ぼくの好きなもの(映画編)
みなさん、こんにちは。
今回から、「ぼくの好きなもの」というお題で、何回かに分けて自分が気に入っているもの、大好きなものを紹介したいと思います。
第1回の今回は「映画編」。
ぼくの大好きな映画について、その魅力を伝えられたらいいな、と思ってます。
ぼくは小学生のころからの映画ファンですので、好きな映画を全部挙げていったらきりがないのですけれども、よりすぐって5本、新作旧作を問わず語ってみたいと思います。
「テネット」(TENET, 2020)
監督・脚本・製作:クリストファー・ノーラン
製作:エマ・トーマス
製作総指揮:トーマス・ヘイスリップ
出演:
ジョン・デイビッド・ワシントン
ロバート・パティンソン
エリザベス・デビッキ
ケネス・ブラナー
マイケル・ケイン
ここ数年でぼくが観た中で、「驚かされた」という意味ではいちばんおもしろかった!といえる映画です。
SFサスペンス仕立てのストーリーは、一度観ただけではとうてい把握できないトリッキーなものですが、それだけに何度も観直したくなる。
そして観直すほどに新しい発見のある映画。
内容については、ほかの多くのかたがたが見事な考察をされているので、そちらを参照していただくとして、ぼくがここで言っておきたいのは、
「これだけトリッキーな話であるにもかかわらず、人間ドラマがまったくおろそかになっていない!」
ということです。
主人公「名もなき男」(ジョン・デイビッド・ワシントン)は、作中でバックグラウンドが説明されることがほとんどないにもかかわらず、ニール(ロバート・パティンソン)との友情、キャサリン(エリザベス・デビッキ)への想いなど、描写から自然に彼の人柄が伝わってきます。
そういう繊細さも持ち合わせながら、同時に「え!これどうなってんの?どうやって撮影してんの?」と思ってしまう驚愕の映像、特殊効果の数々。
本当に稀有な傑作。そう思います。
2. 「2001年宇宙の旅」(2001: A Space Odyssey, 1968)
監督・脚本:スタンリー・キューブリック
原作・脚本:アーサー・C・クラーク
出演:
キア・デュリア
ゲイリー・ロックウッド
ウィリアム・シルベスター
ダニエル・リクター
ダグラス・レイン(HAL9000の声)
これは、ぼくの映画体験の原点の一つですね。
映画というもののおもしろさを最初に知ったのが、この作品をとおしてだといっていいかもしれません。
この映画が作られた1968年当時の時点で最新の技術を使って精緻に作られた特殊撮影は、いま観てもほとんど色あせない完成度です。
そして、説明らしい説明もないまま、映像でストーリーを進めていく手法。
クライマックス以降の展開は、そのわからなさから「難解」と言われましたし、いまだに言われていると思います。
でも、これは監督キューブリックも言っているように、
「映像による体験」。
そう、作中の登場人物と同じく、わけもわからないまま未知の体験をしていく、そこにこの映画のおもしろさがあります。
そういう点では、先に挙げた「テネット」もよく似たところがあり、ノーラン監督がキューブリックとよく比較されるというのも、よくわかる気がします。
3. 「コーダ あいのうた」(CODA, 2021)
監督・脚本:シアン・ヘダー
出演:
エミリア・ジョーンズ
マーリー・マトリン
トロイ・コッツァー
ダニエル・デュラント
エウヘニオ・デルベス
フェルディア・ウォルシュ=ピーロ
これ、すごい好きです。
こんなすばらしい映画、あるでしょうか! ってくらい好きです。
(先に挙げた2本の映画も大好きですけど)
ストーリーをちょっとだけ紹介。
家族が父も母も兄も聴覚障害者の中、ひとり正常な聴覚を持つ健常者として生まれたルビー。
漁師として生計を立てている一家の、健常者との手話通訳の役割を果たしており、そのため夜明け前から早朝まで家族とともに漁船に乗り漁を手伝う生活を送っているため、疲れて学校の授業中に居眠りする日々。
しかしそんなルビーには心の支えがあった。
「歌うこと」。
高校の合唱サークルに入り、そこで出会った音楽の先生「V」がルビーの才能に気づく。(このV先生の俳優さんがいいんだな、これが。)
V先生はルビーに、奨学金があるのでバークリー音楽大学を受験するよう、強く勧める。
だが、音楽の道に進みたい思い、自分を必要とする家族、そしてサークルで出会ったマイルズへの想い。
そうした気持ちの間で揺れるルビー・・・。
この映画はもともとフランス映画「エール!」の英語版リメイクです。
(こちらはまだ観ていません。)
でも、とてもアメリカ的な話になっているのですよね。
美しい港町が舞台。
ひとりの少女の青春を描いた物語。
その葛藤、
成長物語であり、
ラブストーリーでもあり、
サクセスストーリーでもあり、
ミュージカルでもあり、
ヤングケアラーの現実を描いた話でもあり、
聴覚障害者の生きる上での困難さを教えてくれる物語でもあります。
心動かされるシーンがたくさんあります!
もう、観ながら何度泣かされたことか!
原題の「CODA」とは、「Children of Deaf Adults」の略。
「耳の聞こえない両親、または一方の親を持つ、聴覚が健常者の子ども」
のことです。
コーダである子どもは、その置かれた立場上、ヤングケアラーとしての役割を負ってしまうことが多く、社会問題となっています。
そんな実情の一例を、ぼくたちはこの映画をとおして知ることができます。
そういうメッセージを持った映画でありながら、それをさわやかに楽しく見せてくれる。
この映画のいちばんの魅力は、そこだと思います。
4. 「バットマン リターンズ」(Batman Returns, 1992)
監督:ティム・バートン
脚本:ダニエル・ウォーターズ
出演:
マイケル・キートン
ミシェル・ファイファー
ダニー・デヴィート
クリストファー・ウォーケン
マイケル・ガフ
あー、このシリーズも本当にいいんですよね。
(ってばっかり言ってますが・・・笑)
バットマンは何度も映画化されてます。
世評の高い、ノーラン監督の「ダークナイト・トリロジー」もいいんですが、それ以上に好きなのが、この1980年代~1990年代にかけての、ティム・バートン監督による「バットマン」シリーズ。
「バットマン リターンズ」はこのシリーズの2作目にあたります。
ティム・バートンの本領発揮!
なのが今作だと思うんですよね。
ただ、1作目を観ないでいきなり今作を観ても、わけわかんないところがいろいろ出てくると思われるので、いちおう1作目のほうも紹介。
「バットマン」(Batman, 1989)
「バットマン」シリーズ、というかアメコミヒーローの映画化全般に言えることかもしれませんけど、どんどん「いかにリアルに見せるか」の勝負になっている感があります。
リアルに見せること、それはそれで重要ではあると思うんですが、それだけでなく同時に「ある程度のファンタジー感・おとぎ話感」というのも、こういったヒーローものには大事な要素だとぼくは考えています。
そういうファンタジー感・おとぎ話感とリアリティーが、絶妙のバランスで混ざり合っているのがこのティム・バートン監督版バットマンだなと。
特に、2作目のこの「バットマン リターンズ」では、観る側は本来の悪役であるはずのペンギン、キャットウーマンのどちらにも、観ていくほどに悪役というより同情をどんどん感じてしまうという、困った映画になってしまっています。
その代わりというか、いちばんの悪役といっていい役はクリストファー・ウォーケン演じるマックス・シュレックが担っているわけですが。
でも、それこそがこの作品の唯一無二の魅力だと思うのです。
ペンギン、キャットウーマン、そしてバットマンとも、それぞれの事情で「心が壊れてしまった」者たち。
そうした存在にバートン監督が注ぐ愛の視線。
自分もふつうの人とは、なにかちがうところがある、合わないところがあると感じる人なら、きっと彼ら登場人物に共感できるのでは?
ティム・バートン監督は「フリーク」なものに対する愛を強く持っている人だと言われますし、本人もそのことをいろいろな場で公言しているようです。
そんな彼だからこそできた、「フリーク」愛と、それをアメコミヒーローというポップアイコンを使って、だれにでも見やすい文脈で表現した珠玉の一作。
これはそういう作品ではないでしょうか。
5. シティーハンター(City Hunter, 2024)
監督:佐藤祐市
原作:北条司「シティーハンター」
出演:
鈴木亮平
森田望智
安藤政信
華村あすか
杉本哲太
木村文乃
橋爪功
1本くらい日本の映画も入れたいと思うので、これを。
日本の映画も、すばらしい映画がたくさんあります。
黒澤明監督、小津安二郎監督、ゴジラ(特に1954年の第1作!)、「太陽を盗んだ男」、「バウンス ko GALS」・・・
そうそう中川信夫監督の「東海道四谷怪談」!
だけど、最近の日本映画はあまり食指を動かされるものがない・・・。
そんな中、ひさしぶりに心の底からおもしろい!と思えたのがこの作品。
原作はご存じのとおり、北条司による同名のマンガ。
テレビアニメ化され、こちらのほうでなじんでいたかたも多いでしょう。
アニメ版は劇場版も何作か作られています。
さらに、香港、フランスと、海外で実写版映画化され、特にフランス版は高い評価を受けています。
そんな中、やっと本国日本での実写版が実現。
この日本初の実写版が、実にすばらしい!
あーもう、日本映画でこんなに文句のつけようがないおもしろいのに出会ったのは、何十年ぶりでしょうか!
っていうくらいおもしろい!
そのおもしろさの理由の第一。
主人公、冴羽獠を演じる鈴木亮平の「ハマり度」の高さに尽きます!
本当、冴羽獠をやるために生まれてきた男かよ!
ってくらい完璧。
容貌、表情、筋肉、アクション、ガンさばき。
どれをとってもまったく違和感がありません。
鈴木亮平自身、「シティーハンター」の大ファンであり、俳優を目指すきっかけとなった作品であることをすでにさまざまな場で公言していますから、この役にかける情熱と努力が半端ないものであったであろうことは、この映画を観ればいやがおうにも伝わってきます。
それくらい、「気迫」を感じるのですよね。
ここでの彼の演技には。
アクションシーン、特にガンアクションも、1ミリたりとも手を抜いていないことが伝わっています。
銃の撃ち方、撃ったときの銃の反動の動き、弾倉の装填・・・。
現物をよく研究してリアルさを追求しているのがよくわかります。
(ちなみに、ぼく自身だいぶ昔ですが、海外の射撃場で実銃を撃つ経験をさせてもらったことがあるので、手を抜いた描写だとすぐわかります。)
セットや特殊効果もリアル。
獠の愛車も、原作どおりミニクーパー初期モデル。
新宿・歌舞伎町のいわゆるトー横広場は、実際に現地でロケ。
細かいところまでリアリティーのある映像になるよう、スタッフが力を尽くしているのがよくわかります。
脇を固める俳優陣もいい演技。
獠のパートナーになっていく、槇村香役の森田望智。
その兄でもともとの獠のパートナー、槇村秀幸役の安藤政信。
事件のカギを握るコスプレイヤー、くるみの華村あすか。
この3人は特にすばらしいですね。
そして歌舞伎町のボス、「あっくん」(笑)こと阿久津役の橋爪功。
もう見飽きたぐらい見慣れたはずの橋爪さんですが、ここでの彼はいい味出してますねえ。
見どころを挙げればいくらでもありますが、すでに多くのかたが考察の文章を書かれていますので、そちらを参照いただくとして・・・。
とにかく、「シティーハンター」について何の知識もなくても(ぼくもほとんど知識ない状態から観ました)、ひとつのサスペンスアクション映画として、どなたでも楽しめます!
おすすめです。
さて、というわけで、5つの映画作品を紹介してきました。
書いてみたら、意外にも新しめの作品が多くなりました。
(本当は古い映画のほうが、好きな作品多いと思うんですけどね・・・)
いずれもネット配信で観られます。
休日やおひまなときなど、この文章をきっかけに興味を持ってご覧いただければ、とてもうれしいです。
次回は、ぼくの好きなアニメの話をする予定です。
それでははまた!