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ぼくの好きなもの(アニメ編)

こんにちは。
ぼくの好きなものを選んで紹介するシリーズ、第2弾です。
前回の映画に引き続き、今回は「アニメ編」です。

アニメについては、ぼくは子ども時代はよく観ていましたけど、実は20代になってからぐらいから最近まで、ほとんどアニメを観なくなっていました。
ふたたびアニメを観るようになったのは数年前、2018年くらいからです。

この年くらいから、ぼくと若い人との交流ができて、彼らがアニメをよく観ているため、自分も同時代のアニメを観るようになりました。
そして、

「いまどきのアニメ、けっこうおもしろいもの多いじゃん!」

と気づいて、数十年ぶりにアニメを観るという行為を再開したわけです。

そんなわけで、ぼくは必ずしも熱心なアニメファンではありません。
ですけど、そんなぼくが観て、これはおもしろい!と思った作品は、いまのものも、むかしのものも、多くあります。

今回は、そうしたぼくが心底おもしろい!と思ったアニメを、新しい古い、TVアニメ、劇場版を問わず紹介しようと思います。
しぼり切るのがむずかしく、今回は6つになりました。

なお、今回紹介するアニメについてはこれを執筆している現時点(2024年6月)で、全話放映終了しているものに限ります。
現在放映中のものにもおもしろいものがいくつもあるのですが、それは全話観終わってから、またの機会に紹介しますということで・・・。

  1. 「スキップとローファー」(2023年)

ここ最近のアニメで、とにかく本当におもしろかったのがこれです!

地方から東京の進学校である高校に入学してきた「みつみ」と、入学式当日、登校途中のハプニングから偶然出会って以後友だちとなる同級生の「志摩くん」の二人の交流を中心に、個性豊かなクラスメイトや周囲を取り巻く人々の人間模様を、時におかしく、ユーモラスに、繊細に描いています。

なにか大きな事件が起こるわけではなく、基本的にみつみを中心とする高校生活の日常が淡々と描かれるのですが、観ていてなんともいえずうれしく、楽しい気分になってくるお話です。

優等生だけど、地方出身ということもありどこかちょっとずれていて、だけどまぶしいくらいにまっすぐなみつみ。

都会生まれ育ちで、見るからに都会っ子で洗練されている雰囲気。
だけどなにか悟ったように斜に構えてるところがあり、人間関係でもみんなともちょっと距離を置きがちな志摩くん。
それだけにみつみが新鮮な存在で、まぶしく感じられてしまう。

恋愛関係には(まだ)ないけれど、最初から周囲の人たちにも
「あの二人、なんかいい感じじゃん」
と見えてしまう、お似合いの二人なんです。

二人を取り巻く、ミカ、結月、誠、兼近先輩、高嶺先輩、
そしてみつみのおば/おじであるナオちゃん、などなど・・・
といった登場人物も、それぞれ個々に事情や悩みを持ってます。
でも、みつみの存在がなんかまるでハブのようになって、みんな少しずつよい方向に影響を受けていく感じ。

こういうのって、あるよね!
って思わず言いたくなるような、リアルな青春物語。

原作は高松美咲さんによるマンガ作品です。
アニメもこの原作にかなり忠実に作られていますが、動画のメリットを存分に生かした躍動感あふれる動き、美しい色彩が印象に残ります。
(色彩に関しては、アニメ制作スタッフが非常に工夫を重ねたことが制作スタッフのインタビューで語られています。
とても興味深い話なので、検索してお読みになることをおすすめします。)

この作品はまた、OPが名作です!
主題歌の須田景凪「メロウ」、とても内容に合っています。

そしてそれに合わせて踊る、みつみと志摩くんのダンス映像。
これがもう、感動するのですね。

ふつう、主題歌に合わせて主役がダンスを踊るなんて、芝居がかっててウソくさく感じるじゃないですか。(そうは思わないというかた、ごめんなさい。)
でもこれは、全然ウソくささがなくてよい!

とにかく、観て絶対損はない!
どなたにもそう言える作品です。

2. 「T.P.ぼん」(タイムパトロール ぼん)(2024年)

こちらは、タイムスリップものSF。
藤子・F・不二雄により、1978年~1980年代にかけて複数の雑誌に連載されたマンガが原作になっています。
これをNetflixが、制作会社ボンズとともにアニメ化。
かつて1989年にも単発のTVスペシャル番組用としてアニメ化されましたが、原作に忠実なアニメ化は今回が初めてとなります。

このアニメで、ぼくは藤子・F・不二雄に対するイメージが大きく変わりました!
絵柄こそ、いつものあのドラえもんと変わらない感じのかわいらしい画ですが、ストーリーはシリアス要素がたっぷり。
大人の話です。

ストーリーをかんたんに記しておきます。
平凡な少年「ぼん」が、ひょんなことから「タイムパトロール」という、過去にタイムスリップしてその時代に不慮の死を迎えた人々を1人救う、という活動をしている組織の隊員である少女「リーム」と出会い、彼女とともに隊員となってさまざまな時代に飛び、人命救助を行う・・・。
こんなストーリーです。

行先は、さまざまな過去の時代。(未来に行く話も1話だけあります。)
第二次大戦後直後の日本、
古代エジプト、
西部開拓時代のアメリカなど・・・
さまざまな時代に行き、その時代の文化や風習についての解説も交えながらストーリーは進みます。
すごく歴史の勉強になります!

それと、もう一つの特徴。
ほかの藤子・F・不二雄作品では見られないような、残酷シーンの描写です。
転落死で血がワーッと広がるところとか、魔女狩りで拷問され火あぶりにさる少女など・・・。
目をそむけたくなる人もいるでしょう。
しかし、こうしたシリアスな描写が、作品によりリアルさを与えています。

各時代で救助できる人が1人だけというのがルール。
これも、ぼんやリームの心の中に葛藤を生みます。

第8話「戦場の美少女」。
2人は第二次戦争末期の沖縄戦の戦場の中で、1人の特攻兵だけを救う任務を与えられます。
米軍の戦艦と日本軍の攻撃機の激しい撃ち合いで、日本軍・米軍双方の兵士たちが次々に死んでいく中、

「誰彼区別することないよ! みんな助けりゃいいんだ!
墜ちていく特攻機にも、ぶつかられる軍艦にも、それぞれ人間が乗ってるんだぞ! そのひとりひとりに、家族があるんだぞ!!」

ぼんはリームに叫びながら、
なぜ1人しか助けられないのか?
と、全員の人命を救えないことの意味を問います。

そしてリームも、そのぼんの叫びに対して、

「あたしが平気だとでも思ってるの!?」

と、涙ながらに叫び返します。
1人しか助けられないことの無力さと重みを、リームも痛いほど感じているのです。

実際に第二次世界大戦の時代を経験した藤子・F・不二雄の想いが、エピソードのそこかしこに顔を出します。
もう取り返しのつかないものとなってしまった過去を、せめて空想の中だけでも
「もしこうでなかったら・・・」
という、別の現在・別の未来を実現してみたい。

そんな、藤子・F・不二雄の願いと祈りとでもいうべきものがじわじわと伝わってくる、ユーモラスで、シリアスで、怖く、そして希望のつまった傑作です!

なお、こちらはシーズン1が放映終了したばかりで、7月からシーズン2が始まる予定です。
シーズン2も楽しみですね!

3. 「銀河鉄道999」(劇場版、1979年)

これは、ぼくがはじめて

「大人でも観ることができるアニメだな」

と思った作品です。
原作は、松本零士の代表作のひとつといえる同名のマンガ。
この映画版は、まだ原作マンガも雑誌連載中、TVアニメ版も放映中という中、完結した作品としてストーリーが作られたという、めずらしい例です。
つまり結末を、原作・TVアニメより先取りしてしまったわけで、当時もそこがたいへん話題になりました。

ストーリーはもうご存じのかたも多いと思います。
未来社会、裕福な人間は身体を機械化するのが当たり前となっている。
機械化された人間に母親を狩りの道具として殺された少年、鉄郎は「銀河鉄道に乗っていくと機械の身体をただでもらえる星に行ける」といううわさを聞き、出会った謎の女性メーテルとともに、銀河鉄道999に乗車し、さまざまな惑星をめぐる旅に出る・・・。

このアニメ、すばらしいところはたくさんあるのですが、まずなによりも
「演出のよさ」「作画のよさ」
が挙げられるでしょう。
これには、
「1本の劇場用アニメということで、演出・作画スタッフが全編とおして同じであるため安定しており、クオリティの高さが一貫したものになった」
ということも大きく関係していると思います。

それと、この劇場版ならではのよさとして、
「鉄郎を原作より年長にしたことで、青春物語・成長物語の面が強調され、結果幅広い年齢層に伝わる作品となった」
ということがあると思います。
原作より男前になった鉄郎が好き!
という人もいるのではないでしょうか。
(その逆に、原作の鉄郎のほうがよいという人もいるかもしれませんが・・・)

キャプテン・ハーロックやエメラルダス、トチローといった、松本零士のほかのキャラクターたちも登場し、鉄郎と深い絆で結ばれます。
その関係も、なんかいいのです。

鉄郎とメーテルとの関係も、いろんな要素があっていい。
メーテルって、鉄郎の(おそらく)初恋の人であり、姉でもあり、母でもあり・・・みたいな感じの存在ですよね。
まだ観てない人のためにこれ以上書けませんが、これは基本的に
「鉄郎とメーテルの恋物語」
なんだろうと思います。

そんな妄想を、当時の若い少年に抱かせるにじゅうぶんな、すぐれた原作、すぐれた演出と制作スタッフがあって実現した、名作。
そんなアニメです。

4. 「パリピ孔明」(2022年)

ぼくは基本的に異世界もの、転生ものというジャンルに興味がありません。
努力して観ようと思ったアニメもいくつかあるのですが、早々に飽きてしまい、最後まで観たものがありませんでした。

そんな中で、ぼくが現在までのところ唯一、転生もので
「これはおもしろいっ!」
とハマった作品。
制作会社は先に紹介しました「スキップとローファー」と同じP.A.WORKSです。

ストーリーをかんたんに。
中国三国志時代の天才軍師、諸葛孔明は病に倒れ、死を迎えようとしていた。
「今度生まれ変わった際は、戦のない平和な世に生まれたい」
と思いながら意識を失った孔明は、気がつくと全くの別世界に。

そこは現代の日本・東京渋谷、ハロウィンの日だった。
姿も若返り、なぜか日本語のペラペラな孔明は周囲にコスプレと勘違いされ、クラブに連れていかれる。
そこで出会った無名のシンガー、英子の歌に心を強く動かされた孔明は、自分の転生してきたのがこの現代の日本・渋谷であることを知る。
そして英子が歌をはじめた理由を知った孔明は、この英子を新たな主君として出世させるべく、天才的な作戦をさまざまに編み出していき英子を売り出していく・・・。

もう、これはあり得ないからこその空想の勝利ですね!
そもそも、なんで孔明が転生した先が日本で渋谷なのか、なんで日本語ペラペラなのか、いろいろと説明がなくツッコミどころ満載です。

が、それでいいんです!
このお話のキモは、
「三国志の天才軍師、諸葛孔明がもし現代に転生して、才能はあるが無名のシンガーを売り込め!という命題を与えられたら、どういう策を駆使するか?」
これを見せることにつきるのですから。

その部分を描くことにかけては、実におもしろくテンポよく話が進んでいくので、飽きさせません。
また、中盤以降登場するラッパーKABE太人、シンガー七海が、英子にとって重要な存在になっていく過程もていねいに描かれていて、それが終盤の展開にすごく活きてきます。

音楽がメインの話なので、音楽の部分にも非常に力が入ってます。
楽曲もすべてすばらしい!
特に、英子が初めて作詞作曲する曲「DREAMER」が、ストーリー展開のキーになる曲なのですが、完成バージョンが披露されるのが最終回・・・。
もう、このシーンは観てて聴いてて涙出ちゃいます・・・!
英子の歌声を担当する「96猫」さんの歌唱は圧倒的です!

ちなみに、英子と七海は、セリフ部分の声優さんと歌唱部分のシンガーさんで別の人を起用しています。
(英子:本渡楓(声)96猫(歌)、七海:山村響(声)Lezel(歌))

声優さん・シンガーさんの力量と制作側のディレクションがしっかりしているのでしょう、セリフから歌に代わる部分も別の人がやっているという違和感は全然ありません!

また、KABE太人の声優、千葉翔也さんのラップもさすが!といううまさ。
赤兎馬カンフー(KABEがラップにハマるきっかけとなったあこがれの人でありライバル。ちなみに赤兎馬カンフーの声優さんは本当のラッパー)とのラップバトル場面、すごく見ごたえ・聴きごたえがあります!

と、音楽ドラマとして、見どころ・聴きどころ満載!
細部までとてもていねいに作っているところが好感度大です。
クラブが主な舞台となるアニメはまだまだ数少ないので、DJをやっているぼくとしては、そこも応援したいポイント!

とにかく、奇想天外なようで、その中につめこまれたハート(愛情・友情・師弟愛 etc.)の描写がリアルであるがゆえすごく感動できる、実はハートウォーミングな作品です!

5. 「お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件」(2023年)

この作品は、以前から存在を原作、アニメとも知っていたものの、いかにもラノベのラブコメにありがちなタイトルに先入観を持ってしまい、観ずに放置していました。
しかし、アニメ放映後1年たってから観始めて、一気にひきこまれ全話観てしまいました!
それくらい、すばらしい作品です!

とてもピュアで繊細なラブストーリーであると同時に、人間ドラマでもあります。

(以下、ネタばれになるかもな話をするので、未見のかたはご注意を。)

主人公の二人、周(あまね)と真昼(まひる)って、外面的には真逆な存在ですけど、実は性格的に共通するところが多いと思うんですよね。
他人を容易に信じないとか、でも本当は素直でやさしい性格だとか。

自分を(いろいろな意味で)守るために、真昼は完璧な人間である「天使様」と呼ばれるようなペルソナを作って、その役を演じることで人気者であることも(いやいや)受け入れてふるまう。
いっぽう周のほうは、真に信用できる(樹のような)友人以外とは深く付き合わず、目立たない地味な存在に甘んじる。

そんな、外面的には真逆に見えるふるまいをしている二人が偶然接点を持ったことで、少しずつおたがいの「素」の部分を知っていくことになり、それは知らなかったおたがいの「本当のよさ」に気づいていくことにもなる。
そうして、二人とも少しずつおたがいに惹かれ合っていく・・・。

こんなプロセスを、楽しく、ときに笑わせながら、繊細に見せてくれるのがこのアニメの見どころです。
この作品、舞台がほとんど学校の教室の中か、周の部屋の中かのどちらかで、しかも周の部屋の場面ではたいてい周と真昼がいっしょにいて、真昼が料理を作っているか、周と真昼の会話かという感じで、ホームドラマ的な要素も強いと思います。
そうした限られたシンプルな舞台設定だからこそ、この二人の心の距離がじょじょに近づいていく繊細な描写がよく見えるのだと感じます。

話が進むごとに、真昼も決して完璧な人間ではなく、むしろ心に寂しさを抱えた人間であったり、天然な部分もあったりと、人間的な面がどんどん見えてきます。
そんな「素」の真昼に周が気づいて、惹かれていく様子を・・・。
いや、それよりも真昼が「素」の周に惹かれていくほうが早いのか?
いずれにしても、そんな二人の心の動きを楽しむ物語です。

そう、二人の声を演じる声優さんの「声の演技」も、すごく重要な役割を果たしてますね!
絵柄的に顔の動きがそんなにないだけに、表情的な描写を声の演技が担っている感じです。
そこにも注目(注耳?)して観てみてください。

6. 「16bitセンセーション ANOTHER LAYER」(2023年)

これ、ぼくが個人的に思い入れがすごくある作品です。

ストーリーをちょっと。
現代のゲームソフト会社に勤めながら、いつか最高の美少女ゲームを作りたいと夢見ている少女、コノハが1990年代にタイムリープしてしまい、その時代の美少女ゲーム会社の人々と出会うことで、彼らといっしょに美少女ゲームを作っていく・・・という話。

原作は同人誌というのがちょっと特殊ですね。
このアニメ版は、基本設定を原作から借りながらも、原作者自身によって設定・ストーリーとも大幅に変えた、まったくの別ストーリーになっています。
そのリメイクが、結果的に成功しています。

1990年代からのパソコンやソフトの進化の歴史、秋葉原という街の変遷など、ぼくの世代的にもグッとくる要素が多いんですが、なによりストーリーの展開が大好きです!

第1話・第2話を観て、だれがこの第8話以降の展開を予想できたことでしょうか!?
というぐらい、後半のストーリー展開が予想の斜め上を行くものになってます!

この展開は観たかたの中でも賛否が分かれてるようですが、ぼくはこういう展開のしかた、すごく好きですね。
そもそもタイムリープものなので、ぼくはストーリー上のリアリティなどはなから求めていませんし、それよりは登場人物の心情描写のほうにどれだけリアリティを出せているか、そちらのほうが重要。
この部分が、この作品はすごくよく出せていると思います。

特に、心情的なリアリティを出すことに大きく貢献しているのは、コノハ役の声優、古賀葵さんと、守くん役の声優、阿部敦さん。
この二人の力によるところが大きいと思います。
この二人が演じたからこそ、この二人のキャラクターがこんなに魅力的になり、この作品がこんなに輝くものになったんじゃないかな。

もちろん、脇を固める声優陣もベテランが多く、それが作品を安定したものにしていますし、作画もじゅうぶんすぐれたもので、ストーリーがぶっとんでいる分、安心して観ていることができました。

観る人を選ぶかもしれませんが、ぼくにとっては宝物のような作品です。


以上、6つのアニメ作品を紹介しました。
1作を除いて今回も新しめの作品が多くなりましたね!
ぼくは歳はいってますが、最近のアニメは本当におもしろいと思います!
いずれもネット配信されてますので、これは気になる!という作品がありましたら、どうぞぜひご覧になってみてください!
ではまた!

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