雷に打たれてアップダウン構造を発見
あなたは雷に打たれたことがありますか? 私はあります。正確に言うと、雷に打たれたかのような電撃ショックを受けたことがあります。その電撃ショックで、日本語のアップダウン構造を発見したのです。
アップダウン構造発見のきっかけは、「避雷針」という言葉でした。私は二十歳の学生時代から、技術文書の翻訳(主に日本語から英語)に従事してきました。10年ほど翻訳実務に苦労し続けた結果、個々バラバラに存在する翻訳テクニックの統一原理のようなものがあるのではなかろうかとぼんやりと考えるようになりました。
そこで「避雷針」の電撃ショックを受けたのです。
「避雷針」を英語では、"Lightning conductor"と言います。あるいは"Lightning catcher"`や"Lightning arrester"とも言います。これはどれも日本語と正反対ではありませんか。
・避雷針:雷を避ける針
・Lightning conductor;雷(Lightning)を通す針(conductor)
・Lightning catcher:雷(Lightning)をキャッチする針(catcher)
・Lightning arrester:雷(Lightning)を捕らえる針
"conductor"も"catcher"も"arrester"も、「避ける」とは正反対の言葉です。避雷針という物自体は同じであるのに、どうして「避ける」と「通す」(キャッチする、捕らえる)という違いが生まれるのか、と不思議に思ったその瞬間、私は雷に打たれように電撃ショックを感じました。アップダウン構造を発見したのです。幼い頃に読んだ少年雑誌の記事を思い出し、一瞬にしてアップダウ構造を悟ったのです。
ある未開の部族は、弓矢を巧みに用います。川に船を浮かべて弓矢で魚を射るのですが、問題の魚は鱗が固くて、真横から射たのでは矢が通りません。そこで彼らは、矢を天に向けて放ちます。矢は天に向かってアップし、頂点に達するとダウンして上方から魚の鱗の隙間に入り込んで魚を射止めます。日本語は、この部族の弓矢の使い方に似た構造をしていると悟ったのです。
これだ!と思いました。「避雷針」はアップダウン構造をしているのです。雷があって、針がある。日本語はこの二者関係で収まらないのです。アップした先に、人間が隠れているのです。「避雷針」という言葉の中には、雷と針という二者に加えて、アップダウン構造の奥に隠れた人間が三者関係を作っているのです。
●人間が雷を避ける
●人間が針を使う
この二つの事柄が合わさって、「避雷針」という言葉になっているのです。「避雷針」のアップダウン構造の奥には人間が隠れていました。
英語の"Lightning conductor"には隠れた第三者は存在しません。雷があり、針があり、雷が針を通る。それだけです。
この単純な二者関係をショートカット構造と名付けました。英語のショートカット構造は単純明快です。
避雷針」のアップダウン構造に気づいた私は、同様の構造が他の日本語単語にもみられないか探ってみました。すると出るわ出るわ、特に直訳では決して意味が通らない言葉にアップダウン構造が見られるではありませんか。ありがとう、すみません、おかげさまで、携帯電話(スマートフォン)、伝書鳩等々、いくつもいくつも出てくるではありませんか。
更に考察を進めていくと、アップダウン構造は単語の構造に見られるだけではなく、単語と単語の組み合わせ方(統語法)にも見られることが分かりました。
更に更に、日本語の働き方自体にも、アップダウン構造が見られることが分かったのです。つまり、日本人の意識がアップダウン構造をしているのです。
これを簡単に理解する為に、日本語が龍であると考えてください。避雷針、ありがとう、すみません等の単語は、龍の鱗(ウロコ)に例えられます。単語と単語の組み合わせ方(統語法)は、龍の骨格に例えられます。日本語の働き方(日本人の意識)は、龍のはたらきに例えられます。日本語という龍の鱗、骨格、はたらきのすべてにアップダウン構造が見られると分かったのです。
・龍の鱗(日本語の単語): アップダウン構造
・龍の骨格(日本語の統語法):アップダウン構造
・龍のはたらき(日本人の意識): アップダウン構造
これはもう、翻訳テクニックの統一原理どころの話ではありません。日本語全体がアップダウン構造であり、日本語を使う日本人の心がアップダウン構造であり、日本人の心によって作り上げられた日本文化がアップダウン構造をしているのです。つまり、日本総体がアップダウン構造であると分かったのです。
私は、日本語と英語を比較して、言葉の奥底に秘められた民族の心性の違いを、深層意識のレベルから解明して『日本語は神である』を書きあげました。オンライン動画やオーディオブックも提供しています。
ご視聴、ご一読,を乞います
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