「MAGMA!」見てきた
チケットを購入した時点では、
「吉住・かが屋加賀翔によるコントライブ」
程度の情報しかなく、面白そうな2人なので見てみよう。くらいの気軽さで見に行きました。
しかし、蓋を開けてみれば、
コントが出来上がっていく過程を見る
という、他では絶対に出来ない希少な体験をする事ができました。
そんなコアでアツアツなイベント『MAGMA!』を見た感想を書いていきたいと思います。
ネタ帳を見れる
ダウ90000の蓮見さんがVTR出演し、ライブの趣旨説明をする所からこのライブは始まりました。
「2人のネタ帳を見せ合う」
↓
「その場でコントを作る」
↓
「ステージ上のスイッチを押したらコント開始」
観客はこのVTRでライブの趣旨を知ることとなりました。
吉住と加賀も
「マジか…」
「イカれてるよ…」
という反応でした。
2人もライブの1週間前までは知らなかったそうです。
まず、「ネタ帳を見せる」という事に激しい抵抗を見せる2人。
「僕ホントにキモいんですよ。引かないでくださいね。」
とお客さんに引かれることに酷く怯える加賀の姿はかわいそうですが面白かったです。
吉住が加賀のネタ帳を見て、
「うわ〜、天才じゃ〜ん!!」
とイジるのも性格の悪さが出ていて面白かったです。
加賀のネタ帳は専用のフォーマットに沿って作られていたり、吉住はアイデアの量が多すぎてとんでもなく縦に長いスクリーンショットになっていたりしました。
2人とも本当に日常的にコントについて考えているのだろうなという事が伺えました。
2人のコント狂っぷりに度々どよめく会場とあたふたする2人の姿で、会場にはなんとも言えない緊張感と独特な空気が漂っていました。
僕はライブの趣旨を聞いて、「余計な事しなくていいからとにかくおもしろいコントが見たい!」という思いも正直あったのですが、「ネタ帳を見れる」というお笑いファンには堪らない体験をすることができたので大満足でした。
コントを作る過程を見れる
それぞれのネタ帳の書き方に関するトークが盛り上がる中、「加賀さん、吉住さん。そろそろコントの方をお願いします。」と再びダウ90000蓮見による悪魔のようなナレーションが入りました。
ステージ上のスイッチを自ら押してコントを始めなければいけないという事に、激しい抵抗を見せる2人も面白かったですが、このナレーションをきっかけにいよいよコントを練り始めました。
そこからは2人のネタ帳に書かれた、シチュエーションやエピソードのメモを素に、コントのアイデアを膨らませていく過程を見ることができました。
お互いにコントのアイデアを交互に出しながら雑談のように二人が話しているのを眺める観客。
その姿を見ているだけでお笑い好きとしては本当に面白かったのですが、今文字にして見ると改めて異常な空間だったと思います。
1つ目のコントは突然始まりました。
吉住のネタ帳のコントのアイデアを2人が見て、「それめっちゃ面白いですね!」等と談笑していると突然、
『吉住さん。何度言ったら分かるんですか??』
と加賀がその設定のキャラになりきったセリフを口に出し、キャラを演じ始めました。
すると、それに応じるように吉住がスイッチを押したのです。
スイッチを押すと、音楽とともに暗転し、2,3秒後に明転する仕組みになっていました。
見ている側はスイッチを押すとどうなるのかこの瞬間まで分からなかったので、
「うわ!押した!始まる!!」というワクワク感は堪らなかったです。
明転してからは、
満席の草月ホール、500人以上(たぶん)の前で、
台本無し、セット無し、
衣装はおそろいのパーカーのみ、
むき出しの2人が即興でコントを演じます。
大ざっぱな設定だけを決めた状態で始まりましたが、2人が口論するシチュエーションだったのもあり、2人のセリフでどんどん笑いが生まれていきました。アドリブであることも相まって、「次は何を言うのだろう」と見ていて引き込まれるような内容でした。
最後になんとか落ちのセリフまでたどり着くと、
スイッチを押してコントが終了しました。
『デュクデュク』というスクラッチ音が流れ、それがコント終了の合図でした。
コント後は拍手に包まれながらも2人は息切れして、まるで命を削った後の人間の様相でした。
吉住が、「芸歴10年目でこんなにシビれるライブあるんだね。」と言っていたのがとても印象的で、見ていて胸がアツくなりました。
コント狂の覚醒
そこからライブは続き、同じ形式で2人がコントを作っていく所をいくつか見ることができました。
その中で、吉住があきらかに覚醒した瞬間がありました。
3本目のコント後、覚醒した吉住は
「楽しい!!」
と言ったのです。
覚醒前の2人は、スイッチを押すことに「うわー、どうする?やってみる??いくよ!?」といったように躊躇いを見せていました。
しかし覚醒後は「楽しい!!」と言って、即興コントを楽しんでしまっているのです。
ここで一旦、一般の感覚に立ち戻り、
『500人の前で即興でコントをやって下さい。
さぁどうぞ。』
と言われたらどうでしょう。
罰ゲームです。
何なら罰ゲームどころじゃないかも知れません。
地獄です。
吉住はそれを『楽しい』と言い始めたのです。
完全にコントに狂ってしまっています。
吉住覚醒の瞬間は3つ目のコントの終盤だったと思います。
吉住が発したセリフで会場に大きな笑いが生まれました。また、コントの内容的にもそのセリフがキーとなって、登場人物の深みが増すようなとてもいいセリフでした。
コント後にも加賀から「いや〜、名言出ましたね!」とかなり手応えのある一言となった様子でした。
吉住は、「この設定を思い付いて、〇〇(コントのテーマ)について色々深く考えたんだよね。」と言っていました。
吉住のコント作りへのこだわりが感じられます。
吉住覚醒のきっかけとなったこのセリフは、
普段の吉住が考えたことが、台本やネタ合わせという段階を踏まず、
吉住の脳から産地直送で舞台上に放たれました。
そのセリフがお客さんの耳に届き、多くのお客さんが笑いました。
そして、加賀が演じているキャラクターにも心情の変化を与え、コントが展開していきました。
事前に作り込んだコントを見せる通常のお笑いライブでは絶対に味わえない感覚でした。
そんな体験が吉住を覚醒に導いたのではないかと
勝手に思っています。
吉住覚醒後は、加賀も見ている観客も引き込まれていくように覚醒していき、その場にいる全員バキバキのガンギマリ状態の異様な空間となっていったような気がします。
お笑いを見ているとたまに見る芸人が「覚醒する瞬間」をこのライブでは見る事ができました。
本当に見て良かったと思いました。
最後に
何気なく見たライブで、こんなにアツくドロドロしたものが見れるとは思いませんでした。
「MAGMA!」最高でした。
入場特典のステッカーもかわいいし文句無しでした。