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安住国対委員長を指弾する

 国会が閉会した。昨日、野党4党が国会の会期延長を衆議院議長に申し入れたが、議院運営委員会で自公と維新の反対多数で否決。今日、5日で臨時国会は閉会となった。

 菅が首相になって事実上、初めての国会。それも当初から日本学術会議の任命拒否という「学問の自由」を脅かす大問題が起き、ここに来て新型コロナの感染が急激に拡大。菅が推し進めて来たGoToキャンペーンの是非や緊急の感染拡大防止策、医療崩壊への対策が問われる状況となった。さらに桜を見る会の前夜祭で安倍前首相が費用を補填していたことが検察の調べで明らかになり、安倍、そして菅の国会での今までの答弁が虚偽だったことも露呈している訳で、国会で審議や追及すべき問題は山積している。

    こんな中で国会を閉じるなどあり得ないのだが、政府与党としては野党に追及される材料ばかりで、これ以上、国会を開いていればまともに答える能力がない菅もボロが出るばかり。何としてでも国会は早く閉じる必要があったということ。

 ただ、そんな政府与党が急いで国会を閉じようとしている中でも何と政府が提出した法案は100%成立。その中には「改正種苗法」など論議を呼んだ悪法も含まれている訳で、政府与党としてはしてやったりの国会だったと言っていいだろう。

   特に菅が首相になって最初の大きな失敗を犯した「学術会議」の任命拒否問題は、キーマンとなる杉田官房副長官の国会招致も出来ないまま、コロナの感染拡大や安倍の「桜を見る会」の問題の再燃もあってすっかり忘れさられてしまった訳だから、菅は笑いが止まらない筈。

 ではなぜ政府与党、菅はこんな事が出来るか、と言えば、それにはたった一人の男の存在が大きく関わっている。それが野党第一党、立憲民主党の国会対策委員長・安住淳なのだ。

 日本の国会では昔から「国対政治」ということが言われている。

冒頭にも出てきた「議員運営委員会」など国会には衆参両院、各委員会の理事会などがあり、日程や審議内容、参考人や証人の招致、法案の取り扱いなどについて与野党で協議することになっているのだが、現実には有名無実。実際は与党の国会対策委員長と野党の国会対策委員長の話し合い、特に自民党の国対委員長と野党第一党の国対委員長二人の差しの密談で国会運営の全てが決められているのだ。

 このそれぞれの政党の役職に過ぎない「国会対策委員長」、それも与野党の二人が話し合って国会の全てを決めることが「国対政治」と呼ばれ、「55年体制」、自民党と社会党が対立するように見せかけながらも裏で手を組んでいた与野党馴れ合いの構図として批判を浴びたという次第。

 社会党は消滅し、「55年体制」も崩壊したが、この辻元清美の著書にもあるように与野党の国対委員長が国会で大きな力を持つ「国対政治」はまだ存続しているのだ。

 特にモリカケ桜と次々に大問題が明らかになり、国会での野党による追及を避けること、それこそ国会を開かないことが政権運営の基本になった安倍政権ではより国会運営の全てを握る国対委員長の存在、「国対政治」はそのウェイトを増したと言っていいだろう。

 そんな中で手腕を発揮したのが、辻元清美と同じく2017年から国対委員長を務めた自民党の森山裕。“安倍の天敵”とも言われた辻元とやり合いながらも何とか安倍政権を守り抜いた訳だが、そこに天佑が出現する。

 それが2019年、立憲民主党の辻元清美から安住淳への野党第一党、立憲民主党の国対委員長の交代。安倍だけではなく与党から蛇蝎の如く嫌われていた辻元と違って、安住は民主党政権時代から「国対政治」にずっと関わってきた人間だし、所謂、“話の判る男”。自民党の森山国対委員長との関係も当然ずっとよくなるし、政府与党としての国会運営もより安定したものとなっていく。

 上の記事にある自民党二階幹事長と安住国対委員長の会食などまさにその「国対政治」、その“安定した国会運営”の証明と言っていいだろう。 だからこそ安倍から政権を引き継いだ菅もその功績から官房長官が確実とも言われた森山を国対委員長に留任する安住に合せて留任させたのはほぼ間違いない。

 この安住の発言も批判は浴びたが、その本意も「55年体制」の復活、政権交代を目指すというよりも最大野党としての地位を盤石のものにすることで「国対政治」を続けていきたいという風に思えるのはうがち過ぎではないない筈。

 で、その結果として今日の国会閉会…「学術会議」の任命拒否問題での杉田官房副長官の国会招致も出来ず、勿論、桜を見る会の前夜祭を巡る問題での安倍の喚問も出来ない。新型コロナの感染拡大の中ですぐそこに迫っている医療崩壊やGoToキャンペーンの問題、失業や景気対策の問題も議論せずに会期延長も出来ない。解散総選挙を恐れてか菅内閣の不信任案も安倍の辞職勧告決議案も堕せない。それでも政府与党の法案は「改正正種苗法」などの悪法も含めて100%成立するという、菅の思い望んだ通りの国会運営が可能になったのだ。

 まともに官僚が書いた原稿を読むことも出来ず、それこそ辻元清美の追及にしどろもどろになって杉田副長官の名前を白状したように、菅が国会での野党議員の追及に耐えられないのは明らか。そしてその姿を国民の目に曝すことが菅内閣や自民党の支持率を下げることになるし、次の解散総選挙での自民党の議席を減らすことに繋がるのは間違いない。

 その菅政権の命運を握る大事な国会、国会運営の全てを自民党の森山国対委員長と一緒になって担っているのが、野党第一党、立憲民主党の国対委員長・安住淳だということを考えれば、先ず立憲民主党が安住を国対委員長から罷免することしかないのは自明だと思うのだが



※Photo by https://mainichi.jp/graphs/20200227/hpj/00m/010/001000g/12

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