見出し画像

【社員インタビュー】“生きる教材”が語るモノづくり(宮城島保さん)

弊社のnoteをご覧いただき、ありがとうございます。日本ニューノーズル製造部の藤原豊です。

日本ニューノーズルは、主にプラスチックなどの素材を加工する射出成形機の部品を製造している会社です。以下の3つを事業の柱としています。

①部品を生産・販売する製造事業
②サービスパーツを生産・販売するサービス事業
③現在進行中の新規事業の3本柱で事業

今月のnoteは先月に続いて従業員インタビューです。今回は65歳となった今も第一線で活躍する製造部のレジェンド、宮城島保さんです。入社してからずっと宮城島さんの指導を受けている“愛弟子”の石川貴史くんにも加わってもらい、宮城島さんにモノづくりの真髄を聞きました。


■プロフィール

<日本ニューノーズルの“生きる教材”となっている宮城島>

名前:宮城島 保さん
社歴:入社36年目(中途入社)、静岡市出身
業務内容:マシニングセンターで部品に穴を開けたり、溝をつくったりする機械加工を担当。

■前職は金型製造「成形機業界への転職はスムーズ」

藤原:宮城島さんは65歳になった今も現場の第一線で働いています。中途で入社して36年が経ちましたが、なぜ日本ニューノーズルに転職されたのですか?

宮城島:大学卒業後、静岡県内にある金型をつくる会社に就職しました。仕事内容自体は自分に合っていました。ただ、日勤と夜勤の交代制が体に合わなかったようで、体調を崩して2度も救急車で運ばれています。日中に規則正しく働く仕事に転職しようと考えている時に、知り合いから日本ニューノーズルを紹介してもらいました。

藤原:射出成形機の部品と金型の製造には重なる部分は多いですか?

宮城島:前職でつくっていたのは機械の金型、今は金型に樹脂を流し込む機械の部品。同じ機械加工なので似ていますね。図面の見方という点では、今の方が優しいです。図面は基本的に1つの部品に対して1枚必要です。金型は10個くらいの部品を組み合わせるので、10枚ほどの図面を読んで金型の完成形をイメージします。一方、射出成形機の部品は1枚の図面を基に作業を進めるのでシンプルです。金型業界から成形機業界へ転職はスムーズかもしれません。

<座談会中の3人。左から石川、宮城島、藤原>

■“愛弟子”が敬意「同じ機械なのに…」

藤原:日本ニューノールズに転職してから新たに覚えたこともありましたか?

宮城島:この会社は、私が転職した当時から性能の高い機械が入っていました。操作方法や感覚をつかむまでに少し時間はかかりましたが、優れた機械だったので動かし方を覚えてからは作業効率が上がりました。良い機械を導入すれば機械を操る従業員が安心感を抱き、お客さまにも質の高い製品を届けられるという会社の考え方は、その頃から同じですね。誰が作業しても仕事のスピードや精度が変わらないくらい、日本ニューノーズルには良い機械がそろっています。

石川:確かに良い機械が揃っていますが、同じ機械を使っても、私を含めた他の従業員と宮城島さんの仕事は雲泥の差です。加工のペースも精度も到底及びません。私たちが考えたり悩んだりしながら段取りや機械操作をしている間に、宮城島さんは次々と作業を進めていますから。

宮城島:その差は、それぞれの部品に対して、どの刃物を選んで加工するかの判断や、刃物をきちんと準備しているかの違いだけだと思うよ。車の運転と同じで、免許を取ったばかりの頃はハンドル操作や判断に少し時間がかかってしまうけど、慣れてくるとほとんど運転技術は変わらないよね? 作業の効率や精度を高めるために新しい刃物が必要だと感じた時は会社に要望すればすぐに購入してもらえるところも、ありがたいですね。

<石川(右)は宮城島を師匠と慕う>

■次の工程を意識 プログラムにひと手間

藤原:宮城島さんは自分と若手の仕事を比較して、違いを感じていないのですか?

宮城島:次の工程をどれだけ意識するかという点では違いがあるのかもしれません。機械加工の精度が高いほど、次の工程となる研磨や仕上げ担当者の負担は小さくなります。手作業になる仕上げの仕事量をできるだけ少なくできるように、機械のプログラムにひと手間加えています。加工で刃物を使う以上、部品に傷がつくのは避けられませんが、傷を浅くすることで仕上げ工程の負担を軽減できます。

石川:私も仕上げ工程を考えて加工していますが、宮城島さんほど細かいところまで気が回っていません。作業をこなすことに精一杯になってしまう面があります。

宮城島:その差は仕方がない部分もあると感じています。私はマシニングセンターに特化して仕事をしていますが、石川くんは旋盤、放電、ワイヤーも担当していますし、全体を統括する役割も担っています。機械1台に対して割ける時間は私よりも圧倒的に少ないので、私と同じ仕事を要求されるのは酷な話です。

<モノづくりへのこだわりや経験を語る宮城島>

■若い頃は大失敗も経験…今でも緊張感

藤原:宮城島さんは今、日本ニューノーズルのレジェンドとも言える存在です。若い頃に大きな失敗をした経験はありますか?

宮城島:ありますよ。あるメーカーからの注文で、図面番号とプログラムの照合を間違えてしまい、30個全てを無駄にしました。本来は1個つくり終わったら製品番号が合っているかを確認してから、2個目以降の作業を進めます。しかし、その時は確認を怠って30個全てを製造してしまいました。作業を終えて間違いに気付いた瞬間は冷や汗が吹き出ましたね。私の月給が飛んでしまうぐらいの損失を出してしまいましたから。今でも、そのメーカーの仕事を担当する時は普段以上に慎重になります。

藤原:当時の上司や経営陣からは厳しく叱られましたか?

宮城島:失敗を繰り返さないように注意を受けましたが、怒られたり、給料を減らされたりすることはなかったですね。上司と再発防止策を話し合って、「次は頑張れよ」と肩を叩かれた記憶があります。この会社は「誰でもミスをする」と分かってくれて、損失を出しても罰金を科すようなことはありません。もちろん、同じミスを何度も繰り返せば、指摘は厳しくなると思いますが。

<ベテランと若手をつなぐ役割も担う石川>

■製造業=日常生活の延長 料理と共通点

藤原:長年モノづくりの仕事をしている宮城島さんにとって、製造業はどんな仕事だと感じていますか?

宮城島:日常生活の延長にある仕事だと思っています。例えば料理をする時、おいしくつくるために食材を選んだり、切り方を考えたりしますよね。手でちぎるのか、包丁で切るのか、ハサミを使うのかによって、料理の効率や味が変わります。機械加工も同じで、部品ごとに刃物を選んだり、プログラムを組んだりします。モノづくりは、1からつくり上げるおもしろさがあります。新しい製品を担当する時は、どうやって作業を進めるのか考えるのが楽しいです。石川くんは自分でも料理をするし、キャラ弁もつくっているよね(笑)

石川:幼稚園に通っている子どもにキャラ弁をつくろうと思ったのが、きっかけでした。インターネットでつくり方を調べてみると、自分にもできそうだなと。料理は製造業と似ていますよね。アンパンマンの顔をつくるには、こうやって海苔を切ろう、あの食材を使おうとイメージしています。

宮城島:ばいきんまんのキャラ弁は完成度が高かったよね。昼ご飯の時間に見た時は、出来の良さに驚いた。

石川:ばいきんまんは傑作でしたね!上手くできたキャラ弁はスマートフォンで撮影して保存しています。

<石川が手作りしたキャラ弁。右のばいきんまんは、ここ最近の自信作(笑)>

■若手へのメッセージ「難しく考え過ぎないで」

藤原:宮城島さんは石川くんのような中堅や若手の仕事を見ていて、どのような課題や改善点を感じていますか?

宮城島:難しく考え過ぎている部分があると感じています。最近は新規製品の注文が増えています。若い世代は全てが新しくなると捉え、負担が大きくなると誤解しがちです。私は35年以上この業界で働いていますが、射出成形機の構造自体は変わっていません。樹脂を溶かして金型に流し込む構造やパーツは同じなんです。「新規」と言っても、変わるのは一部分だけ。「ここが変わっただけなんだ」という発想を持ち、手を抜いても良いところと手を抜いたらいけないところの見極めができるようになるとストレスが軽減されるはずです。新モデルを打ち出すスマートフォンやテレビも機能の一部が変わるだけで、根本は同じですよね。真面目に仕事するのは大事ですが、真面目過ぎると自分を苦しめてしまいます。

藤原:宮城島さんは、どんなタイプが製造業やこの会社に向いていると思いますか?

宮城島:専門的な知識や技術は入社してから自然と身に付くので必要ありません。周りの話に耳を傾けて、仕事ができるようになりたい気持ちを持っている人が向いていると思います。最初から上手くできる人や失敗しない人はいません。ただ、コミュニケーションを拒否されてしまうと、こちらから伝えよう、教えようとしても声が届きません。今の機械はクセがないので、操作を覚えようとする姿勢さえあれば、製造業の未経験者も心配ないです。60代の私と20代の若者では世代間ギャップがあるので、石川くんに間に入ってもらった方が良いかもしれないね。私は自分の息子と話すのも苦労しているから。

石川:息子さんとの会話に苦労しているんですか?5年くらい前、会社で行われた従業員とその家族に向けた感謝祭で宮城島さんの息子さんとお話する機会があって、「うちの父からは仕事の愚痴を一度も聞いたことがない」と伺って、びっくりしたのを覚えています。私は妻に愚痴を言っています (笑)。

宮城島:自分の仕事を家族が理解しているわけではないから、家で話をしても解決しないでしょ?

藤原:宮城島さんは私と同じで、職場で発散してから自宅に帰っているのではないですか(笑)?

宮城島:そうかもしれないね!石川くんをはけ口にしてね(笑)。石川くんが奥さんに愚痴を言っているとしたら、奥さんに申し訳ないなあ。

<石川(左)は宮城島に少しでも近づく目標を掲げる>

■65歳のレジェンド「1日1日が勝負」

藤原:入社してからずっと一緒に仕事をしてきた石川くんにとって、宮城島さんはどんな存在ですか?

石川:藤原さんにも共通しますが、届かない目標です。ただ、自分たちの世代が今後、会社を引っ張っていく上では宮城島さんくらい早く正確な仕事をして、周りへの気配りができるようにならないといけないと思っています。現時点では到達しないと感じていても、目標にしなければいけない存在です。宮城島さんが定年退職されて今は私の方が立場的には上司という形になっていますが、まだまだ指摘やアドバイスをいただきたいですし、技術を学んできたいと思っています。

藤原:宮城島さんは今後のビジョン、掲げている目標はありますか?

宮城島:中・長期的な目標というより、1日1日が勝負ですね。社長からは「あと5年、70歳まで働いてほしい」とうれしい言葉をいただいていますが、年齢を重ねて反射神経の衰えを感じています。仕事も生活も、今まで以上に注意しないといけない意識が強くなっています。けがや病気で一度職場を離れてしまうと、若い頃と違って復帰までに長期間かかってしまいます。周りの人たちの足を引っ張らないように1日を大事にしていきたいですね。あと、仕事のモチベーションと言えば、ベンツを買い替えることです!あのマークを見ていると気持ちが上がります。これも個人的には大事な目標です(笑)

今回のnoteは以上になります。従業員のインタビューは過去のnoteでも掲載しています。若手、中堅、ベテランと幅広く登場するので、ぜひご覧ください。

最後に1つお知らせです。今年も10月18日~20日に「ファクハク 静岡工場博覧会2024」が開催されます。普段は見られない工場の中を見学できる貴重な機会で、弊社は18日に午前の部と午後の部、2回を予定しています。昨年実施した弊社のファクハクには、学生さんから経営者の方まで幅広くご参加いただき、非常に好評でした。参加を希望される方は、以下のURLからご予約ください。お待ちしています。

https://fakuhaku.com/factories/2024nihon-new-nozzle/

<ファクハク 静岡工場博覧会2024>


■会社HP
http://nihon-new-nozzle.co.jp/


いいなと思ったら応援しよう!