顔面タトゥークソ野郎
僕は刺青とかタトゥーが入っているからって、その人が悪い人だなんて思わない。
バイト先で客として現れた、顔面にタトゥーが入っているそいつも最初はそう思っていた。
意外に優しいパターンを期待した僕は少し怯えながらも、接客を始めた。
するとお客様は言った。
「はやくしろ」
クソ野郎だった。
その後の態度や全てがクソ野郎だった。そしてわけわからないが最後は説教されて終わった。
それはきっと、僕が態度悪い奴には、こっちもそうしてやるという精神が出てしまったからだ。
「仕事なめるなら、辞めちまえ」
と、小さい口で言い、帰っていった。
”ぶち殺してぇ”そう思った瞬間、あることを思い出した。
小学生の頃、うざい奴がいた時そいつの似顔絵を描いて、
絵の中で殺すという事をしていた時の記憶。
あれをやりたい。
だけど今はバイト中だから、頭の中でやろう。
あいつと出くわすところから想像しよう。
そしてジリジリと苦しめてやる。
まず、あいつの目の前で
「もう金曜日か、1週間早いなぁ」と言ってやる。
そいつはきっと「えっ、明日休み?」と思うだろう。
そう思った瞬間
「嘘でーす!今日は日曜日!明日は仕事でーす」と言う。苦しむだろうな。
その後、ハンガーを二つ、奴の鼻の穴にそれぞれぶっさす、
ハンガーの服をかけるところに紐をつけて、その先を
実家の車であるトヨタのラブフォーにつける。
俺は、車に飛び乗り、エンジンをかける。実家の車では絶対ミスチルが流れているので、それを聞いてテンションを上げよう。
バックミラーでやつを確認したら、サイドブレーキを下ろし、ギアをドライブに入れる。オートマチックは便利だ。
アクセルを一気に踏むと、BUOONと轟音を立てて前にすすむ。
ぶちんっ!!
「いってー」と鼻から血を流すそいつ。
その後そいつを細切れにしてやる。カップラーメンに入っているお肉ぐらいのサイズにな。
細切れにしたかと思ったら、それをかき集めて、つなぎ合わせて元の形に戻してやる。
もう少しで元通りになるぐらいになったら、また崩してやる。
そんで、細切れにしたやつは乾燥させて土に埋める。
春に土に埋めて、初夏まで毎日早起きしてそれに水をあげてやろう。
おばあちゃんに「水あげすぎ」と怒られて、少し調節する。
それは大きい木になった。そしたら切り倒してやる。
中には芋虫がいっぱいいる。
「こんな人間が木になったところで、中は芋虫だらけですな」
と笑ってやろう。
そこで少し休憩するのもいいな。コーヒーを飲もう。
ひと段落したら、その木を切って薪にしよう。
その薪を使って、夜はバーベキューだ!!
とまぁ、こんな想像をしていると、お客さんが来た。
「こちらどうぞー」
と笑顔で言う。
多分その日の笑顔は、いつも以上に笑顔だったと思う。