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数理にふれてみる Vol.4 約数の個数の総数の数式をグラフで考える。


直線の近似として、グラフから読み解く

前回、以下のグラフを描いてみて、直線みたいだと伝えたが、余剰演算の数列の和のグラフを他にも描いてみることにした。

$$
y=\sum_{x=1}^{n}\left(\frac{\operatorname{mod}\left(n,\ x\right)}{x}\right)
$$

※グラフ用の数式記述では「n mod x」は「mod(n, x)」となる。

こちらもギザギザだけど、直線に近似するみたいだ。
傾きを調整すればy=xに近似するかもしれないと思い、調整してみる。

x=10000のときを見てみる

何分か待つともっと大きい範囲もグラフに表示されてくる。

一桁上がって、x=100000でy=42200から42300の間
さらに一桁上がって、x=1000000でy≒422730。422730にちょっと満たないので422728ぐらい

桁の範囲を上げていくと、直線みたいに描かれるが、
アップして表示範囲を萎めて、暫く待つとこんな感じ。

暫く待つとギザギザが現れる。


1000000 ÷ 422728 = 2.365587328021801… ≒ 2.365587328
なので、掛けてみる。

y=xに近づいているね。

y=xの直線みたいになってきた。
この、「0.42272…」とかその逆数の「2.365587328…」ってなんだろう。
何かの定数(eとかπ)やlogとかからでてくるのかな?
とりあえず定数$${\kappa=0.42272…}$$としておこうか。

というわけで、はっきりと直線とはいかないけど、マクロで観て直線として以下の数式が成り立つのでは?

$$
y=\sum_{x=1}^{n}\left(\frac{n \mod x}{x}\right)
\simeq \kappa \cdot x
$$

約数の個数の総数の数式の近似式を読み解く。

つづいて、約数の個数の総数を表す数式のグラフを考えてみることにした。
逆数の数列の和とは調和数$${H_n}$$のことであり、これを用いて表すことを考えてみた。

$$
\begin{aligned}
H_n &=\sum_{k=1}^{n}\frac{1}{k}\\
&\sim \ln n + \gamma + \frac{1}{2}n^{-1} -\sum_{k=1}^{\infty}\frac{B_{2k}}{2k\pi n^{2k}}\\
&=\ln n + \gamma + \frac{1}{2}n^{-1} - \frac{1}{12}n^{-2} + \frac{1}{120}n^{-4} +  \Omicron(n^{-6})\\
&※B_{k}はベルヌーイ数
\end{aligned}
$$


お、ちょっと待った、

オイラー定数の$${\gamma = 0.5772156649015328606065120…}$$に、「0.42272…」を足してみよう。
$${0.57721+ 0.42272 = 0.99993}$$

あー、もしかして、こういうことかな?

$$
\begin{aligned}
 \kappa &= 1 - (\gamma + \frac{1}{2}n^{-1} - \frac{1}{12}n^{-2} + \frac{1}{120}n^{-4} +  \Omicron(n^{-6}))\\
&\\
&なので、以下のように表すことができる。\\
H_n &= \ln n + 1 - \kappa
\end{aligned}
$$

$${\frac{1}{2}n^{-1} - \frac{1}{12}n^{-2} + \frac{1}{120}n^{-4}…}$$の部分も念の為確認してみた。

n=100000のとき、4.99999E-6ってことは、だいたい0.0000049999


$${\kappa \simeq 1-\gamma + 0.0000049999 = 0.422789…}$$
んー、微妙に0.42272…とズレるけど誤差の範囲だろうか?
誤差って、結構発見の肝になったりするところなのでなにか隠れていたりしないかな?

nが大きくなればなるほど0.0000049999は小さくなり、
nが無限大なら0に収束するので、$${\kappa=1-\gamma}$$ってことで良さそうでもある。

ただ、$${\kappa}$$が$${x}$$で微小に変動するので$${y=\kappa \cdot x}$$は直線ってことではなくなるけど、無限大に対して収束するので、近似では直線と言えるのかな?

ということで、とりあえず定義としてはこんな感じ

$$
\kappa_n=1-(\gamma + \frac{1}{2}n^{-1}-\sum_{k=1}^{\infty}\frac{B_{2k}}{2k\pi n^{2k}})\\
\kappa = \lim_{n\rarr\infty}\kappa_n = 1-\gamma
$$

ということで、約数の個数の総数の公式は、$${\kappa}$$を用いて以下のように近似される。

$$
\begin{aligned}
y&=\sum_{x=1}^{n}\left(\frac{n-\operatorname{mod}\left(n,\ x\right)}{x}\right)\\
&=\sum_{x=1}^{n}\left(\frac{n}{x}\right)-\sum_{x=1}^{n}\left(\frac{\operatorname{mod}\left(n,\ x\right)}{x}\right)\\
&=x \cdot H_n - \sum_{x=1}^{n}\left(\frac{\operatorname{mod}\left(n,\ x\right)}{x}\right)\\
&\simeq x \cdot  \ln x + x (1 - \kappa) - \kappa \cdot x\\
&=x \cdot  \ln x + x -2 \kappa x
\end{aligned}
$$

約数の個数の総数の近似式のグラフとの比較

近似式のグラフ
n=100000に焦点を合わせたものだと、$${\kappa}$$は0.422789ってことになるけど、今回は、グラフで確認した「0.42272」を近似式のグラフとしてみた。

$$
y=\ x\ \cdot\ln x\ +\ x\left(1-\ 0.42272\right)\ -\ 0.42272\ \cdot\ x\
$$

近似式
y=10000000, x=71256あたり

こちらは元になる「約数の個数の総数$${S_n}$$」の数式のグラフ

$$
S_n = \sum^{n}_{k=1}  \lfloor \frac{n}{k} \rfloor = \sum_{k=1}^{n}\left(\frac{n-\operatorname{mod}\left(n,\ k\right)}{k}\right)\\
ということで、\\
y=\sum_{x=1}^{n}\left(\frac{n-\operatorname{mod}\left(n,\ x\right)}{x}\right)
$$

元の数式
y=10000000,x=732043あたり。あれ、結構ズレてる。

y=10000000のときのxの値を確認してみたら、近似式($${\kappa=0.42272}$$):x=71256、元の数式:x=732043だったので、($${\kappa=1-\gamma=0.422784335…}$$)で確認してみた。

x=732161あたり

ちゃんと近づいたので、$${\kappa=1-\gamma}$$で良さそう。
$${\kappa_x}$$のほうがもっと良いと思うけど。

ついでに、約数の個数の数式も近似グラフで描いてみよう。

$$
\begin{aligned}
D_n &= \sum^{n}_{k=1}  \lfloor \frac{n}{k} \rfloor -\sum^{n-1}_{k=1}  \lfloor \frac{n-1}{k} \rfloor\\
&= \sum_{k=1}^{n}\left(\frac{n-\operatorname{mod}\left(n,\ k\right)}{k}\right)-\sum_{k=1}^{n-1}\left(\frac{n-1-\operatorname{mod}\left(n-1,\ k\right)}{k}\right)\\
&\simeq n \cdot  \ln(n) + n -2 \kappa n -((n-1) \cdot  \ln (n-1) + n -1 -2 \kappa (n-1))\\
&=n \cdot  \ln(n) - n \cdot  \ln (n-1) + \ln(n-1) + 1 -2 \kappa\\
&=n \cdot  \ln(\frac{n}{n-1})+\ln(n-1)+1-2\kappa\\
\end{aligned}
$$

$$
\xcancel{y= x\cdot \ln x - (x-1)\cdot\ln(x-1) + 1 }【誤】\\
y=x \cdot  \ln(\frac{x}{x-1})+\ln(x-1)+1-2\kappa\\
$$

近似グラフはこんな感じ。10の10乗でも24程度

こちらは元の数式のグラフ

元の数式はこんな感じ

グラフを見た感じでは、近似では素数は求められないみたい。

でも発散したグラフなので約数の個数の数も発散しているということになる。

素数は$${S_n = 2}$$なので、近似で求めるなら、以下の数式のxを求めることになる。

$$
\xcancel{2= x\cdot \ln x - (x-1)\cdot\ln(x-1) + 1 }【誤】\\
以下に訂正2025/1/28\\
2=x \cdot  \ln(\frac{x}{x-1})+ln(x-1)+1-2\kappa
$$

手作業で確認。x≒1.709991604

式が間違っていたので1.54221142は関係なし。
改めて手作業で確認した数値は1.709991604

この数字から何かわからないかな。

あれ?リーマンゼータ関数のクリティカルライン上の零点?

ところで、リーマン予想(クリティカルライン上の零点)について

いまρはゼータ関数の非自明な零点を表すものとし

$$
N(T)=\sum_{0<\Im\rho\leq T}1,\quad N_0(T)=\sum_{\substack{0<\Im\rho\leq T\\Re\rho=\frac12}}1
$$

とおくと、リーマン予想は

$${N(T)=N_0(T)}$$

が成り立つことと言い換えられます。

ということで2020年時点でわかっていることは、

$$
\liminf_{T\to\infty}\frac{N_0(T)}{N(T)}=\geq0.417293962(>\frac{5}{12}\r)
$$

ってことらしいけど、

$$
\liminf_{T\to\infty}\frac{N_0(T)}{N(T)}=\kappa = 0.42278…
$$

かもしれないなぁ、とふと思いました。

いや、
非自明な領域$${0<Re(s)<1}$$のクリティカルストリップ(臨界帯)において、
クリティカルラインが$${Re(s)=\kappa もしくは Re(s)=\gamma}$$ってことかもしれない。

$$
N(T)=\sum_{0<\Im\rho\leq T}1,\quad N_0(T)=\sum_{\substack{0<\Im\rho\leq T\\Re\rho=0.42278…}}1
$$

今回はここまで。

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