にぎやかな森プロジェクト 森林CO₂吸収評価勉強会を開催しました
令和4年9月12日、上小森林センターで「森林CO₂吸収評価勉強会」が開催されましたので紹介します。
この勉強会は、にぎやかな森プロジェクトの活動拠点であるSGEC認証森林でカーボンオフセットのクレジットを生み出すには何が必要になるかを考える学びの場として開催され、にぎやかな森プロジェクトに関わる企業、県、市、森林組合、上小森林認証協議会の職員29名が会場参集とオンラインにより参加しました。
始めに、県上田地域振興局林務課の斉藤森林保護専門員から、「森林CO₂吸収評価に関する諸制度の概要」について説明を頂きました。
長野県ゼロカーボン戦略では、森林吸収は2018年の184万t- CO₂(単位は二酸化炭素トンと読むそうです。)から2050年には200万t- CO₂を目指すこと。
長野県森林CO₂吸収評価制度は、森林の里親協定を締結した企業の森林整備活動によるCO₂吸収量を算定し、CSR活動として「見える化」する事業であること。
J-クレジット-森林経営活動-は、2022年8月に林野庁から制度の見直しが発表され、登録要件の緩和や、主伐後に再造林した場合は主伐の排出計上が事後に控除される等、クレジットの取得が進みやすい方向に改正されたとのことでした。
続いて、長野県林業コンサルタント協会の松澤技監から、「上小森林認証森林の施業履歴に基づく森林CO₂吸収ポテンシャル」について説明を頂きました。
上小管内のSGEC認証森林の平成29年から令和3年までの5年間の施業履歴に基づく森林のCO₂吸収量は4,160 t- CO2だったこと。
森林のCO₂吸収量は林齢20年から25年生がピークであり、林齢の若い森林を整備するほうがCO₂吸収量は増加すること。
今、主伐・再造林を行えば、2050年に林齢が20年から25年生となり、最大級の森林のCO₂吸収量が期待できるとのことでした。
続いて、長野県林業公社の塚平専務理事兼事務局長から、「J-クレジットの取得に向けた取組と留意点」について説明を頂きました。
長野県林業公社はJ-クレジット-森林経営活動-の取得に向け、令和3年7月からプロジェクト計画書の作成を開始し、令和4年7月にプロジェクト登録証を受領、令和4年9月現在モニタリング報告書を作成しているとのこと。
プロジェクトの対象となる森林は、森林経営計画がある森林で、間伐の計画があり、植栽・保育・間伐の実績があり、プロジェクト認証対象期間に植栽・保育・間伐の計画がある森林であること。
J-クレジット-森林経営活動-では、過剰なクレジット発行とならないよう樹高成長が悪い地点を選んでのモニタリング調査が求められることや、クレジット発行量を確保するには、林齢の若い森林を選ぶこと、発行量が多く見込める森林は早めにモニタリングを行うことが有効とのことでした。
勉強会は、かなり専門的な内容でしたが、J-クレジット-森林経営活動-の取得を進める上で抑えるべきポイントや、成熟した森林の主伐・再造林を今から進めることが2050年の森林吸収200万t- CO₂の確保につながっていくことが分かりました。
森林に期待される機能は、木材供給や水源涵養、災害の防止、動植物の生育環境の確保等様々ありますが、今後は脱炭素社会に向けて、二酸化炭素の吸収源が社会から強く求められることを感じた勉強会でした。
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