答手段を苦手としているかを把握することが可能。
回答手段に着目した分析は、ユーザの思考過程をより深く理解することを可能にし、従来のシステムでは不可能であった、より精緻な理解度判定を実現。
本発明により、出題者の恣意的なカテゴライズにかかわらず、回答手段に着目した理解度把握が可能。

私見:
本発明が「記憶」の定着に関する発明だと考えられる。生徒などの「学習の弱点」を判断する能力は講師によってまちまちであるため、正答率分析により回答手段の得意不得意を判断する点が画期的だと考えられる。

3,文章の発話演習を支援するためのプログラム、システム、及び方法(特許第7504523号)

従来の課題:
従来の文章の発話演習を支援するシステムは、発話能力を向上させるための十分な仕組みが実現されておらず、特に、学習者が覚えている語彙を引き出すための手続き的知識の習得支援が不足していた。
解決方法:
文章全体の発話と対象語句の発話を分けて評価することで、文章全体の中での対象語句の発話能力を把握することが可能。
対象語句に対する発話能力値を文章に対する発話能力値の更新に反映させることで、対象語句の習熟度に応じた発話演習を提供することが可能。

私見:
語彙はその理解において、経験と密接不可分のところもあり、特に小学生用の語彙力を高めるAIはまだ開発されていないので、有望な市場ではないかと考えられます。

4,学習を支援するためのシステム、方法及びプログラム(特許第7509482号)

従来の課題:
従来の学習支援システムでは、学習者の学習可能時間を考慮して学習プランを案内する技術は存在していたが、学習者の日々の行動内容を入力する必要があり、ユーザーの負担が大きかった 。また、学習可能時間が同じでも、学力など学習者によって適切な学習量は異なるため、個々の学習者に最適な学習量を提供することが困難だった。

解決方法:
各学習ユーザーに対して目標量情報を設定することで、個々の学習能力や状況に応じた学習量を提供することが可能。
カリキュラムを学習期間に分割し、各期間に学習コンテンツを割り当てることで、計画的な学習を支援することが可能。
学習状況に応じて目標量情報を変更することで、より適切な学習量への調整を支援することが可能。

私見:
個別コースではすでに上記システムを導入されているところもあるものの、集団コースでは導入されているところは少ないので、まだまだ成長が期待できると思います。

(親和性の高い産業分野)

  1. 教育産業
    EdTech (教育テクノロジー) 分野:
    塾・予備校: 従来の紙媒体の教材に加えて、モノグサの特許発明を活用したデジタル教材を導入することで、生徒一人ひとりの理解度に応じた学習指導や進捗管理が可能になります。

前回のメルマガ第11号でご紹介したatama plus株式会社も教育テクノロジー分野でしたので、比較してみると面白いかもしれません。私も少し調べましたが、共通した課題(学習目標と演習量及び理解度設定)について異なるアプローチ(回答手段に着目/正答率に着目し、未理解の単元から問題作成)で課題を解決しているところや学習管理が誰にとって負担減になっているかが比較すると見えてきました。

  1. 語学学習産業
    オンライン英会話や語学学習アプリ

3,医療分野
病状は同じだが、患者一人ひとりの理解度に合わせた医療情報の提供することができると思います。

その他、一般に商品役務提供側と被提供側の間に知識や経験に差異がある分野において応用可能だと考えられます

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