初めて虹を見た日
今でも鮮やかに思い出す、あの日の感動。
絵本やテレビでしか見たことがなかったあの七色のアーチが
本当にあったなんて!
おとぎ話の世界だけだと思っていたのに!
小学校の帰り道、「ほらほら!虹が!!ウソみたい!!」とぴょんぴょん跳ねながら指さすと、友達は「そやなあ」とそっけない。「え?初めて見たん?」と、そのことの方が驚かれた。私の感動は友達には伝わらなかった。
なぜだろう?
そして20年がたち
私が母親になった時、
雨が止むたびにワクワクして窓から空を見上げた。
子供に虹を見せてあげたい!
子供と虹のツーショットを撮りたい!
その時、気づいた。
母は、幼い私に虹を見せたいと思わなかったのだと。
一度も雨あがりの空を見上げて虹を探すことはしなかったのだと。
私は母から愛されていなかったのだ。
小学2年生の感動の虹の思い出は
20年後に悲しい傷跡となった。