ナイジェリアチンパン、シンデレラ(外伝)試作品
義理の姉2人とナイジェリアチンパンがおりました。義理の姉はケンタウロスとベテルギウスで、事あるごとにナイジェリアチンパンをからかっておりました。
「蹄を磨いておくれ」
ケンタウロスはさほど摩耗していない蹄の手入れをナイジェリアチンパンに命令しました。しかし、ナイジェリアチンパンは断ることが出来ません。
「背中を拭いておくれ」
ベテルギウスもナイジェリアチンパンをからかいます。ベテルギウスは大変大きく、背中を拭くとなると大掛かりな仕事となりナイジェリアチンパンは1日中ベテルギウスの背中を拭く羽目になってしまいます。
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ナイジェリアチンパンはかつてアフリカで父と母と仲良く暮らしておりましたが、父と母は密猟者によって拿捕されてしまい子供だったナイジェリアチンパンはヨーロッパへと売り飛ばされてしまったのです。アフリカのジャングルを守ってくれているターちゃんがアメリカのトーナメント参加をしていた時でした。
ナイジェリアチンパンは配送先から何とか脱出をしました。しかし、幼いチンパンジーの子供がまともに大都会を探索できるはずがありません。ついに道端で倒れてしまいました。
「おやおや、こんなところに幼いチンパンジーがいますね。」
そのご老人はナイジェリアチンパンを丁重に抱っこをし家に連れて帰ることにしました。
布団に寝かせすやすやと眠るナイジェリアチンパン。ご老人はナイジェリアチンパンを見つめていました。
「なんとも可哀想に。おそらく密輸されてしまったんだろう。当局に相談をしたいが、手続きの流れでこの子は蔑ろにされてしまうかもしれない。」
ワシントン条約でチンパンジーを飼育できる機関は限定的になっているのは分かっていましたが、そのご老人は自分で面倒を見ることにしました。
「おい、ちょっと来てくれ。」
ご老人は姉妹のケンタウロスとベテルギウスを呼びました。
「どうかしましたか。あら、そのチンパンジーはどうしたのです。」
ご老人はこれまでの経緯を2人に話しました。
「なるほど。それでは今日からそのチンパンジーは私たちの姉妹ですね。」
「きっと辛い目にあっていたのでしょう。私たちがこれからは大切にお世話をしたいと思います。」
ケンタウロスとベテルギウスはナイジェリアチンパンと桃園の誓いをしました。
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「お祖父様、ナイジェリアチンパンが起きましたわ。」
ケンタウロスが声を上げました。
ナイジェリアチンパンは見たことのないケンタウロスに怯えています。しかし、ケンタウロスはナイジェリアチンパンを包み込むように抱っこをしました。その優しさが伝わったのかナイジェリアチンパンは硬直した身体を徐々に緩めることが出来ました。
「おぉ、起きたか。ミルクでも与えてみるか。ベテルギウス!ミルクを作ってくれないか。」
ベテルギウスは台所から返事をしそのままミルクを作り始めました。そして、ミルクをナイジェリアチンパンのいる部屋へと持っていきました。
「元気に飲んでくれると良いんだけど…。」