【今日のキニナル!】④
今年もまた残暑厳しく、最近気温が下がってきたせいもあり、体調を崩す方もいらっしゃるのではないでしょうか。そういう時に行くのがクリニックや病院。ほとんどの方が年に一回、人間ドックや健康診断を受診されていると思いますが、日常的にクリニックや病院で検査を受ける機会が少ない方にとっては、そもそもその場所にいるというだけで気が滅入ったり、検査装置の音が苦手という方もいることかと思います。
今回はそんなマイナスな気持ちを和らげるパナソニックの「天窓vision」をご紹介します。
「天窓Vision」は、バイオフィリックデザインをデジタルで演出することで、自然の中にいるような開放感、リラックス感、デライト感のある空間を提供。天窓のデジタルコンテンツの動きと、映像、照明、音を連動させることで自然光が取れない閉鎖的な場所に対し、空間のホスピタリティが向上する環境を提供する製品です。
(なぜ可能なのか)
今回の製品に対する特許出願などは特開2012-015080と特開2012-015081と考えられます。従来の有機EL素子を用いたディスプレイ装置は、壁面などに設置することで擬似的な仮想空間を演出しますが、平面ディスプレイと変わらないため自然光による恩恵は受けられませんでした。
一方、特開2012-015080と特開2012-015081は、どちらも透明なEL素子を用いた照明装置に関する特許ですが、用途として想定している場面が異なります。
特開2012-015080 によれば、居住者に寛ぎや安らぎを与える空間演出 を目的とした照明装置として説明されています。 具体的には、窓ガラス内面に複数の透明EL素子を格子状に配置し、個別に点灯制御することで、室外から光を取り入れつつ室内に光を補い、自然との調和が取れた空間を演出します。
特開2012-015081 は、空間演出に加えて、映像や広告、避難誘導や警告の表示 も可能な照明装置として説明されています。 建物の採光部に透明EL素子を配置し、点灯制御することで、空間演出を行いながら、必要に応じて情報を表示することができます。
つまり、前者の出願に掛かる発明では、透明な有機EL素子を使用しているため、有機EL素子を消灯することで自然光を取り入れることができます。これにより、従来のディスプレイ装置では実現できなかった、自然光と人工光の調和が取れた空間演出が可能になります。また、液晶ディスプレイとは異なり、実際の窓のような奥行き感や、雲の立体感、外光の明るさを体感することができ、奥行き感と立体感の両方を実現しています。
【天窓visionと親和性の高い産業分野】
天窓visionは、自然光と人工光を融合させ、奥行き感と立体感のある空間演出を可能にするシステムです。この特性を活かせる産業分野として、以下のものが考えられます。
オフィス:
天窓visionをオフィスに導入することで、閉鎖的な空間でも開放感やリラックス効果を生み出し、従業員の集中力や創造性の向上に繋げることが期待できます。自然光に近い光を取り入れることで、眼精疲労の軽減や体内時計の調整にも役立ちます。
医療施設:
病院やクリニックなど、患者にリラックス効果を与えたい空間にも適しています。天窓visionによって自然の風景を再現することで、患者のストレス軽減や癒し効果が期待できます
(筆者も病院で経験したことがあります)。
商業施設:
デパートやショッピングモールなど、集客力アップが求められる商業施設において、プロジェクションマッピングのように天窓visionは顧客の購買意欲を高める効果が期待できます。開放的で心地よい空間は、顧客の滞在時間を延ばし、購買行動を促進する効果も期待できます。
宿泊施設:
ホテルや旅館などの宿泊施設では、客室に天窓visionを設置することで、よりリラックスできる空間を提供できます。自然光を取り入れられるため、快適な睡眠環境を提供できる点も魅力です。
エンターテイメント施設:
映画館や劇場、テーマパークなど、非日常的な空間を演出するエンターテイメント施設においても、天窓visionは効果を発揮します。幻想的な空間演出や、より臨場感のある演出が可能になります。
上記以外にも、教育施設、福祉施設、美術館など、様々な産業分野への応用が考えられます。
特に、特許2012-015081では「映像又は広告を表示させる」「避難誘導又は警告を表示させる」機能についても言及されており、 これらの機能は、商業施設だけでなく、オフィスや公共施設など、幅広い分野で活用できる可能性があります。
今回のメルマガは以上になります。