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ストーリージェニックな名刺の作り方 〜フォトグラファー 宇野さん編〜

−目次−
1.すべてはこのツイートから始まった
2.まずはデザインを見てもらうところから始める
3.デザインを逆算して面白くなる動線を導き出す
4.相手の考え方や姿勢を表現するのもデザイナーの役目
5.作品の再現性を高めることが、何よりも大切
6.シンプルかつわかりやすいデザインにして提案する
7.自分の作品をプレゼントするように納品する
8.やっぱりプロのカメラマンに撮ってもらった方がいい
〜あとがき〜

すべてはこのツイートから始まった

ある日、頭の中にあった名刺のアイデアを思い出したので、何げにこんなツイートしてみました。

一見ひがんでいるようにも見えますが、実際のところは「誰か反応してくれると嬉しいな」と思いながらツイートをしました。

嬉しいことに、DMやリプライをたくさんいただく中で、こちらのリプライが私の目に留まりました。

「気になります。。」の一言、以上。(笑)

このリプライをくれた方は、ちょうど翌週にお会いする予定だったカメラマンの宇野さんからでした。私もこの一言がとても気になったこともあり(笑)思い切って、私の方から宇野さんに連絡を取ってみることにしました。

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まずはデザインを見てもらうところから始める

とはいえ、宇野さんからすると「一体どんなデザインなんだろう!?」「もしイケてないデザインだったらどうしよう!?」って気持ちだろうなと思っていたので(後日談ですが、実際にそう思われていたそうです  笑)、ノートに描いていたデザインラフをそのままスマホで撮って、思い切って宇野さんに送ってみることにしました。

こちらが実際にお送りしたデザインラフになります。

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(もともと見せるつもりで描いていないので、結構恥ずかしいです)

しばらくしてから、宇野さんからメッセージがきました。

めっちゃいいですね!!このケースかわいいし、ほしい!😍

嬉しくも有り難いお言葉をいただけたので、あれよあれよと話が進み、晴れて正式受注いただけることとなりました。

手前味噌ですが、このデザイン(アイデア)には自信があったので、もし宇野さんが気に入ってくれなくても、連絡をしてくださった他の方々に提案ししようという軽い気持ちでいました。ひとまず、宇野さんに気に入っていただけたので安心しました。

「アイデアがあるよ!」って言っただけで、多くの方が反応してくださり、受注にまで結びつくとは思いもしませんでした。Twitterすごい!としか言いようがありません。

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デザインを逆算して面白くなる動線を導き出す

私は普段ペット業界の販促ツールの企画・デザイン制作業務に従事しているということもあり、デザイナーっぽいフォントや猫のシルエットが入ったこちらの名刺ケースを愛用しています。↓

実は、他のタイプ(種類)のものもたくさん展開されていて、そのひとつに"カメラ型の名刺ケース"があるのを以前から知っていたので、こちらの名刺ケースを使った名刺って、作れないかなと思ったのがきっかけでした。↓

あくまで名刺本体のデザインを考えるというより、名刺ケースで面白いものが見つかったから、それにマッチする名刺本体をデザインしていくという"逆算の考え方"で、デザインを考えていくことにしました。

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本来であれば、普通にデザインされた名刺を入れても問題ないのですが、そうなってくると同じ名刺ケースを買った人と一緒になってしまいます。それでは"ストーリージェニックな名刺"にならないし、個人的にも納得がいかないのです。

【ストーリージェニック】とは…見た目のオシャレさ・華やかさよりも、隠された事情や歴史に面白さや情趣の深さが感じられることで人を惹きつける、といった種類の写真画像を形容する表現。モノ自体の見栄えの良し悪しではなく、その画像の背後に感じられるストーリー性に価値を見出す考え方を指す。(weblio辞書より)

ここで本来やるべきことは、"この名刺ケースに合う名刺本体との関連性(ストーリー)をデザインする"ということ。そこに、面白さやユーモアをプラスすることにより、名刺を渡したときの"記憶の定着率が上がる"と私は考えているからです。そもそも"相手に覚えてもらえないと名刺を渡す意味がない"とも思っています。

実際にこのアイデアを考えていたときの私の頭の中は、このような感じになっていました。

そういえば、カメラって持ってないわ。スマホで事足りるのでそもそも必要ないわ。でも昔はデジカメとか持ってたな。持ってたのは初期のCyber-shotで、かなり重たくて大きかった。
とはいえ、昔からアナログのカメラ好きな人いるもんな。レトロなやつとか。デジカメはデータで記憶するけど、アナログのカメラは写真やから現像しないとあかんもんな。(現像屋さん、めっちゃ減ってる)
そういえば、昔に流行ってた"チェキ"ってアナログやん!まだあったっけ?(ネットで調べてみる→見つかる→まだある)表にはマジックでいろいろと書いて、コルクボードに張ったっけな、ほんまに懐かしい。みんなやってたし。
そういや、あのチェキの大きさって名刺ぐらいやったよな、確か。カメラマンって写真が作品やし、普通にカードみたいに並べるだけでもポートフォリオみたいになるやん。ええな。しかもお気に入りのやつが何パターンもあったらアピールもできるし、なにより面白いよな。
最近ネット印刷も安いし、複数パターンを印刷してもそんなにコストがかからない。会う人に合わせてセレクトしたりなんかしたら、名刺をもらった人って絶対に覚えてくれるやん。たぶん、絶対。

といった具合に思考を整理していったものが、前項で紹介したデザインラフになります。

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相手の考え方や姿勢を表現するのもデザイナーの役目

しばらくして、宇野さんと打合せをすることになりました。

宇野さんとは、自分が出展した展示会(アート&てづくりバザール)でお会いして以来2回目だったので、改めての自己紹介からはじまり、今までやってきたこと、いわゆるバックグラウンド的な話や、過去にされてきたお仕事のこと、現在されているお仕事のことなどについて、詳しくお話を伺いました。(二人でパンケーキを食べながら…あれ美味しかった 笑)

実はこれ、私が名刺をデザインする際にとても大切にしていることで、相手がどのように仕事と向き合っているのか、何を大切に思って仕事をしているのかなど、そのあたりを名刺の中で表現していくのもデザイナーの役目だと思っているからです。もはや、"この打合せの段階で8割は決まる"と言っても過言ではないと思います。

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作品の再現性を高めることが、何よりも大切

ここから大切になってくるのが、"デザインの再現性を高める"ということです。今回で言うならば、"チェキのフィルム"がそれにあたります。この再現性を高めない限り「チェキに見えない」ということになるので、そうなると元も子もありません。

実際にチェキのフィルムサイズを調べてみると、84×54mm。名刺の規定サイズは、91×55mm。結果的に、名刺の横のサイズが実際のチェキのサイズより少し長いだけだったので、そんなに違和感なくデザインの調整をおこなうことができました。コスト面を考えても、規定サイズに合わせることがベストだと判断しました。

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紙質においても、光沢感のある"マットアートグロス258kg"という紙を使用し、再現性を高めました。もともと表面の空白部分には宇野さんの名前を印刷するつもりでしたが、宇野さんからのご提案もあり、印刷せずに空白にしておくことにしました。

理由は、実際のチェキの様にマジックで文字や絵を描いたりすることで、名刺を渡す相手ごとにアナログ的にメッセージを加えることができるからです。この宇野さんのナイスアイデアのおかげで、さらに再現性を高めることができたのでした。

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シンプルかつわかりやすいデザインにして提案する

コンセプトとデザインがある程度決まったところで、宇野さんにお気に入りの写真(4点分)を事前に選んでいただいていたので、スムーズにデザインワークへと進んでいきました。

内容は事前にお伝えしていた部分もあったので、企画提案書という形式張った感じでではなく、できる限り無駄な情報は省き、必要最低限の情報のみにすることで、シンプルかつわかりやすいデザインにして提案させていただきました。

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また、アートボードのサイズ(提案する用紙サイズ)も"A4サイズ"もしくは"A3サイズ"に設定しています。そのまま出力をしても体裁が崩れることなく出力され、他の人にも見せやすいような形に配慮するのもデザイナーの役割だと思います。

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自分の作品をプレゼントするように納品する

納品する際に、いつも気を付けていることがあります。それは(よっぽど急いでいる時は別ですが)"完成品を自分の目で確かめてから、相手にお渡しする"ということです。印刷業者さんから直接送ってもらった方が送料も安くなりますし、何より手間が省けるので楽になるのですが、この手間を省くと相手に対して申し訳ない気持ちになってしまう(個人的な意見かもしれないですが)ので、必ず自分の目でチェックしてからお送りするように心がけています。

さらに、一言メッセージも添えつつ、割と可愛い感じのマスキングテープを梱包箱に巻いたりしてお送りするようにしています。無論、今回も女子力高めのラッピングとお手紙付きで納品させていただきました。(写真を撮ってなかったのが、残念でなりません 笑)

せっかくご縁があって依頼いただいたものなので、作品をプレゼントするような気持ちでお渡しするのがデザイナーとしての礼儀だと思っています。この配慮がなくなってしまうと、自分の作品を否定しているようにも感じてしまうので、なるべく時間をかけて梱包したりするようにしています。

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やっぱりプロのカメラマンに撮ってもらった方がいい

「手元に届いたら、こちらで撮影させていただきますね」と宇野さんが言ってくれていたので「コルクボードに画鋲を刺している留めているビジュアルは欲しいです!」とだけお伝えして、上がってきた写真がこちらになります。

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口答でしか言ってないのに、自分のイメージ通りに上がってきたのでかなりビックリした次第です。他にもクオリティーの高い写真をたくさん撮っていただいて、ほんと「プロのカメラマンの仕事って凄いな」と改めて感じることができました。宇野さん本当にありがとうございます。他にも撮って欲しい自分の作品がたくさんあるので、改めて宇野さんに撮影をお願いしようと思っています。

Twitterでも、おかげさまでとてもいい反応だったので、嬉しい限りです。

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〜あとがき〜

今回は、"ストーリージェニック"という流行の言葉をタイトルにつけましたが、どんなデザインを作るにしても、受注から納品までをひとつのストーリーとして受け止めて、いかにして相手に覚えてもらえるような(認知させるような)アプローチをするか、またそれを的確に表現していくことができるのかといったあたりが"現代のデザイナーに課せられている使命"でもあると考えています、カッコ良く言うと(笑)

またこれからもこのような形で、作品の紹介とともに制作プロセスなんかをすべて垂れ流すような感じで(笑)オープンに発信していければなと思っております。

ここまで読んでもらえただけでめっちゃ嬉しいですが、コメントとかシェアしてもらえると、めっちゃめっちゃ嬉しいです!よろしくお願いいたします(_ _)

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今回名刺をデザインさせていただいた、宇野真由子さん(UNO photo works)のホームページはこちらです→https://unophotoworks.top/

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上司ニシグチ
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