【マーケティングトレースNo,10】青山フラワーマーケット

こんにちは。二瓶です。

今回は、「フラワー業界」に注目して、その業界で業績成長をしている『株式会社パーク・コーポレーション』について、マーケティングトレースをしてみたいと思います。

というのも、個人的に花屋でプレゼント用の花を買う機会があったのですが、花を買いたいと思って自宅近くの花屋を探したところ、7店もの花屋が1つの駅近くに存在しており、こんなに花屋ってあったんだ!?と驚きました(業界関係の方すみません)。

なかなかイベントがないと、花を購入しない私にとって、この業界の現状がどうなっていて、もし自分が花屋のマーケティング担当ならどんな施策を打つのかを考えてみたいと思い、noteを書いてみました!

※特に株式会社パーク・コーポレーションの青山フラワーマーケットは、こんな私でも知っていた花屋だったので、どういったマーケティング戦略をとっているのか、気になりました。

【目次】
⑴フラワー業界の市場について
⑵フラワー業界の特性
⑶株式会社パークコーポレーションについて
⑷マーケティング分析
(5)自分がCMOなら


⑴フラワー業界の市場について

まずフラワー業界の市場規模を見ていきましょう。

こちらは農林水産省が出している平成28年のデータになります。
平成28年では、国内消費は1.1兆円(個人消費8,220億円、業務用需要2,786億円)とかなりの大きな市場であることがわかりました。

ただし、花の生産量や1世帯あたりの購入金額は減少傾向にあり、市場としては縮小傾向にあるようです。

高度成長期以降は、仏壇の供え物として購入をされていた花が、個人へのプレゼント(ギフト)として消費されだし、一時は大幅な市場成長を遂げました。
しかし平成9年を皮切りに、銀行破綻などの先行き不透明な社会情勢を受けて、個人消費が冷え込み、企業への需要バランスが崩れ、ますます雇用情勢が厳しくなっていった時代でした。そのあおりを受けてか、必需品ではない産業の売れ行きは厳しくなっていった模様です。

また、近年においては、世帯あたりの購入でも、特に若年層の花の購入割合が減少しているようです。ここからは個人的な意見ではありますが(20代男性として)、花を購入するシーンとしては、誰かへのお祝いごとのプレゼントなどに一緒に花を送る時ぐらいですが、他にもプレゼント候補はたくさんありますし、選択肢としては低いのが現状です。また、特に男性は花の購入を店頭でするのが、恥ずかしい、何を買えばいいかわからないなどの心理的な影響もありそうです。
(ただ、そういった障壁を外すことができれば、市場を広げていくことはできそうな予感?!)

⑵フラワー業界の特性

主に下記2つの特性があります。

①時期需要に左右されやすい
生活者が花を購入するタイミングはバレンタインデーや母の日など、カレンダーのイベントと密接にリンクしています。

主なイベント
1月:成人の日
2月:バレンタインデー
3月:ホワイトデー
5月:母の日
8月:お盆、お中元
10月:ハロウィン
12月:クリスマス

花屋はこうしたイベントごとにそって顧客ニーズに合致する花を店頭に並べたり、イベントを開催したりしています。そのため売れる時期と売れない時期の変動が激しかったり、一部の花屋では母の日の売上が年間売上の半分をしめることもあるようです。

②市場を仲介した花の仕入れモデル
基本的に花の流通は生産者から市場に花が流通して、小売店が買取り販売をするというのが基本です。ゆえに花屋は市場の価格変動や生産体制等に左右されやすく、売り手としては弱い立場にあります。
そもそも花は品目・品種が多種多様に存在しており、卸売市場経由が約8割と高いのも特徴です。


そのような中、安定成長を続けているのが、株式会社パークコーポレーションが運営している青山フラワーマーケットです。

ここからは青山フラワーマーケットを運営している株式会社パーク・コーポレーションについてマーケティングトレースを行なっていきたい。

株式会社パーク・コーポレーションとは

名称 :株式会社パーク・コーポレーション
設立 :1988(昭和63)年12月24日
本社所在地 :〒107-0062 東京都港区南青山5-1-2-5F >> MAP
資本金 :2000万円
代表者 :井上 英明
年商 :約84.2億円(2018年12月期)
従業員数 :約1,024名(2018年12月期)

パーク・コーポレーションは、N.Y.のセントラルパークのように【一人ひとりが自主的に自分の人生を楽しめる、楽しく幸せな会社】をコンセプトに設立された会社です。
“Living With Flowers Every Day”という理念を元に、代表の井上氏が創業し、本日に到るまで全国に約102店舗(海外2店舗)を展開する「青山フラワーマーケット」の運営、スクール事業、カフェ事業、空間デザイン事業、法人向けサービス事業など「花や緑」にまつわる多角的なサービスを提供しています。

業績も年々成長をしており、それに伴い店舗数も拡大しています。

もともと代表の井上氏が会計士出会ったこともあり、花のコスト管理を徹底しておこない、今までの花屋で行なって来なかった取り組みを進めてきました。例えば、仏壇様の花の取り扱いをやめて、より日常で楽しめる花の提供を進めたり、店舗運営以外の花に関する多角的なビジネスを行なっています。

ここまで売上が上がっている要因として、個人を対象とした安価な商品価格の設定(それを支えるバリューチェーン)や、店舗出店地やプロモーションなどの4P戦略が大きく起因していると思いました。


⑷マーケティング分析

青山フラワーマーケットの4P


一般的な花屋は、本社が商品の発注や在庫管理、人材の採用まで一括管理をして効率的な運営をおこなってきました。

しかし、青山フラワーマーケットに関しては、店舗運営の大部分が店舗運営者に一任されており、商品の仕入れをその地域の顧客ごとに行えるのが特徴です。

青山フラワーマーケットは、従来の花屋がおこなっていたこととは真逆の発送・アイデアを取り入れて、日常使いのしやすい個人に向けた店舗展開を進めていきました。

・キーパー(冷蔵庫)を置かない(商品を見やすくするため)
・接客をしない(個人のお客様が自分の好みの花を選べるように)
・作業場を見せない(個人のお客様に気持ちよく過ごしてもらうため)
・いけ込みや胡蝶蘭のギフトなど法人需要を追求しない(ブランド理念に基づいた効率的な運営をするため)
・葬儀用の花は扱わない(いつくるかわからない発注を待つのをやめて、作業場を確保)
など。

また、青山フワラーマーケットでは生産者を巻き込んだ販売体制を作り上げています。流通構造は、花きでは主流ではない産地直送といった市場外取引も取り入れており、それによって市況に左右されにくい価格設定と鮮度維持を可能としています。



■青山フラワーマーケットの成功要因まとめ

①法人向けや仏壇用の花の取り扱いをやめて、個人のお客様に絞った商品納品、ディスプレイ、接客を行い(選択と集中)、個人のお客様が使いやすい店舗設計をおこなった。

②地方や郊外の出店は一切行わず、来店率の高い都心の駅近に出店することで、余計なマーケティング予算をカット。また、店舗責任者に在庫管理、仕入れ、人材管理などを一任。店舗ごとに最適な運営を行うことで、無駄を削減。高い利益率を実現する。


今回あまり情報が取得できなかったため、主に4Pについての考察が中心となってしまいましたが、これだけでも他の花屋とは違った戦略で事業を動かしていることがわかりました。

ちなみに実際に自分も下記のブーケットを青山フラワーマーケットの錦糸町店で購入したのですが、値段もお手頃で、店内も非常に綺麗で男性でも気軽に購入しやすい雰囲気がありました。


(5)自分がCMOなら

<会員制の導入>
個人客にさらにフォーカスして、より購買してくれる層には、その顧客の希望にそった花屋を取り寄せてあげたり、会員に向けた割引などを行い固定客を獲得していく。地域ごとにそういった固定客が増えることで一回あたりの購買単価が上がったり、口コミで新しい顧客を呼び込んでくれる可能性は高いと思います。

<男性向け市場の開拓>
花を買うのは女性のイメージがありますが、男性でもプレゼント用や趣味で花をやりたい人は多いはず。男性顧客が来店した際は接客を厚く行なってみたり、男性顧客向けのWEBサイトを開いて花の買い方、プレゼントの渡し方などを解説するオウンドメディアがあってもおもしろそうです。新しい顧客を開拓するのもありだと思いました。


以上。


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