本当に幸せな人間
年に1回程度会う、中学時代の友人がいる。特に頻繁に連絡をとるわけではないのだが、気が向いた時に会う約束をしている。
お互いに自己肯定感が低いことから会う度に現状の不満や将来への不安など重たい話をして時間を過ごすことが多かった。
ただ今回は彼女の方に変化があった。
つい半年前、恋人ができたらしい。
身近な友人に独り身が多かったせいか、惚気話に耐性がなかった私は同意の相槌を打つことしか出来なかった。
その対応に申し訳ないなと思いつつ、彼女の幸せそうな姿に私も嬉しさを感じていた。
「彼と出会った時に運命を感じた」
「今が人生で1番幸せ」
「彼のためなら死ぬことだってできる」
本当に幸せな人間は本当にフィクションだと思っていたこういった言葉が出るのか、と感じた。
私は生涯の中でこの言葉たちを並べることが出来るだろうか。あるいは在り来りだ、と自身独自の言葉を並べて幸せを語ることが出来るだろうか。
そんなことを思いながら、今はただ彼女の幸せな姿を見ることに幸せを感じている。