見出し画像

神事としての占い

御卜(みうら)


伊勢の神宮の地で今日10月15日に「御卜(みうら)」という神事が執り行われます。
神嘗祭という伊勢の最重要行事に参加する資格を占いによって決める神事です。
斎戒とも物忌とも言いますが、神職の方たちは心身を清浄にするための心意的。行動的な慎みの状態を神嘗祭の準備期間の間維持します。
いかに準備をしていたとして、どのような立場の人も占いが良くなければ、祭祀に参加できません。
神嘗祭は徹底した清浄のもとに行われる儀式なのです。

亀卜・粥占

他にも神事として執り行われる占いとして有名なものに、「亀卜」や「粥占」があります。
「亀卜」は古代中国で盛んにおこなわれた占いで、亀の甲羅にできたヒビをもとに占います。甲骨文字の原型としても有名ですね。日本では奈良時代に伝来しました。
「粥占」は粥を作りその米粒の数や生えるカビの様子で、天候や農作物の豊凶などを占うため、正月など年始の時期に執り行われます。起源は『年中行事秘抄』によれば、中国から伝えられたものとされています。

日本の占いの原型である誓約

日本神話の重要なシーンに誓約(うけい)という占いの原型ともいえる描写がある。
伊耶那岐命(イザナギ)が黄泉の国の穢れを禊いだ際に生まれた神様である天照大御神(アマテラス)と建速須佐之男命(スサノオ)。
天照大御神は高天原(天)、建速須佐之男命は綿津見(海)をそれぞれ治めるよう伊耶那岐命に命じられました。
建速須佐之男命は国を治めず母(伊耶那美命)に会いに行きたいと泣き喚いてばかりいました。伊耶那岐命はお怒りになり海の国を追放されました。
追放された建速須佐之男命は母に会いに黄泉の国へ行こうとなさいますが、その前に高天原の天照大御神の元へ報告に向かいます。
天照大御神はなぜ高天原に建速須佐之男命が来たのか疑われ完全武装で出迎えます。
ここで、お互いの身に着けているものを元に生み出すものが何になるかを確認することで、建速須佐之男命の真意を占います。これが誓約(うけい)です。
ここで天照大御神は建速須佐之男命は身に着けていたものから3柱の女の神様を生み出しました。
建速須佐之男命は天照大神の身に着けていたものから5柱の男の神様を生み出しました。
この結果、天照大御神は建速須佐之男命の潔白をお認めになりました。
ちなみに3柱の神様は宗像大社で祀られる神様で、5柱のうち正勝吾勝勝速日天忍穂耳命(アメノオシホミミ)で皇孫である邇邇芸命(ニニギ)の父親になります。

神事としての占いの原型は「潔白」「清浄」の指標となる儀式で、場合によっては神産みもともないます。

よろしければサポートお願いします! いただいたサポートはクリエイターとしての活動費に使わせていただきます!