【安倍晋三に騙されない為の誰も教えてくれない本当のこと】#5~裁判の闇
日本で「裁判員制度」が始まって、先日、十年目を迎えた。
大谷最高裁長官はこんな会見をして、今の「裁判員制度」がうまく行っていることを強調していたが、実際は本当にそうなのだろうか?
そもそもこんな人物がこの国の「三権の長」の一人を務めていることこそが問題なのだが、その問題は後半に回すとして、先ずは「裁判員制度」の問題について考えてみたい。
「裁判員制度」は、2004年5月21日に「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律」(裁判員法)が成立し、これに基づいて、2009年5月21日から始まった、裁判官と一般市民による裁判員が一緒に刑事裁判を行う制度。
「国民の声を司法に」、「市民感覚を裁判に」とか、「裁判に国民が参加することで司法に対する国民の理解と信頼が深まる」と、いったことを目的に掲げて「裁判員制度」導入された訳だが、そもそもが国民が求めた制度ではなかったのだ。
現職の裁判官がツイッターでこう言うように、政府が推し進める「司法改革」の一環として「裁判員制度」の話が出て来た時の国民の反応は実際は惨憺たるものだったのだ。
小泉政権の時代、2001年12月に内閣の中につくられた「司法制度改革推進本部」が、2003年に募集した「裁判員制度」についてのパブリックコメントには制度批判の声が洪水のように押し寄せた。また、2004年に読売新聞が行った世論調査では、「参加したくない」が69%、「適切な判断をする自信がない」が71%を占め、この時期のマスコミ各社の調査結果は似たような数字が並んだ。
これに危機感を覚えた「司法制度改革本部」や「最高裁事務総局」がマスコミなどへの働きかけを強め、岡口裁判官のいう処の“姑息なアンケートの選択肢の変更”が行われたということ。
さらに法案が国会を通過した後も、「裁判員制度」への国民からの逆風は続き、2005年に内閣府が行った調査では「裁判員に参加したい」は僅か4%、「参加したくない」が70%を占めていたのだ。
これに対して「司法制度改革本部」や「最高裁事務総局」は、なりふりかまわない攻勢に出る。
こんな無限大をイメージしたという「裁判員裁判」のシンボルマークを作ったり、ポスターもつくる。
2002年当時の芸能ニュースにはこんな記事もあったとのこと。
2009年までに実施される裁判員制度を広く知ってもらうため、最高裁判所は女優の長谷川京子(27)を起用した広告を新聞などで展開していくことを発表した。制度に関しては、国の世論調査で国民の7割が『参加したくない』と回答しており、最高裁では『国民の間で幅広く親しまれている長谷川さんにご協力していただくことで、より多くの皆さんが制度に関心を持っていただくことを期待しています』と説明。今月中旬から来年3月までの間に、長谷川が出演した広告が新聞のほか雑誌、インターネットで掲載される。最高裁によると、裁判員制度の広報活動でタレントを起用したPRは今回が初めてという
また、こんな記事もあったらしい。
『裁判は、あなたに語りはじめます』。10月17日の全国紙の朝刊に、長谷川京子さんが遠くを見つめるカラーの全面広告が掲載された。最高裁事務総局には『ハセキョー』の名を知らない幹部もいたが、担当者は『国民の間では広く親しまれているはず』。最高裁は来年3月にかけて、約6億円をかけて新聞のほか約20の経済誌、インターネットなどに、長谷川さんを起用した広告を展開する。内山理名さんが登場する小冊子も制作中だ。最高裁の大谷直人刑事局長と対談し、裁判員制度の仕組みや疑問を解き明かしていく内容で、30万部刷る。こちらの費用は約970万円。こうした広報戦略には、内部から『上滑りだ』『人気頼みでいいのか』などの批判もある。だが導入まで4年を切っており、最高裁事務総局の戸倉三郎審議官は『まずは国民に振り向いてもらわないと』と話す。
現最高裁長官の大谷直人の名前が出てくるのもご愛嬌だが、そもそも「司法制度改革審議会」が「裁判員制度」を政府に答申した翌年、2002年から法案が成立した2005年まで最高裁事務総局で広報課長を務めて、国会にも連日、出席して法案成立に尽力したのが彼なのだから、正に「裁判員制度」の生みの親の一人と言ってもいいし、その彼が冒頭のように「裁判員制度はうまく行っている」と胸を張るのは、もはや茶番と言っていいだろう(因みに、最高裁事務総局という組織や彼についての問題点はもっと根深いので、それはもっと後半で)
いずれにしても、この2005年だけで13億円という異例の広報予算を注ぎ込み、さらに2006年にはイメージキャラクターを長谷川京子から仲間由紀江に変更。
さらに莫大な広報予算を注ぎ込む一方、最高裁が電通に発注した「裁判員制度全国フォーラム」企画(最高裁主催)で、ウソの契約日付を記載したり、16件計約22億円の契約で不適切な経理処理をしていたことが露顕。また2007年には、その「裁判員制度全国フォーラム」で、共催の産経新聞や千葉日報が「サクラ」を動員していたことが明らかになる、といった不祥事も相次いだ。
こういう経緯を知れば、なぜ最高裁がこんなにも「裁判員制度」の導入に必死なるのか誰でも不思議に思わないだろうか?
「裁判員制度」は、職業裁判官には市民感覚がないから市民も一緒に裁判に加わろうとか、裁判でとんでもない判決が出ないか監視しようとか、そもそもは裁判批判・裁判官批判から始まった筈。その裁判官の集まり、総本山である「最高裁」自身が国民を騙したり、広告代理店やマスコミを使った洗脳をしてまで「裁判員制度」を導入しよう、というのは誰が考えても“自己矛盾”。
つまり、これこそが実際は「裁判員制度」が「国民の声を司法に」、「市民感覚を裁判に」といった国民の為ではなく、あくまでも最高裁や政府にとって都合がいいから導入され、今も続いている制度だという証拠ではないだろうか。
今回は、この「裁判員制度」の本当の目的、そしてそんな事だけではすまない、この国の司法・裁判が抱える数々の闇について書いてみたい……
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「裁判員制度」の本当の目的とは
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