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医師のための生成AI紹介④~医師のためにつくられた医療用の生成AI「MedGen Japan」登場

 弊社ニヒンメディア株式会社は、2024年10月7日、医師のためにつくられた医療用生成AI「MedGen Japan」β版を発表しました。

この記事では、いくつかの機能について、少し詳細を掘り下げていきます。


1. 製品開発の背景

 私の周りにいる医師の先生方は激務の中で、常に何か新しいことをインプットし続けている方が多いです。特に、論文を読み漁ったり、治療ガイドラインから現在の治療に該当するものを探したりと、文献から情報を取ってくる作業に時間を費やしています。

 文献からの情報収集の工程には、「問いを立てる」「探す」「(時には)翻訳する」「読んで理解する」「検証する」などの様々なステップがあります。この中でも、「適切な文献や、答えの書かれている箇所を探す」という作業が最も大変で、適切なものが見つかれば、翻訳や要約は何とかなります。

 私はキャリアを通してヘルスケアに携わってきました。薬剤や治療法には様々なイノベーションが起きていますが、文献の調べものの形はインターネットの登場以来、大きな変革は起きていません。他方で、医療の質において重要な診断や治療の決定は、調べものを通した医療知識に基づくものです。生成AIといった革新の兆しが見ていている今、上記の課題を解決し、医師と患者の皆様を支えるプラットフォームをつくりたいというのが、開発の背景にあります。

2. 医療文献に基づいたRAGモデル

 社内テストにおいて、ある臨床試験の参加人数を質問しました。こうした数値やデータを元にした回答において、MedGen Japanは高い精度を出すことを確認しています。これが処方量などの治療に直接かかわる情報である場合、これはより重要になります。


初期回答(上)がGPTモデルから生成された回答、追加情報(下)が医療文献を元にした弊社モデルからの回答

 また、ソースも表示されるため、どこから来た数値やデータなのかを糸目で確認でき、必要に応じて原文に当たれます。

回答の下に表示されるソース

 ソースに関しても、関連すれば何でもいいわけではありません。SEOで高く表示されがちな患者向けの情報は、医師が実務で使用するには向きませんし、承認の問題から海外の情報を日本のものと混同して回答するのも危険です。

 MedGen Japanでは医師の皆様との相談の上、医師が実務レベルで信頼して使用できるソースのみに絞って、モデル内で参照しています。

3. 質問解釈の精度と回答の多角性をあげる仕組み

 実際に医師の皆様が入力するプロンプトを見ていくと、例えば「○○な病状の△△患者に対する処置は?」というように、しばしば複数の条件を含む複雑なものです。これをGoogleの検索ボックスに入れても、思った回答を得られません。

 このような問いを分解して解釈し、多角的な視点を入れながら統合された回答を出す方法として、Multi queryやRAG Fusionといったものがあります。

Zackary Rackauckas 2024 "RAG-Fusion: a New Take on Retrieval-Augmented Generation"から引用

4. 結語

 ChatGPTなども日々精度をあげています。他方で、特定の活用シーンを想定して開発しなければ、実務でそのまま使うのが難しい面があるのも事実です。

 上記の他にも、弊社では様々な工夫を行い、医師の皆様の実際の活用シーンに合わせたモデルづくりをしていきます。

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